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『狼くんを落としたい』 第2話



翌日 

五:「昨日、かわいい後輩は見つかった?」

そういえば、そんな事を頼まれてました。

和:「かわいい後輩...いや...」

○○くんの妹とその友達はめちゃくちゃ可愛かった。
でも、勝手に話すと○○くんに怒られそう。

五:「へぇ~、いなかったんだ。」




真顔でこっちを見ないで。怖いから。

菅:「そういえば、激カワの新入生がいるって聞いたんだけど。」

五:「ほんと⁉︎ やったー!」 

喜びすぎでしょ。 
本当に何を企んでいるの?

桜:「楽しみ。」 

でも、誰のことだろ。 

和:「っていうか...美空、遅いよね?」

普段は早めに来る美空がまだいない。

寝坊でもしたかな?

美空は休み明けに遅刻することがある。

桜:「あ、来たよ。」

一:「本当にお願い!」

○:「それはちょっと...」

狼くんに何かを頼み込んでいる様子

和:「美空。何してるの?」

一:「○○くんの連絡先を聞きたいの!」

多分、無理な気がする。

と、そこに...

彩:「すみません。お兄ちゃんはいますか?」

妹さん登場

和:「彩ちゃんだ。」

五:「ん?」

彩:「あっ、和先輩だ♪」

彩ちゃんはこちらに来る。

五:「え?」

五:「かわいい後輩と知り合いじゃねぇか!!」

茉央に腕を引っ張られる。

和:「いてててて!」

五:「嘘つき!!」

仕方ないでしょ!
勝手に言ったら、怒られそうだから!

菅:「あなたが噂のかわいい子だよね。」

彩:「噂の?」

彩ちゃんはキョトンとした様子

和:「かわいい子が入ったと噂になってるみたい。」

私は知らなかったけど。

彩:「私じゃないですよ。」

いや、彩ちゃんだと思う。
彩ちゃんのことを廊下から覗いてる人たちがいるから。

っていうか、初日からファンができるの?

ヤバくない?

去年、私たちもそうだったけど。

※自慢ではありません。

彩:「それより、お兄ちゃんはどこですか?」

五:「兄がいるの?」

和:「ほら、あそこ。
だるい女子に絡まれてる。」

うん。だるい女子であってる。

彩:「むっ...。」

彩ちゃんはてくてくと○○くんの席へ向かう

彩:「お兄ちゃん。」

一:「だれ?新入生?」

ガンを飛ばすな。

彩:「そこにいる人の妹です。」

彩ちゃんは○○くんを指差す。

一:「 ...嘘ついてる?」

彩:「嘘じゃないです!」

和:「なんで、疑うのよ。本当の妹だよ。」

一:「本当に?」

彩:「ほ、本当です!」

怯えてるじゃん

一:「○○くん、本当?」

なぜ、ダブルチェックをする

○:「妹ですよ...。」

一:「じゃあ、妹さんにお願いがあるんだけど♪」

彩:「嫌です。」

即答かい。

彩:「どうせ、お兄ちゃんの連絡先目当て。
お兄ちゃんが許可出さないと無理です。」

完全に読まれてる

一:「○○くん、お願い...!」

美空は○○くんに
つむじを見せるくらいのお辞儀をする。

○:「...無理です。」

彩:「残念でした♪」

めっちゃ嬉しそう。

彩:「おかえりください♪」

一:「はぁ...........」

ため息が長すぎる。
美空は自分の席に戻っていく。

和:「○○くんに何の用かな?」

彩:「一緒にご飯を食べたいんです。」

和:「それは無理だよ。」

彩:「どうしてですか?」

和:「普段から屋上で一人で食べてるから。」

彩:「ふーん...ぼっち飯を極めてるんだ。」

この子は辛辣すぎます

○:「うるせぇ...」

○○くんは本で顔を隠す

和:「もしよかったら、私たちと一緒に食べない?」

彩:「いいんですか?」

和:「うん。大歓迎だよ!」

茉央がかわいい後輩と仲良くなりたいみたいだから。

彩:「じゃあ、今日の昼休み来ますね!」

彩ちゃんは教室を出ていく。

○:「井上さん...」

和:「ん?」

○:「ありがと。」

和:「どういたしまして♪」



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五:「ほっぺたもちもちだ~」

冨:「ん~」



奈央ちゃんも来ました。

やっぱり、彩ちゃんと奈央ちゃんの2人が
かわいいと噂された新入生だったみたい。

その2人と五重奏が一緒に食事をとっているから
廊下から教室を覗く人がちらほらいる。

彩:「和先輩。この人しつこいです。」

彩ちゃんは美空を指差す。

和:「あんた、まだ連絡先聞こうとしてるの?」

一:「だって...」

この子はまだ諦めていないみたいです。

彩:「そんなに欲しいなら、告白して
彼女にでもなればいいと思うんですけど。」

たしかに。

一:「カノジョ...///」

ゆでだこみたい。

桜:「タコ美味しい。」

さくたんはマイペースですね。

一:「○○くんの彼女...///」

彩:「この人、頭大丈夫ですか?」

彩ちゃんよ。辛辣すぎるぞ。

和:「恋してるだけだから...笑」

恋は色んな意味で怖いね。

冨:「そんなに○○さんと話しづらいですか?」

菅:「狼くんと呼ばれているからね。」

冨:「私と一緒にお風呂入ったことあるのに。」

おいおい。それを言うと、、、

一:「お、お風呂!?○○くんと...///」

やっぱり、興奮した。

冨:「小学生の頃ですけど。」

でしょうね。

和:「今、入ってたらヤバいよ笑 」

流石にね...

冨:「彩ちゃんは今も入ってるでしょ?」

彩:「3月で卒業したよ‼︎ 」

...はい?

五:「今年の3月?」

彩:「はい。中学卒業したらダメって言われたので。」

どこで線引きしてるのよ。
もう一段階前でしょ。

和:「仲良しだね笑 」

厚いオブラートに包みました。

彩:「その時にお兄ちゃんが
気になっている人がいると言ってましたよ。」

一同:「えっ?」

一:「だれ?」

食事中です。身を乗り出さないでください。

彩:「五重奏の人と言ってました。」

和:「私たちの中に...」

桜:「狼くんの気になっている人が 」

五:「いるかもしれない...」

菅:「その人のどこが気になっていると言ってたの?」

彩:「たしか...雰囲気がタイプと言ってたような 」

和:「そういうこと言うんだ。意外かも。」

狼くんの恋バナを聞くのは初めて。

彩:「まあ、私は誰なのか想像出来ましたけど。」

一:「誰なの!教えて!」

後輩の制服を掴むな。シワがつきます。

彩:「本人に聞いてください。」

菅:「想像出来るんだね。すごい。」

彩:「お兄ちゃんがアイドル好きなので
推しの特徴的に何となく分かるんですよね。」

一:「アイドル好きなの!?」

和:「美空もアイドル好きじゃん。」

一:「どのグループなんだろ...。」

彩:「教えません。あなたにはゼッタイに。」

敵対心剥き出しじゃん。

一:「絶対に調べてやるから。」

後輩を睨むんじゃないよ。

菅:「それより、明日は土曜だけどどうする?」

五:「買い物行きたい。」

一:「私も♪」

和:「私も行く。」

休日は五人で遊びに行くことが多いです。

桜:「私は用事があるから、パス。」

今回は四人みたいだけど。

冨:「私たちはどうする?」

彩:「うーん...」

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その日の夜、○○家

彩:「お兄ちゃん。」




○:「はぁ...///」

彩:「お兄ちゃん?」

○:「なに?」

彩:「明日でしょ?」

○:「うん。さくちゃんの写真集お渡し会。」

明日、兄はアイドルのイベントに行くみたい。

彩:「その間、奈央ちゃんが遊びに来るんだけどいい?」

あの後、家でゲームをする約束をしました。

○:「いいよ。」

彩:「掃除はちゃんとしておくから。」

○:「ありがとう。」

彩:「今日、奈央ちゃんと五重奏の人と一緒にご飯を食べた。」

○:「どうだったの?」

彩:「楽しかった!」

お兄ちゃんLOVEが面倒だったけど

○:「よかったじゃん。」

彩:「お兄ちゃんも一緒に食べればよかったのに。」

○:「(無理,無理,無理,無理,無理)×5 」

一回で十分です。"×5"って何なの。

彩:「はぁ...五重奏の人をアイドルに見立ててるんでしょ。
だから、普通に話しかけれない。」

○:「その通り。」

その言葉を使うのならアタックしなさいよ。
それと遠回しに変なボケを使わないで。

誰も分からないから!

○:「出来るわけないじゃん。
あんなに可愛い人たちと会話なんて...」

確かにアイドル並みに可愛いけど。

○:「無理です。話しかけれません。」

お兄ちゃんは消極的なんですよね...

彩:「もう!バカ!」

さすがにイライラします。

彩:「お兄ちゃんは普通にしていれば、恋人も出来るよ!」

私は出来ないでほしいと思っているけど。

○:「それはない...。」

ネガティブな上に自己評価も低い。

彩:「あるよ!現にあざとい人に
アプローチされてるじゃん!」

ウザいくらいアプローチされてるよね。

○:「一ノ瀬さんは僕を茶化しているだけなんだ...。」

そんなわけない。
本当にお兄ちゃんはネガティブ。

彩:「ネガティブすぎるよ。」

○:「はぁ...」

彩:「もう少し、自信を持ちなさい。」

○:「どうすればいいの?」

彩:「趣味の合う女子と話してみるとか。」

○:「アイドル好きな子なんかいないよ...
ましてや五重奏に...。」

彩:「一ノ瀬先輩は?」

アイドルが好きと言ってたよね。

○:「あの人と好きなグループが違うから...」

知ってるんかい。

彩:「他に趣味を作ればいいじゃん。」

○:「古参にバカにされる。」

なんなの。この人。

彩:「そんな人いないから!新しい趣味を作ろうよ。」

最初は誰でもにわか!でしょ?

○:「例えば?」

彩:「例えば...」

...思いつかない

彩:「もう!それくらい自分で見つけて!」

○:「はい...。じゃあ...お風呂入ってくる。」

お兄ちゃんは浴室へトボトボと向かう

彩:「全く...あんな感じなのに
アイドルのイベントで
ちゃんと会話できるのかな?」



本当に心配です。

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そして、次の登校日

和:「早速、土曜日に買ったアクセサリーつけてるね。」

一:「いいでしょ?
これで○○くんにアピールするんだから♪」



美空はこれを買うのに2時間悩んでいました。
私たちの時間を返せ。このヤロー。

五:「まだ、○○くんは来てないけど。」

一:「いつも、この時間は来てないよ♪」

菅:「いつも、この時間に来てるさくたんも来てない。」

ざわざわ...ざわ...

モブA:「おい!あの2人付き合ってるんじゃ...」

モブB:「だよな!!」

モブたちがそう言いながら教室に入ってくる。

菅:「え、なに?」

五:「廊下がなんか騒ぎになってる。」

和:「?」

?:「やっぱり、夜明けだよ♪」

?:「分かる。最後のさくちゃんの表情は最高。」

?:「今度、一緒にライブへ行こうよ!」

?:「いいね。行こう。」

そして、騒ぎの張本人たちが教室に入ってくる

桜:「一昨日のさくちゃんは本当に可愛かったね♪」

○:「過去一かも。」

桜:「分かる♪」



さくたんと○○くんが仲良く教室に入ってきました。

一:「えっ...」

菅:「どういうこと?」

五:「この二日間で何があったんだろう。」

一:「わ、わたしの...買った...アクセサリーが...」

美空は膝から崩れ落ちる

和:「まだ、決まったわけじゃないでしょ!」

一:「○○くんのあんな笑顔を見るのは初めて...」

五:「くぅちゃん、気をしっかり!」

本当にあの二人に何があったの?

【第3話に続く】

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