日産のアリアコンセプト間近で見て、聞いて、納得した話。
先日の夜。
日産の美人広報さまよりお招きをいただいて、Nissan crossing(あの日産銀座ギャラリーは今はこんな名前なのだ)でモーターショーでも話題となった日産アリアコンセプトを見せてもらう機会をいただいた。かなり嬉しい。結局今回は東京モーターショーへ行けなかった。スペシャルな時間をいただけることになった。
さて、皆さんもご存知、銀座和光、時計台の向かい側。
「Nissan crossing」
にたどり着いて、顎が落ちた。
まずは通りからも目に入るショールームのメインステージ。いつも日産の最新モデルがターンテーブルの上でゆっくりと回っているあそこ。衝撃だった。
センターステージになんと、プリンス、いや、、日産R380がその低いボディを横たえていたのだ。えええ!そんな声も思わず漏れてしまう。なぜそんなとんでもない車両が!!
あの桜井眞一郎、ミスタースカイラインの手になるプロトタイプレーシングカー。
実はわたし、縁あって若い頃に一度、スカイラインGTA、S54シングルキャブのハンドルを握ったことがある。青バッヂではあったがそのロングノーズと効かないブレーキに(笑)強い印象を覚え、今でも忘れられずにいる。そのS54スカイライン、レースでポルシェに敗北を喫してしまった雪辱を果たすために製作されたR380。S54スカイラインから続くレーシングスピリットが息づくレーシングクーペがこれ。目の前にある。
ああ、いかんいかん、今日はアリアコンセプトを見にきたのだった。ちょっとした立ちくらみのような気分の中、気を取り直して会場の奥へ。
あった。アリアコンセプト。
きれいなクルマだ。モダンでムダがない、しかしどこかに抑揚感じるデザイン。
少し眺めていると2階にお誘いいただきそこでアリアコンセプトについてレクチャーが行われた。開発メンバーの説明はいろいろと納得のいく楽しいもの。その中で見えた質問も胸にしまいつつもう一度1階のアリアコンセプトの前へ。
とにかく興奮したのはコンセプトカーに乗れる、インテリアを確かめられる、という特別もいいところの乗車体験。なんとも素晴らしい。普通であれば、報道や専門誌の記者であってもコンセプトカーに乗れるなどということはほとんどない。この個体がアメリカやヨーロッパのショーを回っているそのものなのだ。
細部まで、強いこだわりが散りばめられていたこのクルマ。実は単純に見ると控えめに見えてしまう。モーターショーの写真などでも少々地味に見えてしまった。しかしそれには訳があった。
コンセプトカーであるが出来るだけそのまま発売したい、そのままで走らせたいという思いから作り込みが細部にわたり、納得できる実用性とここから先へ、という強く未来を見据えるスタンスが共存するデザイン。
それこそがアリアコンセプトでやりたかったことなのだそう。派手な演出的デザインではなく、実用性を持たせつつ細部にわたってこだわりを表現しきったデザインで、なるほど、所有してみなければ多分わからないであろうところまでの作り込みがある。ちょっとこういうのは初めてで、圧倒される。
メカニズムとしては前と後ろにモーターを積んだデュアルモーターのEV4WD。そしてブロパイロット2.0搭載。そのために最適化したインテリアとドライバーズシート周りが表現される。エアコンユニットをエンジン(モーター)ルームに持っていったことで本来はインストルメントパネル裏、室内にあるものがなくなり、足元広く音と室外気の侵入が防げるようになっている。
シームレスなナビゲーションはスマートフォン連携が強く意識されていた。蓄電された電力を家庭でも使えるようにして、最終的には社会を変えていくインフラにしたいという思いも十二分に詰め込まれている。
みていて、説明を聞いて、楽しくて仕方がない。
デザインはこれからのニッサンデザイン、日産EVのこれからの方向性を描いたもので、このアリアコンセプトのデザインがこれからの重要なキーになるそうだ。大きな使命を持ったデザインであると言える。
実は開発の方に少し意地悪な質問をしてみた。
センターコンソール、シフトスイッチのノブのある横にスイッチがあるが、そこがフラットサーフェスで印字だけがあるスイッチとなる。
これではノールックでの操作が難しいのでは?クルマのインターフェイスでそれは危険だしナンセンスなのでは?ときくと、してやったりという満面の笑みで返された。
「ハップティックが組み込まれているんです。」
あっ!と声をあげてしまった。なるほど!これはまいった。クルマにそういうのを組み込むわけか。
スマートフォンの操作で振動でフィードバックを返してくる、あのシステムのことだ。なるほどバッサリと返す刀でやられた感じ。まったく楽しい。とにかくヒューマンインターフェイス、UI、UXに拘っているそうなのだ。
今までの車の概念にない要素がたくさんあり、色々と納得させられるし考えさせられる。もう既存のものの考え方でのクルマづくりの手法と時代は終わっていたらしい。100年に一度のクルマの変革期を迎えていることを実感する。
とにかく楽しい夜だった。
これからのクルマが、モビリティがどこに向かおうとしているのか、少し見えてきた。
追記
美人広報の腕の見せどころがこの催し自体ももちろん、それに合わせて提供される軽食。いつもセンスあるチョイスで喜ばせてくださる。
今回も楽しかった。フィンガーフード中心で、実にセンスあふれるもの。驚かされたのは、スプーンの上に配されたごはんとひき肉とうずらの卵の茹で卵。
これなんですか?とサーブされているご担当に聞くと「ガパオライスです」と帰ってきた。いやいや、驚いた。
もちろんお約束、アリアコンセプトがプリントされたマカロンもあった。(今回は自立していてさらに驚いた)
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