雨降りのベランダより
ポツポツポツ、雨音で目が覚める。
布団の中から携帯電話の時計を確認する。時計は5時半を表示していた。
そう言えば、ベランダに昨日干した洗濯物がそのままの状態だったよな…。寝ぼけ気味な頭の中に、雨に打たれる洗濯物の様子が浮かんできた。
いつもより重たい体を起こして、ベランダに向かう。
想像した光景が目の前にあった。しっかり乾いていた洗濯物たちは、水も滴る洗い立ての状態に。しか太郎は、そんな時、
「見なかったことに」
…ということはできず、その洗濯物をすぐさま部屋の中に取り込んで、再び布団の中に吸い込まれていった。
2時間後に再び雨音で目覚める。
携帯電話の時計は、7時半を表示していた。あの洗濯物は夢の中のことだったのかと、窓の方を確認すると、少しぐったりとした洗濯物たちがそこにいた。
もう起きる時間だと布団を潔く畳んで、ベランダの窓を開ける。
雨の日のベランダには濡れたクロックスとルッコラが。
見渡す世界はどれもみずみずしくて、しか太郎はこんなしっとりとした朝もいいなと思った。
しっとりとした、雨降りのベランダより。