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Typica Inokashira

パフェ好きなら必ずその名を知る西荻窪のTypicaがなんとデセールコースを始めるとのことで、情報公開された日から虎視眈々と食べられる日を楽しみにしていたのですが、ついにオープンしました!うれしい!

🍑以前食べたパフェ

Typicaではびっくりするパーツをパフェにねじ込まれ、食べてみると違和感なく美味しい不思議を「なんだったんだ・・・」と呆然としながら帰るのが常なのですが、
こちらのお店はカウンター5席のみで、お店の方からしっかり説明を受けられるのが特徴です。「なんだったんだ・・・」の解を教えてくれるなんて!

今回のコースは下の通りの内容となりました。
国旗マークのついているものはペアリングコーヒーです。(2杯目以降は特徴を聞いた上での推定なので、もしかしたらブランド・品種が違うかもしれません)

ちなみにペアドリンクはコーヒーかアルコールで選べます。お茶にも変えられます!

コーヒーの仕入れ先は代々木上原のACID COFFEEさんとのこと。お店の方いわく、「品評会で賞をとったレジェンドものから面白い味まで揃うお店」だそう!行ってみたいなあ〜
わたしはせっかくなのでコーヒーにしてみました。

🇲🇽 Arroyo_Typica

まずはコーヒーから。
店名の由来になった品種Typicaは「典型的な」「標準的な」という意味で、コーヒー豆の中でも基準となる世界2大品種のひとつだそう。Arroyo(アロヨ)農園では果肉ごとの発酵と追の2段階発酵を採用している。

はじめはカシスの酸味がジューシーにはじけ、あとからスパイスの香りが立ち上がってくる。

隣の方はアルコールを注文されていて、1杯目には白ワインがサーブされていました。

牡蠣のアイスとナツメグのパウンドケーキ

前菜のデセール。

サックサクに焼かれたナツメグのパウンドケーキの上に載るのは、
牡蠣を茹でてミルクと一緒に撹拌したアイス!
ひと口目は塩味がやわらかくもしっかり感じられ、ついお隣のお酒をジッと見てしまう。合いそうだな、白ワイン・・・

慣れてくると牡蠣からただよう海のぬるりとした香りが全体の甘さをまろやかにまとめていることに気付く。そこへコーヒーを含み入れるとスパイスがうまくのっかって、まるで海の家でぼーっとしているような、リラックスした浜辺の空気を感じられた。

🇨🇷 Diamante_Anacafe14

先程のコピーや連写ではないけど
笑っちゃうほど同じ写真

アナエロビック(二酸化炭素発酵)で作られることによって通常とは違う種類の酵素が反応してできるコーヒー。チョコレートの製法も様々だけど、コーヒーを作る人も面白いことを考えますね。

蜜が詰まって実のまんなかが半透明になりかけているシャキシャキ赤りんご、の酸味です。
キャラメルのようなフレーバーもあるので次のお皿に合わせたそう。

アルコールは余市のピノ・グリ。少し黄みがかったロゼのような色で、隣の方のご厚意で嗅がせていただいたら、優しくあたたかいお花の香りでした。ナスの甘みに合わせてのペアリングらしい。お酒とコーヒーでフォーカスする味を変えているのも楽しくていいですね。

焼きナスアイスとコーヒーシュークリーム、キャラメル和え

甘味のデセールは「焦げ」をテーマにした一皿。

コーヒーのシュー生地と、焼きナスのアイス、隣にはコーヒークリームが添えられる。そして全体にキャラメルソースがかけられる。

シュー生地やクリームから漂うコーヒーのロースト感、丸焼きしたあとに皮を軽く剥いたナスからは薫香、そしてキャラメルソースから甘い焦げを、それぞれのアプローチでの加熱臭をひんやりした状態で感じられたのが面白かった。

そしてコーヒークリームの甘い油脂に包まれながらコーヒーを流し込むと、元気だった赤りんごの酸味とシューアイスの焦げ感が抑えられてシナモン香る柔らかい口あたりに変身する。口の中でまた違う味わいになるのがたのしい!なんで!その瞬間の味が美味しくって繰り返し交互にいただきました。

🇧🇷 Guariroba_Geisha

一応ね、一応載せますよ

このコーヒー好きだった!

サーブされてすぐはレモングラスのハーバルな香りが爽やかで、温度が下がってくると軽やかだった酸味は遠くへ、代わりに土のようなどっしりとした苦みとあたたかみのある甘みの余韻が長く続く。あまりに表情が変わるのでこまかく、大事に飲みました。

アルコールはオレンジワインのペアリング。
穏やかな香りとは裏腹にキリッとした味だったそう。
波のジャケットがかわいかったなあ

梅のパフェ

台に使われているお皿は伊藤剛俊さんの作品(VERTでもお会いしましたね)
炭のチュイールとリンクしてかっこいい!

季節のパフェ

西荻窪の梅のパフェ(豚肉のアイスが入ってる方)とはまた違った表現の一杯にしたそう。
お店の方いわく、「パスタっぽい」構成は下のとおりです。

・炭のチュイル
・絹豆腐と梅のアイス
・大葉のジェノヴェーゼアイス
・梅のミルクラスク
・チーズクリーム
・梅酒のジュレ
・ルバーブのコンポート

炭のチュイールはイカ墨の塩味があり、他のパーツもたしかにパスタみあるのだけど、どうしてパフェの中に上手く収まるんだろうか・・・!

大豆の甘さがよく引き出された豆腐のアイス(奥)には梅干の果肉が練り込まれていて、チュイールにのせて食べるとこれだけでもおかず感。
大葉のジェノヴェーゼ(手前)も少し塩気がある。
ミルクラスクの表面に梅ペーストが塗られているそれをチーズクリームと一緒にいただく。

それぞれのパーツの個性を組み合わせながら食べるのはまるでスリランカカレーのような楽しさがある。混ぜることで生まれる美味しさって、わたしにとってはパフェの一番好きなところです。

梅酒のジュレの仕切りをくぐると最後にルバーブのコンポートがさっぱりとこの一杯を締めくくってくれた。

パフェの中ではパスタ(じゃないけど)の一員に成るべく寄り添っている梅が、コーヒーと合わせるとプラムっぽさが引き立つのも面白い。冷めるごとに酸味を失っていくコーヒーに梅やルバーブが酸味を補填するような、時間経過に沿った設計を感じました。

🇲🇽 Arroyo_Typicaのミルクブリュー

最後のドリンクは、一杯目に提供されたコーヒーのミルクブリューver.

牛乳に粉を漬けて8時間
香り付け程度にコーヒーの焦げを感じられます、とサーブされる。だけどそれだけじゃなく、奥の方にわずかに大豆をねり潰したようなコクを感じた。

アルコールはグラッパか、赤ワインかで選べるようでした。お隣の方がとても親切で、快くワインを嗅がせてくれたり味を教えてくれたおかげで一方のペアリングも擬似的に楽しめました。ありがとうございます。
次はアルコールにしてみようかな。

焦しバターの焼きたてフィナンシェ

季節の焼き菓子
焼きたてのフィナンシェを食べてほしいとご用意してくださった。
揚げたてのサクサクジューシーなバターとホクホクした生地でコースが締まるのは、ワクワクしっぱなしだったからだをホッとさせてくれる味でした。
ミルクブリューとフィナンシェ、ずーっと食べていられそう。

オープンして2日目だからか、ご一緒したお客さんは西荻窪Typicaのファンがほとんどで、お店の方を中心に味の感想や飲食にまつわる色んなお話が聞けてとても和やかな空間でした。

西荻窪店の明るくてアートや本が詰め込まれた活気ある雰囲気も好きだけど、こちらは喧騒から少し離れた場所の半地下にあり、シンプルで落ち着いた内装なのでより味に集中できるのと、何より味の表現を解説してくれること!ナンデナンデ人間にはとてもありがたいです。こちらからもこの瞬間の感動を直接伝えられるのってしあわせなことですね。

あと設置された照明が良くて個人的に嬉しかったです。今回の写真はすべて調整なし。美術館のようにノイズなく料理が映えて、これもまた美味しく食べるための工夫なんだろうと思います。目立つものはなくとも、ところどころにそういったこだわりの伺える素敵な店内でした。

ぜったいぜったいまた行きたい!です!

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