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八首抄 令和6年12月号

宮本 照男 選


家近くマンション建ちて私の四季の青空食べてしまえり

青山良子


面影の一つふたつと増やしゆく花の数だけ夜の数だけ

児玉南海子


幸せを量る装置を売る人をわれもわれも追いかける街

森崎理加


一本のビールにほろほろ酔ひました今宵の片付け私パスです

岩本ちずる


長月の夜目にも清し蕎麦の花黄金波打つ村は消えたり

田口耕生


夏草の茂りを分けて吹く風にまぎれておらぬか小さな秋が

高橋律子


根子岳ねこだけにカラビナを付け命綱も越えたる安堵に薦の声きく

松嶋紀之


竹林の竹のささやき聴きをれど人なるわれの耳のさびしき

佐田公子





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