【感想】『燃えつきるまで』
女にとって、恋愛とは、結婚とは、仕事とは、一体どういうものなのか。どうあるべきなのか。
この本は、そんなことを考えるにはもってこいの一冊だ。
5年間付き合った彼氏に振られて婚期を逃し、これまで完璧だった将来設計が一気に崩れるバリバリのキャリアウーマン。
家庭に入ることを決めたものの、仕事を一生懸命している女性を見て劣等感に苦しむ、専業主婦。
これからの生き方や、結婚観に悩む、二十代の若者。
どの選択をしても、結局人は悩み、苦しみ、後悔する。自分にないものを持っている人を見て羨ましくなり、時には憎しみすら感じる。
立場や状況は違ったって、人の悩みはみんな似ていると思う。みんな、他人が羨ましい。そして、自分が一番可愛い。
自分の選択は間違ってなかったのだと思いたい一心で、他人の生き方を否定し、安心感を得る。自分が一番正しくて、自分が一番幸せなんだって言い聞かせる。
女は、強がりで、弱い生き物だ。
失恋で気が狂い、ストーカー行為にまで至る主人公の怜子の生き方はとても不器用なものだった。行き場のない感情を、真っ黒で煙みたいにもくもく膨らんでいく感情を、どこにぶつけようと必死だった。何かに必死にしがみついていた。きっとその何かとは、振られた彼氏ではなく、自分自身の生き方だったのだと思う。
結婚するはずだった彼氏に振られ、自分が描いていた将来設計が一気に崩れた。それは、これまでの自分の生き方を否定することと同じだ。