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STARDOM CARD PARTYに見る廃課金勢と天咲光由選手と

STARDOM(スターダム)というプロレスリング団体をご存じだろうか。女子選手ばかりが所属するプロレス団体で、日本には他にもたくさんの女子プロレス団体があるが、おそらく日本で一番規模が大きい女子プロレス団体がこのSTARDOMだと思う(2023年2月時点)。

そのSTARDOMの選手が登場するスマートフォン向けサービスが「STARDOM CARD PARTY」。
2023年の2月に始まったサービスなのだが、これが、普段なにかに取りつかれたように、ゲームをしないともはや朽ち果てて絶命してしまうのではないかと思えるほどゲームを遊ぶ身ながら、一向に知らない形態のサービスだった。

これは同じくプロレス団体である新日本プロレスのサービス「新日コレクション」も同様なのだがこのアプリ、基本的に「ゲーム性」がない。
できることと言えば「トレード」くらい。例えば選手を動かして課題をクリアするとか、好きな選手を育成するとか、そういう類のモードは一切なし。ただひたすら他のユーザーと選手の「カード」を「トレード」する。これだけ。

何が面白いかわからん、と思われるかもしれない。事実、面白いことは特にない。

昨今のアプリよろしく、当然ながら課金要素はあり、課金して入手した有償メダルは最上位のレアカード「☆4」カードをもらえる可能性がある。一方で課金をしていない人は「☆4」カードを入手する術はなく、3回回せる無償メダルを12時間ごとにもらえ、「☆3」以下のカードを入手できる。

「気になるスマホアプリはサービス開始時点からやっておいた方がなんだかんだで色々とよい」という世界平和条約機構が制定したルールが全世界で常識として語り継がれている世界線にいる身としては、STARDOMの試合を2回ほど観に行ってわりと面白かった経験もあり(他の動機もあるが後述)、サービスインのタイミングから開始した。

計31選手が登場するこのアプリでは、2023年2月17日時点でカードの種類は124種。各選手のカードが各レア度ごとに1枚ずつある。
基本的には同レア度同士での交換が行われることが多いようだが、異なるレア度でもOK。欲しい☆1カードのために、自分の☆3カードを渡してもよし、というものである。

合計124種という数は、あまり収集癖がない人にはわからないかもしれないが、実のところ思いのほか少ない。
熱狂的なファンの一部は、お金をつぎ込んでカードを124種をコンプリートしようとしても、先述のトレード機能との合わせ技でわりとあっさり集まるはず。結果、そこまでお金を使わない。

一方で運営側はサービスを運営し、利益を生むために、そしてサービスインにこぎつけるまでに出て行ったお金を回収するためにも、お金を稼ぐ必要があるので、仕掛けが必要になる。
そこで、そのお金稼ぎの助力となるであろうシステムが「ランキング」システムである。

この「STARDOM CARD PARTY」を触り始めたときは、ゲーム性のないこのサービスでどのように「ランキング」が決められているかがよくわからなかったのだが、しばらく触れるなかで理解ができた。
ポイントは先述の「☆」の数だった。

「ランキング」のページを見ると自身のプロフィールの横に「レアリティ数」という項目と数字が書かれている。このレアリティの数字は、先ほどの「☆」の数の合計値である。
例えば☆1のカードが3枚、☆2のカードが1枚、☆3のカードが2枚あったら、レアリティ数は3+2+6で「11」になる。

ランキングページでは他にも「コレクション数」や「枚数」といった項目もあるが、これらはランキングと関係がない。あくまで「レアリティ数」の降順でランキングが並んでいる。

このランキング、私見としてはかなり「ニクい」。
総合ランキングというものがあり、持ってる☆の数の総数でランキングが構成されているが、それは良い。お金をたくさん使えば、全STARDOM CARD PARTYユーザーのなかで一番になれる。そこに充足感を感じる人は湯水のごとくお金を使いまくってガチャを引き、各カード20枚くらい保持し続ければよし。

一方で総合ランキング以外でもさまざまなセグメントでランキングを出している。個人的には、これが「ニクい」。
「月次」や「ランク内(めんどくさいから説明はしない)」の項目のほか、「選手別」という項目がある。これが「ニクい」。

例に出そう。
俺は今、「天咲光由」選手のランキングにおいて8位である(2023年2月17日 16:00時点)。全体で3613人いるなかでの8位。
頑張って集めたのだが、これにはいくつか理由がある。箇条書きにしてお届けしよう。

なんか8位になった

1. 天咲選手がかわいい
おっさんがいきなりこういうことを一発目に挙げると大概キモがられるが、こういうことを2番手、3番手に挙げるとむしろ「むっつり度」がファクターに加わってさらにキモさが油マシマシになるので、堂々と言おう。

かわいい。そしてかわいいは正義。むしろかわいい子に対して「かわいい」と言わずに生きてきた人生だが、「人はいつか死ぬ」とヒャダインさんこと前山田健一さんが先日の久保みねヒャダのイベントで言っていて、ありきたりな表現ながら「たしかに」とやたら刺さったので、敢えて言っていこうと思う。
そして天咲選手はかわいい。オッケーね?

天咲光由 選手=かわいい OK?

2. 「☆3」が出たから
危うく天咲選手がかわいいという話でこの駄文が終わりそうだった。
無償ガチャは「☆3」まで出る、という話は先述したが、実際には「☆3」に巡り合う機会はそうそうない。現に俺のアカウントでは7枚。2月1日から無償ガチャを毎日計6回回しており、ざっくり計算で計100回くらいは無償ガチャを回しているのため、現時点での確率でいえば約7%。
その7%の確率のなかで、「STARDOM CARD PARTY」を初めてごく初期段階で入手した「☆4」カードのひとつが天咲選手だったのも理由のひとつ。

ランキングのシステムを理解したタイミングで、「☆2」「☆1」を見ると天咲選手だけがダブり、つまり同じカードを複数枚持っていたことから自然とランキング上位に入っていたため、「あれ?なんか俺すごい天咲選手のファンみたいになっとる」と思ったが、前述や後述の魅力も相まって、なんとなく天咲選手を中心に集め始めた。
さすがにこれからどんどん数増えていくだろうから、たぶん「全員集めよう」なんか夢物語。そこまでお金使うんなら、積み立てNiSAとかする。知らんけど。

3. 選手としてなんか推せる
アイドルやモデルを好きになったことはないが、「人生において推しが多い方が幸せ」という格言がいにしえより伝聞されて10,000年ほど経っている世界線に存在している身としては、STARDOM でも推し選手はいてほしい。
そこで、2022年にデビューしたばかりの天咲選手。この選手、試合数で言えばたぶんまださほど多くない。「たぶん」というのは、そこまで逐一天咲選手の試合を観ておらず、把握していないからである。
STADOMでは「STARDOM WORLD」なる動画配信サービスを運営しているが、入会はしていない。試合によっては別途PPVとなっていたり、YouTubeで無料公開されたり、というのを見聞きして二の足を踏んでいる。というか今は入る気が起きない。
そのため全試合を追っているわけではない。

ただ、2022年12月16日に行われた「NEW BLOOD 6」で初めてSTARDOM 主催の試合に足を運んで観た俺としては、その日の1試合目にふさわしい試合を観せてくれた天咲選手は推せる。
詳しくは各々公式YouTubeとかで観てもらえればいいが、「はじめてリアルで観た試合」で「デビューして間もない選手」の「魅力的な戦い」を観させてくれたの個人的には推せる理由に十分なりうる。

新日本プロレスで言えば、オカダ・カズチカ選手は日本に戻ってきて目覚ましい活躍をされているのを観て好きになったが、これが海外武者修行前のころからオカダ選手を見ていたら、今の活躍は胸に来るものが絶対にあるはず。
プロレスラーとして目覚ましい成長を見られるのは、男性だろうが女性だろうが関係なく絶対に楽しいはず。これから団体でも様々な変化が起こり、ファンを裏切りながら楽しませてくれるのがプロレスというものなので、今後のSTARDOMの足跡を追う指標として、天咲選手はタイミング的にもベストだと感じた。

以上大きく3つの項目に加え、「無課金でどこまでランキング上位に食い込めるか」を検証したく、トレードに勤しんでいる。

ベスト10にランクインして気づいたが、この選手別ランキングは、ある種その選手への信仰心を表していると捉える人もいるのではないか、と考える。
ちょっと頭がアレではあるが、そういう捉え方をいる人は、他のコンテンツでもいる。ある程度エンタメ業界に精通している人や、オタクと言われる種族の人なら周りにひとりはいるはず。

STARDOMファンが飛びつきやすいこのSTARDOM CARD PARTYだが、このサービス、果てはゲーム?アプリを運営する上で一定数必要となるいわゆる「廃課金ユーザー」がどの程度いるのか、これが気になるのでざっくり調べてみた。
結論から言うと、このサービス、あんま廃課金ユーザーがいないな、という予測が成り立った。

天咲選手を例に挙げると、ランキングの母数は3613人。そのTOP10のユーザーのカードコレクションを見る限り「☆4」と「☆3」の数が多く、これまで配布された無償コインだけでは揃えきれないくらいの枚数を持っており、10人中8人は必ず一定額課金をしているのだろう、というのが伺える。
さらにこの課金プレイヤー(仮)の8名のなかで「☆4」の数が異常に多いのが6名。

その6名は「☆1」が異常に少ないのだが、実はこれも課金をしていることを裏付けている。なぜなら、有償コインでは逆に「☆1」は取得できない仕様となっているからである。「☆2」から「☆4」のカードまでを排出し、「☆1」は無償コインでの入手となる。

話を戻すが、もちろんその6名が今も課金をし続けているかどうかはわからない。ただ、母数3613のランキングの少なくとも上位勢の6名は課金しまくっているという仮説を立てられる。

この母数が見えてしまうことも考え物ではあるが、穴ぼこだらけの推論ながら、天咲選手内ランキングの全体の1%未満のユーザーが廃課金勢というのは、もし俺が運営しているサービスと考えたら、なかなか課題が多いと感じられる。

俺の天咲選手のレアリティ数は「97」で、先述のとおり8位。
一切課金をせず、日々コツコツとトレードを重ねて1週間程度で8位になったのだが、それはあまりにもイージーすぎる。俺よりもっと天咲選手のことを好きなファンは絶対にいるし、それは絶対に7人以上いるはず。

ゲームアプリで定説として言われているのは、約3%の廃課金ユーザーが居座り続けてくれれば、そのサービスは安定すると言われている。これも数年前のデータなので今となっては古い情報かもしれないが、セグメント別で見てこの数値なのは、不安を覚えてしまう。

もちろん上位ランクにまだ入っていない、昇りあがっている課金ユーザーも今いるかもしれないが、特に大きな仕掛けや宣伝もされていないなかでその割合が増えるとは現段階では考えにくい。

この駄文を通して何が良いたいか。それは決して「STARDOM CARD PARTY」のサービスに文句を言いたいわけではない。お金を使ってすらいないサービスに対して文句なんか言えるわけがない。
ただ、強く言いたいのは、STARDOMというプロレス団体に対するファンの熱量をやや見くびってしまっている懸念があるのでは、と運営会社に申し上げたい。

もっとやっていいと思う。
たぶん少なくとも天咲選手のことを好きなユーザーは、お金の使い先がもうなくなっている。新しいデザインのカードや、タッグチームのカード、必殺技のカードなど、バリエーションはいくらでもあるのは運営側も重々承知なのかもしれないが、もしかしたらこの手のサービス運営において必要とされる程よい枯渇感があるのでは、というのは勘違いで、逆に満腹感で満足してしまっているユーザーが多くなってきているのではないか、と考えられる。
たかだか124種のカードはオードブルくらいの量だが、そのオードブルでお腹いっぱいになったユーザーがただ放置し、気付いたらランクが下がって、モチベーションが落ちていずれ忘れる。

このサービスがSTARDOMをもっと面白くしてくれるのかどうかは定かではないが、STARDOMにはエンタメ性があるし、団体そのものはきっと今後もあり続けるだろうから、その受け皿のひとつとして、このサービスをもっと充実させてほしい。

こういうことをやっては、という話になると、もはやそれはコンサル会社だったり中の人が考えることなので、びた一文払ってないユーザーがこれ以上とやかく言うのは野暮だが、何度も言うように受け皿としてはすごく貴重なサービスなので、頑張ってください。

そして天咲選手も頑張ってください。

以上、半蔵でした。
ちなみに散々アプリアプリ言いましたが、実際はアプリではなくウェブ上のサービスみたいなものなので、各種アプリストアでは配信されていないのであしからず。俺は5000字も何を書いてんだ。

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