
“いよいよ”2024年7月6日に復活、「お茶の水、大勝軒」


仕事でも普段の生活でも「いよいよ」という言葉を使ってしまう。いよいよやってくる、いよいよ公開、いよいよ◯日から、うんぬん。記事でもよく見るし僕も油断するとすぐ使っているけれど、なんだか気持ちの入ってない「いよいよ」も多い。「今年もこの季節が」くらいでも「いよいよ」になってしまう。でも、「お茶の水、大勝軒」の復活に関しては、まさに「いよいよ」の感があるし、人に言いたくなる「いよいよ」なのでここでまとめたい。
「お茶の水、大勝軒」が休業となったのは2020年のこと。2018年にお邪魔して以来、 何度も食べに行っていた店だったので、本当に残念なニュースだった。この店は御茶ノ水にも神保町にも近く、仕事帰りにによく利用していたのだ。店の歴史はお店のホームページにしっかり書いてあるのでこちらを見ていただきたいが、簡単にいうと、つけ麺(もりそば)レジェンド山岸一雄さん「東池袋大勝軒」の味を受け継ぐ店だ。店主田内川さんは山岸さんの過去レシピを復刻させることを条件に独立し、以後、もりそばはもちろん粛々と昭和の味を今に再現。復刻カレーはあらゆる賞を受賞し、さらに彼は山岸さん生誕の地、長野県山ノ内に「大勝軒」をオープンさせた。
https://taisho-ken.tokyo/group/
山岸さんの「大勝軒」の歴史を紐解くと、中野「大勝軒」さらにそのルーツ荻窪「丸長」まで遡ることになり壮大な町中華歴史絵巻になるので、ちょっとここではやめておくが、東京の町中華、メン食文化を語るうえで外せない店とだけは断言しておこう。それだけに、「テナントビルの建て替え」というやむを得ない理由とはいえ休業になったことは、御茶ノ水・神保町界隈のビジネスマンたちに大きな衝撃を与えたはずだ。たまにこの近辺に行く僕ですら、なかなかのショックだったのだから!その店が復活するのだから、今こそ「いよいよ」という言葉を使いたい。本当に待ってました、いよいよですね!

先日、7/6の再オープンに先立ってオープニングレセプションがあり、参加させていただいた。あらためて、この店は「昭和」を味わえる店だと実感する。これまで食べたことのなかった「復刻チャーハン」をいただいたのだけれど、かなり味が強い男前チャーハンだった。チャーシュー、ナルトの塩気がドラ・裏ドラみたいにのっかって得点がさらに高まっていく(注:僕は麻雀をあまり知りません)。全体的にガツンとしているのはラードのおかげで、チャーハンしっとりVSパラパラ論争みたいなものが、どうでも良くなるような潔さ。グルメだ美食だ、懐かしい味だのとこちらがどーのこーのと語る以前に、原始、チャーハンはカロリーであった、という至極当たり前のことを教えてくれる。これと餃子2〜3個で夕飯が済んだ。低糖質とかカロリー控えめとか、令和でもてはやされている言葉は「昭和」には太刀打ちできないんだなあ。また太っちゃうなあ、と言って多少の後悔。腹をさすりながらも再訪することは確定している。
神保町界隈はカレーの街でありながら町中華激戦区「中密地帯」である。かつては、すずらん通りに「康楽」という味も人もやさしい町中華があった。今も御茶ノ水駅前の「山田屋」、神保町の「三幸園」、「中華 成光」とこのあたりは伝統的な店も多い。最近は新御茶ノ水「萬龍」も繁盛店だ。個人的に昔から好きな「大興」という渋い店もある。「お茶の水、大勝軒」の復活もあり御茶ノ水、神保町は今一度探検しないとなと強く感じる。うん、低糖質・カロリー控えめは普段(なるべく、無理せず、できうる限りで)、頑張ろう。