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公務員(市役所職員)から司法書士への転職について
こんばんは、ハンクスです。
ブロック研修及び中央研修も終わり、積読状態だった専門書を読みながら転居・転職の準備をしている今日この頃です。
※2月1日に実施された登録予定の単位会研修参加の際に、書店において更に専門書を買い集めてしまったのは秘密。
本年度合格同期の方で、自分と同じように公務員から司法書士への転職をしている方がいる一方で、同じく同期の方から「公務員を辞めるなんてもったいない」というコメントも頂戴したので少し考えを整理しようと思います。
(1)司法書士を目指した経緯
「司法書士試験に合格するまで」シリーズにも簡単に記載しましたが、詳しくまとめると以下の通りとなると思います。
①社会問題に対し、予防的に関与したいという思い
都市圏ではない、一般市の地方公務員として働く上で感じていたのは、人口動態の変化の影響、すなわち少子高齢化と人口減少問題でした。
私の暮らしている自治体は、自然現象(死亡数が出生数を上回ること)及び社会減少(主に進学・就職での転出)により年間約1,000人ペースで人口が減っています。単純計算で、就職した年から現在まで15,000人~20,000人弱の人口が減少していることになります。
その影響を一番に感じたのが、固定資産税課税事務に携わっていた時です。相続の発生に伴い次の納税義務者を特定する作業の中で、相続登記がされていない結果、相続人が多岐にわたり非常に困難な業務となったり、度重なる相続放棄の結果、実体的に誰にも活用されない不動産が発生したりする状況に直面することがありました。
権利関係が複雑な不動産や、実体的に誰にも活用されない不動産の存在は自治体にとっても大きな問題となるはずですが、このような定例的・基幹的事務に対しては残念ながら予算も人的資源も十分ではありません。
そのような中で、より社会問題に予防的に関われる仕事をしてみたいという思いで、司法書士の資格に挑戦しようと考えました。
②「地方創生」施策に振り回される違和感
全国的な地方の人口減少のテコ入れとして国主導で「地方創生」施策というものが始まりました。一応理念としてはこれは素晴らしいと思います。地域の良さを生かして産業創出し、人口の地域定着を図るという構想は素晴らしい施策です。
しかし現実としては、行政施策によって人々の社会活動の変容を促すのは至難の業です。地方から都市圏への人口流出を解決するために、単に幼児期の子育て環境や働く場の創出という問題を何とかすればいいというものではありません。個人のライフスタイルの多様化の中で、一定数は地方への人口回帰はありますが、全体でみれば経済的・文化的に優位に立つ都市圏への人口移動は避けられないものとなっています。
そのような中で、国から交付金・補助金を得るための「計画」をつくり、一応は「成果指標」に基づいて色々と施策を展開するものの、毎年人口は減少していくという現状に、やるせなさを感じることも多くありました。
(2)地方公務員経験は司法書士として役立つのか?
①これまでの業務から役立ちそうな面はある
リアルにお会いしたことのある方にはお話ししていますが、私は市役所職員としてかなり広い分野の仕事をしてきました。
その中でも、固定資産税課税業務で学んだ相続人調査に関するノウハウは司法書士として働く上で直ぐに役に立てることは出来そうです。
また、建設系部局に居た経験から、公図や字切図を読むことは抵抗はありませんし、都市計画法や建築基準法による制限についても、飲み込みは早いと思います。
加えて、詳細は伏せますが、保健師の職員と業務を共にしたこともあり、その中で福祉行政に関することもある程度知見を得ることが出来ました。そういった面では、生活困窮者や障碍者支援という分野も全くのゼロからのスタートではないのではないかと思います。
個人的には、役所の中で花形と言われる官房系部署(財政・人事・企画等)に居た経験よりも事業課や窓口部署にいた経験がこれからの司法書士としての仕事に役立ちそうな気がします…。
②経験しておけばよかった部署は?
10数年という間で様々な業務に携わってきた私ですが、心残りがあるとすれば農政関係の経験は無いこと。特に、司法書士として働くことを考えると農業委員会は経験しておいても良かったのではないかと、今更ながら考えております。
行政職員から士業に転身する強みは、やはり行政内部での手続き・審査の流れやポイントを理解している面だと思います。それが分かっているだけでも、士業として仕事のスムーズな段取りに繋がるのではないでしょうか。
そういった面では、特に地方で働く上では農地転用手続きに関する農業委員会の業務は「中の人」として知っていても良かったのでは…?と思う限りです。
加えて、生活困窮者支援という面では、やはり生活保護ケースワーカーの業務は経験があっても良かったのではないかと思います。比較的若手の職員が配属される部署ではあるのですが、私はケースワーカーとして関わることは無い世界でした。
紆余曲折あったが、公務員経験は無駄でなかった
一般に公開するnoteなので、色々な経緯や思いはこの辺りまでの公開としたいと思います。勿論、地方公務員としては理不尽なことも沢山経験しました。一方で、公務員の給与体系や福利厚生といった身分上のメリットについて、色々と思う処も生じてきました。
「公務員を辞める」ということについて様々な割り切れない感情が混ざっているということはお察しいただきたいです(笑)
ただ、間違いないのは、これから司法書士としての将来展望を考える上では、これまでの公務員として働いてきた経験は必ず生きると感じていることです。地方の小さな役所でしたが、行政内部の手続きや意思決定プロセスがどのような流れなのか把握しているという点や窓口で様々なお客さんに接した経験は司法書士としても活用できると考えています。
・・・ということで、司法書士試験に挑戦する地方公務員の皆さんを募集&応援しています(笑)
本日もここまでお読みいただき、ありがとうございました。