媒体を通して社会に問う ①
最近本屋に面展されていた本に何となく惹かれて、図書館にあるか調べたら、予約人数も少なく、割とすぐに届きそうだったので手続きをした。間もなく手に入り、今現在読んでいる。
私が初めて手に取る作家の作品。借りた本は、小説ではなく、エッセイともとりにくい。もしかしたらエッセイというのかも知れないが、この方の本職は小説家でもエッセイストでもないようで、プロフィールから読み解ける肩書は、私の知識からは手に取るようには把握しにくく、大きな括りでいえば、ライターいう名の文筆業を生業とされているようであった。
以前、別の方が書いたベストセラー本に似ていると思った。内容は、とても物事をよく考える息子さんの話で、それに対する、母親である著者が、思ったこと、感じたことを主として綴られている。子どもの姿を見ながら、親である著者が刺激を受けつつ時に学んでいく様子が、類似していると思った。
また、淡々とした語り口も似ている。喧嘩や討論の様子も描かれてはいるが、私の周りにはなかなかいない感じで、知的で、子どもの言葉に寄り添い、忙しそうなのに子育てに関しては、とても落ち着いて関わっている様子が伺える。生活に追われて苛々しながら家事に育児に奔走しているタイプの母親なら私も度々見てきたが、全く対極にいるような雰囲気だ。私が知らないだけで、そんな風に子育て出来る親というのも一定数いるのだろうが、ばたばたギャーギャーしながら疲れ果てている母親の方が一般的だと感じてしまう私は、社会の一部しか知らないということだろう。
現在その本は、ようやく半ばを過ぎたところである。面白くてどんどん読み進めてしまう…という類の作品でないことは、既に気付いている。しかし、私に同じ年頃の息子はいないし、子育ての義務も経験もないからしっくりこない…というのではない。〝似ている〟と感じたベストセラー本を読んだ時も、それほど夢中になれず、実際読み終えるのに苦労した。いずれも私には知的過ぎるのか、唯単にしっくり合うのとは違うというだけだろう。
業界で各種賞に入るような作品が、私には合わないことが多い。本は好きだが、高く評価される作品に、共感したり感動したりする力が、私には備わっていないだけなのかも知れない。もしくは、心に当たることと思えば、知力が足りないか…。
因みに、嘗て関わりのあった優等生の小学生は、私が以前、苦労して読んだ方のベストセラー本を、「面白かった」と言っていた。現在中学三年生だが、未だに超優秀である。