若いパパの挑戦
犬の散歩で行ったいつも公園に、子ども二人連れの若い夫婦が居た。ブランコに乗る男の子と女の子を、夫婦で見ていたが、思い立ったように父親がその場を離れた。向かった先は鉄棒だ。
高さは三段階。大人の男性とはいえそれほど背は高くない。横はちょっとぽっちゃりに見える。辺りは既に陽が沈んでいたから、黒っぽい上下を着た彼の顔ははっきりしない。若いと思ったのは、その動作のせいで、実年齢が本当に若いかどうかはわからなかった。
徐に逆上がりを始める。手の平を逆手に構え、足を振り上げたが、身体が鉄棒に絡むことはなく足が戻って来る。代わりにポケットから何かが落下した。拾い上げたものに明かりが点く。落ちたのはスマホだった。
拾ったスマホをポケットに入れ、再挑戦。結果はさっきと同じ。逆上がりは失敗し、スマホは地面に落下。その度に拾い上げ、スマホはポケットに…。その後、何度挑戦したか知らないが、見ていられなくて我々はその場を立ち去った。
大人が…逆上がり出来ないからではない。
大人が…何度も落下させているのに、スマホを懲りずにポケットにしまうからだ。多分、逆上がりが成功したとしても、スマホはポケットから落ちると思う。高価な電子機器に拷問のように衝撃を与えて何になるというのか?学習せよ、と言いたかった。
近くには妻も子も居り、荷物を置くようなベンチも点在している。逆上がりを練習するために、スマホ壊したら何にもならないのではないのか?
色んな人がいる。私には理解出来ない人も、それ相応に。