病院通い

 急遽検査になるかも知れないから、朝一、絶食で受診した。したのは血液検査のみ。造影剤を使ったCTは半月後に、大腸カメラは一ヶ月後になった。診察代だけで7千円近くかかったのでびっくりした。今まで多くても4千円弱だったから、医療費って結構かかるんだな…と衝撃だった。大きな検査が以後、二件あるので更にかかるだろうが、今はお金のことがあまり気にならなかった。それだけ不調が続いている証拠だと思う。
 医療費を無駄だと思って、基本、病院へは行かない。可能な限り自宅療養で、掛かりつけは自分ではどうにも出来ない歯科と皮膚科だけだったから、ちょっと熱を出しただけでもすぐ病院へ行く友人が信じられなかった。しかし今回、流石に自宅療養ではどうにもならなくなったから、病院へ行ったのだった。
 前の日、休診日にも関わらず、チャットに応じてくれた医師は、〝たまたま〟メールに気付いたのだそうだ。〝たまたま〟ということは、休診日だと普段は、そのツールにアクセスしないのだと思う。返信をもらえたからこそ、助言を仰げ、今日の受診に至った。これも何かの縁だと思った。
 診察後、一旦引き上げ、血液検査をして大腸カメラの説明を受ける。前日食、絶食、下剤…の話にあわあわする。食べられないことほど辛いことはないが、最近、動いていないのに食べる量が減っていないうえ、明らかに代謝が落ちているせいで、3年のうちに5キロ増えた体重が増加の一途を辿っていた。空腹感を感じることは減り、お腹は常に張っているから、たまには中身を空にするのも良いかも知れない。ちょっとは痩せるかも…?でも普通に食べるようになったら、すぐ戻るのだと思う。
 血液検査の結果を待つ間、持ってきていた本の、一冊目の僅か残りを読み終えてしまった。席をひとつ空けて座っていたご婦人が、名を名乗り、「呼ばれたら、「お手洗いに行った」と伝えてもらえますか?」と私に言って、席を立った。彼女の隣には別の男性が座っていたが、席の近いその方にではなく、私に依頼したのは同性だったからだと思う。話している間、ずっとおならが鳴っていた。消化器内科だから、皆それぞれに苦しい不調を抱えているのだろう。子どもの頃、不意に出てしまったそれを、誰かが聞き捨てずにからかいの的にした。囃し立てるのは主に男子だが、陰口にして広めるのは女子だった。大人になった今、人と話していて、相手から不意に出てしまうことがある。聞いていないフリをするが、相手は割と普通に「あ、おなら出ちゃった」と口にする。笑いもしなければ変な顔もしない。わざとじゃないし、そもそも皆出るものだし、我慢せずに出した方が良いものだから肯定する。私が寛容なのではなく、子どもというものが残酷なのだと思っている。勿論、ふざけたり不快な思いをさせるためにわざと出す人は、私だって嫌悪するけど…。
 血液検査から重篤な病名を予想させる結果は出なかった。代わりに、処方薬がどっさり出された。整腸剤が二種類と、漢方薬。そして痛み止めと胃薬。二週間後に経過観察のため、再診予定だったが、紹介を受けた総合病院のCT結果が、当日までに間に合わない可能性があり、再診はなくなって、一ヶ月後の大腸カメラの時に併せて話を聞くことになった。因って薬は27日分まとめて出される。
月曜日だったこともあり、受付開始時間より前に来たにも拘らず、帰る頃には待合室の席はいっぱいになっていた。間に合いそうなのでそのまま、駅が4つ先の皮膚科へ向かう。蕁麻疹の薬が間もなく尽きるのだ。
 帰りに寄った処方箋薬局でも散財した。医療費が一日で万を越したのは初めてだった。
 帰ったら歯科医定期健診の知らせが届いていた。今月は病院漬けになりそうだ。出来たら今月中に仕事が見つかり、来月から是非とも働きたいが、仕事との縁を繋ぐ神様は、今、何処でどうしているのだろう。
 夕方、CT検査が入っている同じ日の午前中に、定期健診の予約を取った。


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