素敵店員降臨

 シャトレーゼへ行った。近くにオープンしてひと月半くらいで既に3回目だった。
 いつも大体いっぱいである。意図せずに、しかも初めて車で行ったので、駐車場もいっぱい。近いから徒歩に限ると実感したが、この日は所用があって、出先からついでに寄ったから仕方ない。いっぱいだったが、割とすぐに停められたので悪くなかった。
 蒸し暑かったので冷たいものが欲しかったが、お腹の調子がずっと悪い。ロキソニンを切らしているから、2日ほど鎮痛剤を我慢していた。多分もう、快方に向かうだろう…と思っていたからだ。なのに夜眠れないほど悪化した。
 用事を済ませた後、眠れなかった分、眠ろうと布団に入ったが駄目だった。うとうとするのに痛みで目覚める。ごろごろしただけで結局眠れず、昼になったから洗濯物を入れて昼を食べて…と思いながら身を起こしたら、吐き気がした。痛みが酷過ぎて震えて来る。これは拙いと思い、全て放棄して再び布団へ…。震える手で開いている病院を探す。婦人科も消化器内科も、行ったことがあるところもないところも休診日だった。土曜日、午後を回ったところ…。無理せず前日にでも受診しておけば良かった。
 口コミを見ながら開いている病院を探す。評価があまりにも両極端で、結局諦めた。軽めの鎮痛剤を、ダメ元で飲む。相変わらず痛いし震えも止まらないが、少しマシになった。
 血圧が下がっている気配がしたので、無理にでも少し食べた。そしてひたすらお湯を飲む。寒くはないが、腹痛の原因の一つは、自覚できない冷えだ。箸を持つ手がアル中患者のようだった。
 犬のための焼き芋を、買いに行くのに間に合わなかった。
「暑いからいらん」と母は言った。しかし石焼き芋…この季節、週に一回あるかないかだ。人は食べないが、犬は大好き。体調不良に免じてもらうことにした。
 痛みは残るが震えは止まった。今のうちに所用を済ませる。要返却の楽譜をコピーしに行き、図書館まで予約の本をピックアップしに行った。駐車場の出入り口が、工事の関係で過去十数年のうち初めての状態になっていた。入口と出口がそれぞれ一方通行になっている。いつもチェーンがかかっていたところが、出口に早変わりすることを初めて知った。お陰でシャトレーゼが近くなった。
 レジは行列だった。横並びで二ヶ所、レジ係も二人だ。並んで見ていたら、左側の人の接客が何だか素敵だった。無理ない範囲でとても明るい。マニュアル+α感満載の言葉掛けが、気遣い満載だった。30代から40代。右はお人形みたいに可愛い20代前半。左の人に当たれば良いな…と思っていたら当たった。
 休みなく言葉を発する。疲れてしまわないのかな…と思ったが、とても自然体だった。言葉の端々に優しい人柄が滲む。作られていない笑顔も素晴らしかった。
 過去二回は平日で、そして散歩途中の宵の口だった。時間的なもの、曜日的なものなのか、接客してくれたのはいずれも若いお姉ちゃん。オープンして間もないから仕方ないが、一人はとてもたどたどしく、ベテランの女性店員のサポートが度々入った。表情も硬かった。
 今日の人も、管理職とか指導者とかではないと思う。そこまでの貫禄も、重役感もなかった。だけどとっても素敵。ただのお礼では足りない気がして、こちらもプラスα足した。
「ご丁寧なお気遣い、ありがとうございます」
 体調不良は若干、和らいだ。


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