スティーブン・ユニバース シリーズ5 備忘録・感想
スティーブン・ユニバースシリーズを一言で語るならば、「愛」でしょう。愛の素晴らしさ、そして、愛ゆえの過ち・すれ違い、が少年スティーブンの成長とともに描かれる本作の人間理解の深さには驚くばかりです。
もう一つ、スティーブン・ユニバースを最後まで見て思うのは、本作はよくできたミステリでもあるということです。物語が進むにつれて、「実はこういうことだったのか!」と唸ることの連続で、世界観や設定の深さに溺れる楽しさを存分に味わえます。また、この世界についてスティーブンよりも知っているはずのジェムたちが語るのはあくまで世界の断片、1つの見方に過ぎません。少しずつ、全体像が明らかになっていく、けれども、最後の最後まで、視聴者の予想を超えてくる。そんな深みのある作品だと思います。
とはいえ、設定の深さには一度見ただけではどの話がどんな内容で、どの話とリンクしているのか、わからなくなってしまう側面もあります。
dTVチャンネルのサービス終了が決まり、しばらくシーズン5以降をみることは叶わないと思いますが、吹替版が放映された時に、字幕版の内容や感想を思い出すため、そして、各話の連関を自分なりに整理するために簡単な備忘録・感想をまとめておきたいと思います。
シーズン4までは吹き替え版で視聴。シーズン5とムービーは2020年12月、フューチャーは2021年12月に字幕版で視聴。
今回は129話から160話まで。
・129話 人質たち(原題 Stuck Together)
スティーブンの友達を拐いにきたアクアマリンとトパーズからみんなを助け、自分がローズクオーツであると名乗って代わりに故郷の星へ向かうスティーブン。宇宙船の中に残ったままだったラースとともにトパーズの体内に閉じ込められてしまいます。
いつもビビリでダメな自分に落ち込むラースと、128話の自己犠牲で突っ走っているスティーブンも怖かったんだな、と泣いているスティーブンを見てなぜか安心しました。
合体トパーズいい人!と思ったら反逆失敗…。
・130話 ローズの裁判(The Trial)
スティーブンを被告に、ローズクオーツがピンクダイヤモンドを滅ぼした事件の裁判。弁護人のジルコンはどうして護衛は誰も彼女を守れなかったのか、と疑問を呈します。
イエローダイヤモンドとブルーダイヤモンドが言い争う隙に、ラースとスティーブンはパランキーンで脱出。宇宙での展開のドキドキ感、好きだなー。
・131話 はみ出し者(Off Colors)
ロボノイドに追われて、地下の洞窟へ。そこでルチルの双子、フローライト、ロードナイト、パパラチア、と出会う。
「怖いのが普通」と思えたラースはロボノイド相手に大活躍! しかし…。
・132話 ラースの髪(Lars Head)
なぜ、ライオンはピンクなのか…が判明。ラースの髪から異空間を通ってビーチシティに戻ってこれました。
→「107話 バディの本」にて、バディが世界を巡っている際に、ローズがライオンたちを引き連れて登場。きっとこの中の一頭なのでしょうね。
・133話 市長の責任(Dewey Wins)
コニーと再開しますが、2人の間には温度差が。
誘拐事件の責任を巡り市長選にもつれこんだデューイを、応援するスティーブン。準備を一緒にしてきたのに、デューイがあっさり諦めてしまうことで、コニーの気持ちに思いを巡らせることができるようになります。
→ところで、ビーチシティの住人は24人しかいないのでしょうか…。
・134話 別荘で休暇(Gemcation)
コニーから1週間も連絡がなく落ち込むスティーブンを、パパとジェムズは別荘に連れ出します。しかしスティーブンは上の空・・・。
→スティーブンが宇宙に行ってしまった後の様々な気持ちを、パパは一緒に過ごすことで、コニーは距離を取ることで、解消しようとしています。人にはいろんなやり方があるんだよ、と伝わってきます。
・135話 ラピスの決断(Raising the Barn)
ラピスが納屋ごと宇宙へ。一緒に戦おう、と語るペリドットが好きです。
→正直に自分の心を話したとしても、すれ違ってしまうことはありますね…。
・136話 再び幼稚園へ(Back to the Kindergarden)
落ち込むペリドットを気分転換に幼稚園に連れていくスティーブンとアメジスト。ジェムを作り土壌の栄養が枯れ果てていたはずの幼稚園に花が咲いているのを見た3人は、ここでひまわりを育てることにします。
・137話 セイディ・キラー(Sadie Killer)
クールな3人組とバンドを組むセイディ。
最高に好きな回です。
・138話 最高のパーティー(Kevin Paty)
ケヴィン主催のパーティーへ。コニーとスティーブンが和解。
・139話 宇宙のラース(Lars of the Stars)
ラース絶好調!!からの、エメラルドの戦闘にステボニーが参戦。
ラースを放ったらかしにしすぎでは、と思っていたので、少し安心、笑。
・140話 サバイバル(Jungle Moon)
ある星に不時着し、ラースたちと通信不能になったステボニーのサバイバル生活。夢の中でイエローダイヤモンドとピンクダイヤモンドの記憶を追体験します。
・141話 真実(Your Mother and Mine)
ガーネットが語る、反逆者ローズクオーツとクリスタルジェムズの誕生、そして故郷の星との戦いの軌跡。
影絵のような表現が好きです。
・142話 スターへの道(The Big Show)
セイディ・キラーズのバンド活動の様子をドキュメンタリー風に撮影するスティーブン。
・143話 別の未来(Pool Hopping)
未来を予知できるガーネットは、ありそうにない未来を見たいという思いから普段とは違う行動をし始めます。
猫スティーブンが登場。
→スティーブンの「ありそうな未来ではなく、あってほしい未来を考えよう」という言葉はガーネットの力になったでしょうね。
・144話 ラースへの手紙(Letters to Lars)
ラースに向けた近況報告回。みんな変わっていくんですね。
・145話 地球への思い(Can’t Go Back)
ラピスが月にいることに気がついたスティーブンは、彼女に会いに行きます。ダイヤモンドたちに怯えるも、寂しくて地球から離れ難いラピス。
そして、パールがピンクダイヤモンドを滅ぼしたのではないか、と悟るスティーブン。
・146話 パールの秘密(A Single Pale Rose)
ローズクオーツはピンクダイヤモンドが変身した姿であり、パールと共謀して滅ぼされたように見せ、戦争を終わらせようとした、まさかの真実が明かされます。
パールの中に、さまざまなパールがいる構成も含めて大好きな回です。
→パールが真実を告げようとしてもできず、口を塞いでいるシーンは今までにもいくつか出てきますね。134話 別荘で休暇、など。
・147話 事の起こり(Now We’re Only Falling Apart)
ローズに裏切られていた、と悲しむサファイアはルビーとの合体を解き、1人になろうとします。
パールによって語られる、ピンクダイヤモンドの過去編。
→パールは、ピンクダイヤモンドが地球に来る数千年前から、彼女に仕えていたとのこと。155話とSUF4話から考えると、地球に来る約2000年前から、かと思われます。
→ガーネットの合体を見て興奮するローズとの合体を試みるパール。「頼まれる前からずっと想像していました。あなたとこの地球で出会えたらと。今は従者ではありませんが、あなたを幸せにしたいーそれってバカげてます?」
→1人で秘密を抱えていたパールが、サファイアに「this whole time, we thought we were following her,but she was following us.(今までずっと私たちが彼女に従っていたと思っていたけれど、彼女が私たちに従ったのよ) How could she not after you swept her off her feet(あなたに心を奪われて)」、スティーブンに「ローズはパールと地球で暮らしたかったんだよ」と言われて照れるシーンが好き、というか、この後のパールは色々と拗らせていたローズへの感情を少しは昇華できたのではないか、と思うとパールの中のパールを見に行きたくなってしまいます。
(メモ 118話 2人のダイヤモンド で出てきた、アメジストたちの誕生シーンが描かれています)
・148話 真実の余波(原題 What’s Your Problem)
ルビーの家出に戸惑うサファイアとパール。
スティーブンとアメジストは捜索に向かいますが、アメジストはルビーの居場所よりも、母の真実を知ったスティーブンの気持ちに心が向いていました。
互いに心のうちを全て明かすことはしないものの、「責任なんか感じるなよ」と側にいてくれるアメジスト。
→こういうのは兄弟の愛のあり方っぽいよな、と思いますし、アメジストがシリーズ内で葛藤してきた結果の言動ですよね。
・149話 自問(The Question)
仲間のルビーやサファイアと合体してばかりで、自分の生きる道がわからないルビー。カウボーイになって独り立ちしようと試みますが、結局サファイアのことを考えてしまう自分に気がつきます。
ローズに言われたから、ではなく、自分たちの意思で合体を続けることを決め、サファイアにプロポーズします。
・150話 旧友(Made of Honor)
結婚式の準備を進めるも、列席できる仲間はほんのひと握りと悲しむサファイアを見て、ビスマスを解放したステイーブン。ビスマスは、ローズによってバブルに閉じ込められていた間の出来事、そしてローズこそがピンクダイヤモンドだったことを知り、葛藤します。しかし最終的にはスティーブンと友達になることを決め、ルビーとサファイアへプレゼントを送ります。
・151話 再結成(Reunited) 前編
スティーブンの母への戸惑いと、結婚式への期待が詰まった曲(for just one day let’s only think about love)からスタート。ミスターグレッグ回(it’s over isn’t itの回)もそうですが、パールのタキシード萌え。
結婚式では、ルビーがドレスで、サファイアがパンツルックなのが最高ですし、誓いの言葉を待ちきれずに言ってしまうサファイアも可愛いです。
式の後の披露宴の真っ最中、故郷からスティーブン(=ローズ)を追ってきたイエローダイヤモンドとブルーダイヤモンドが地球に襲来。クラスターが助けに来てくれて、イエローダイヤモンドの宇宙船と腕相撲勝負しているのがいい味出していますね。
(メモ ルビーとサファイアが合体して、ガーネットになったのが5750年前)
・152話 再結成 後編
披露宴を邪魔された怒りで、ブルーの攻撃を受けながらも気合いで彼女を足止めするガーネット。そしてそこに舞い戻るラピス!
ジェムズ各々が最大限の攻撃を仕掛け、ブルーを一度退けます。クラスターは宇宙船を破壊する奮闘を見せるも力尽きてバブルに戻り、宇宙船の中からイエローが姿を現しました。
強敵イエローの攻撃にスティーブンは本体と意識が乖離した幽体離脱のような状態になってしまいます。しかし、それを逆手にとって、イエローとブルーに自分がピンクダイヤモンドである、とオーラで示し、戦いを止めることに成功しました。
・153話 故郷の星へ(Legs From Here to Homeworld)
モンスターになってしまったジェムを元に戻すには、ダイヤモンド4人の力が必要とわかり、ホワイトを説得するために故郷の星へ向かいます。
→宇宙船、って合わせると人型になっていたんだ・・・!と理解(←遅すぎ)
・154話 記憶(Familiar)
ピンクダイヤモンドの部屋
スティーブンが昔、ジェムズに感じていた置いてけぼり感、劣等感を、ピンクダイヤモンドと他のダイヤモンドの関係でも表現しているのが深いです…。
・155話 ひとりはふたり(Together Alone)
パーティーを企画するも肝心のホワイトダイヤモンドは現れず。ダンスをし
たコニーとスティーブンはうっかりステボニーになります。続いて合体したガーネットとオパールはイエローの攻撃によって宝石に戻され、ステボニーも監禁されてしまいました。
(メモ 宮廷にピンクがいなかったのが、6000年間)
・156話 白昼夢(Escapism)
SUの不思議さ満点な回。スイカになって地球のビスマスたちに助けを求めます。
・157話 新たな心で(Change Your Mind)パート1
ブルーに対して、ピンクのことを監禁していたのか、と問うスティーブン。自らの行いを反省したブルーは、スティーブンとコニーを解放し、宝石になってしまったジェムズを取り戻しに向かいますが、イエローが立ちはだかります。
→ダイヤモンドたちの関係は、まさに家族で、ブルーが母、イエローが父、家長がホワイト、なのだなーと痛感。ブルーとピンクは親子関係、親子喧嘩、ブルーとイエローは夫婦関係、夫婦喧嘩なんですね。
→ブルーの「あなたを裏切り者だと思っていたけど、地球で幸せだったなら、きっと故郷があなたを裏切っていたのね」というセリフが印象的。
・158話 新たな心で パート2
ホワイトの宇宙船が一度地球に戻ろうとしたスティーブンたちを足止めしますが、ビスマス、ラピス、ペリドットが乗ったイエローとブルーの宇宙船によって殴り飛ばされます。
スティーブンは、ピンクダイヤモンドは逃げ、ローズクオーツは戦争を始めたことを引き合いに出し、逃げずに話し合うことを選択。ブルーとイエローも同意し、ホワイトとの対話を試みるも、彼女の支配下に置かれてしまいます。
なかなか宝石から出てこないジェムズでしたが、スティーブンとの合体を経て復活を果たしました(スモーキークオーツ、レインボークオーツ2.0)
・159話 新たな心で パート3
サンストーンになってホワイトに挑んだものの、弾き飛ばされてしまうガーネットとスティーブン。ついに、スティーブン、ガーネット、パール、アメジストの4人で合体しオブシディアンとなり、ホワイトダイヤモンドの内部に潜入することに成功します。ホワイトと対峙するも、ジェムズは次々と彼女の支配下に置かれ、スティーブンもお腹の宝石を無理矢理取り出されてしまいます。
→オブシディアン(黒曜石)は、溶岩が急激に冷える過程で作られる天然ガラスなので、マグマ(炎)がモチーフなんですね。
・160話 新たな心で パート4
ホワイトダイヤモンドに抜き取られたお腹の宝石は、ピンク色のスティーブンに姿を変えます。なぜピンクダイヤモンドに戻らないのかと狼狽するホワイトの攻撃を跳ね返し、スティーブン自身と融合するジェムのスティーブン。ここのダンスと「僕は僕だ、ずっとね」には、自身の存在や役割に悩み、迷子になっていたスティーブンが実感を持って自分自身になれたんだなと、嬉しくなりました。
完璧でない自身を責めるホワイトへの「ありのままでいることを許しなよ。みんなにも自分自身にも」という言葉は、シリーズを通したメッセージですね。
セイディ・キラーのライブ中に、ビーチシティに帰還するスティーブンたち。折りしもラースとはみ出し者も宇宙冒険を終え、地球に到着するところでした。
皆と再会を喜び合い、モンスターになってしまったジェムを元に戻し、物語は一度幕を下ろします。