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マーケティングの常識を疑え!これからはUSPではなくMSPが重要視される時代へ

マーケティングを学んでいくうえで一度は耳にするUSP(Unique Selling Proposition)。
平たく言うと、自社の商品やサービスの強みを見出し、他社(他者)との差別化をしろ!ということなのですが、この概念に縛られ過ぎるのは危険かもしれません。
海外では、ずいぶん前からこのUSPという考え自体が、もう古いと言われていますが、国内ではまだまだこの考えが最重要視されているような風潮がある気がします。

では、MSPとは何なのか。
MSPとは「Me Selling Proposition」の略で自分自身をブランディングすることこそが、販売促進につながるという考え方です。
SNSなどが普及している今、なんとなく「なるほど〜」となりそうですが、
それぞれ理解したうえで状況にあわせたマーケティングをすることが重要になります。

もちろん、USPが全く必要なくなったという話ではなく、MSPという考え方を知った上で、USP(差別化)をしていかなければならないということになります。

そもそもUSPとかMSPって?

はじめにUSPとMSPの違いについて少し解説したいと思います。
すでにご存知の方も復習するような感じで優しい目でご覧いただければと。

○USPとは
冒頭で示したように「Unique Selling Proposition」の略です。
1950年代ごろから提唱されている考え方でマーケティングをするうえで、よく語られるものです。

数ある競合、同じような商品・サービスが溢れているなか、自社の商品を手にとってもらうためには、必ず差別化が必要だ、という考え方ですね。

わかりやすいもので言うと、みなさんがお持ちのスマホ。
iPhoneをはじめとした製品が数多くありますよね。

たとえば、

「業界最高画質で新たな体験を」
「初の5G対応端末をその手に」
「驚きの軽さ。○○○グラムのスマホが登場」

のように、他者とのスペックの違いを出すことで、その商品の特長を押し出し、手にとってもらうことをねらった戦略です。

よく考えれば確かにそうですよね。
全く同じデザイン・スペックなのであれば、特定のものを選択する理由が生まれないので、当然売れません。

USPについて、詳しい話をすると、それだけで膨大な記事ができあがりそうなのでここでは控えますが、非常にシンプルな考え方といえます。

○MSPとは
一方、MSPとは、「Me Selling Proposition」の略です。
頭のUniqueをMeに変化しただけなのですが、考え方としては大きく異なります。

USPが他社との違いを示すのに対し、MSPは自分自身を軸にした戦略を行っていきます。

たとえば、YouTubeではおなじみのヒカキンさん。
今や、彼と同じような動画をアップしている方もたくさんおられますが、
圧倒的な人気は揺らぐことなく、今もトップユーチューバーとしての
ポジションを確立しています。

では、そこにはどんな違いがあるのでしょうか。

それは、彼の掲げる「みんなを笑顔にしたい」という強い想いが根底にあり、それを体現している動画がヒットにつながっているのだと思います。

これは単純に人気の動画を真似をして、お金を稼ぐことを目的にしたユーチューバーにはないもので、自分でも気づかぬうちにこの想いに共感してヒカキンさんの動画を見ている人が多いのです。
(彼のありのままのキャラクターには、自然と愛着がわきますよね〜)

この「いつの間にかファンになっている」状況を作り出すことが、事業を長く続かせるポイントになります。

このような顧客層(ファン層)ができていると、たとえ、事業が苦しくなってきたとしても、まわりの人が勝手に応援してくれます。
みんなヒカキンさんと会ったことはなくても、ある程度は、どんな人柄なのか、どういった歴史があるのかはご存知の方も多いはず。

こういった、商品やサービスを自分(自社)の人間性を含めて体現できているかがこれからの時代、問われていくことになると思います。

さて、ここまでで、USP、MSPの輪郭がうっすらと見えてきたと思いますので、もう少し深堀りしてそれぞれ見ていきましょう。

USP手法によるマーケティング

前述したとおり、競合相手には示すことができない特長をターゲットに提案することで、商品やサービスを売っていく戦略です。

テレビや車などがまだ一家に一台無いような時代は、他社との違いをCMなどの媒体で大きく打ち出すことで、大勢の人の目にとまり、購買につなげることができていました。

ですが、今の時代、モノは溢れていますよね?
また、同様に数え切れないほどの広告を普段の生活を送る中で目にしています。
そんな中、まったく知らない会社から「こんないい商品が出たんですけどいりませんか?」と言われて買う人はほとんどいないはずです。笑

ですが、たとえば、あなたが新しい洗濯機がほしいと考えているとします。
あなたはAmazonや価格ドットコムなどで、たくさんあるメーカーから製品を調べ、価格や性能を比較しますよね?

実はこのとき、USPは効果を発揮します。
なぜなら、自分の予算に合った製品に絞り込んだり、「乾燥機付き」が欲しいというニーズに対して、数ある競合製品のなかでの違いが示されているため、購入するきっかけが生むことができるからです。

USPは必ず必要なものなのだとは思うのですが、興味のない人に対するファーストコンタクトとしては、もう消費者のニーズと合わなくなってきているのだと個人的には考えています。

MSP手法によるマーケティング

特に個人事業主(フリーランスなど)の場合、とにかく自分を売ることを意識するあまり、やたらと長い肩書をつけたり、あれもこれもできるよーと、不自然なまでに自分を目立たせている方が多くいらっしゃいます。

が、これって、ものすごく胡散臭くないですか?
気持ちとしては分かりますが、「その分野は専門外でわからないんです〜」とはっきり言うような人間の方が僕は信用できます。

別の記事でも書いてますが、もはや「良い商品」なだけではなかなか購入してくれない時代になっているので、「誰」がその商品やサービスを売っているのかが、これからは購入や来店のきっかけになると思います。

この「誰」の部分をアピール(強化)するのに有効な手段としては、SNSがベストなのは間違いなく、自分の想いやこだわり、普段のライフスタイルなどに加え、弱み(コンプレックス)も含めて発信している人はやっぱり強いですね。
このコンプレックスに対してこそ共感が得られ、そこに等身大の自分を重ねるユーザーが出てくる。
やたらとハワイのビーチで撮った写真や豪華なディナーの写真ばかり投稿されている方もおられますが、そこに「憧れ」は生み出せても「共感」を生み出すことはなかなかできないはずです。


弱い部分があるからこそ、応援したくなりますし、ものごとがうまくいったときには、自分のことのように嬉しくなります。

映画や漫画の世界でも必ず主人公には、弱点が設定されていますよね。
スラムダンク(ちょっと古い?)で言えば、主人公の桜木は元不良でバスケ経験無し、そんな主人公が、いくつもの問題を乗り越えて、立派な選手になり大活躍する。
ここにストーリーが生まれ、共感が得られるわけですね。

この共感を軸にしたコミュニケーションこそがMSPの真髄であり、今の時代に最も必要とされているマーケティング施策なのかなと思います。