うまくいかなかった記録 ①
Monday's child is fair of face,
Tuesday's child is full of grace,
Wednesday's child is full of woe,
Thursday's child has far to go,
Friday's child is loving and giving,
Saturday's child works hard for a living,
And the child that is born on the Sabbath day
Is bonny and blithe, and good and gay.
美しいのは 月曜日の子ども
品のいいのは 火曜日の子ども
べそをかくのは 水曜日の子ども
旅に出るのは 木曜日の子ども
惚れっぽいのは 金曜日の子ども
苦労するのは 土曜日の子ども
可愛く 明るく 気立ての良いのは
お休みの日に 生まれた子ども
マザー・グースのうた/谷川俊太郎 訳
長崎に住んでいた時だからたぶん5歳くらいの頃、マザーグースの絵本を買い与えられてそれから小5くらいまでずっと読んでいた。堀内誠一さんの絵が良くて、詩的だったり不思議だったり、ときに寂しかったり残酷な歌詞の世界がカラフルに大胆に表現されていて美しかった。
同じ日に、ルイス・キャロルの鏡の国のアリスも買ってもらった。こちらもジョン・テニエルの挿絵が気に入って繰り返し読んでいた。ペン画の繊細な美の中に、ちょっとした不気味さが潜むタッチが大好きだった。
港に停泊した客船の中に絵本屋さんがあり、ぼんやりとだが、そこで父が買ってくれたのだと覚えている。船の中の本屋さん、ファンシーすぎてそんなことあるか?とも思う。マザーグースもアリスも、中身の幻想的な趣きがその状況に合いすぎていて、自分で作話したんじゃないかという気もする。40年前の長崎に、そんなしゃれたものがねえ……あったのかもしれないしなかったのかもしれない。
マザーグースの方は、2019年にやったルイゾナさんとの二人展の元ネタになった。「ジャッジメントパレス」というイギリス南部の童謡に歌われた大きなお屋敷があって、その中には亡霊のようにいつまでも佇み続ける人々がいる……そんな歌の世界を絵にしました!うそなんですけど、マザーグースとシャイニングとペンギン村をあわせたような雰囲気にしたくて……というステイトメント文を描いて展示した。今思うとだいぶ恥ずかしい。というか全然いまもなんだけど、当時はなおさらただ絵を描くということに必死で、コンセプトなんか考えることは出来なかった。
その時の展示がすごく楽しくて(おそらく人生で一番楽しかったのでは?)、以降なんとなく絵を描いたりZINEを作ったりして現在は無職、4年をかけて、前にも増してよくわからないおじさんになってしまった。
ルイゾナさん、海老沢さんと始めた「TARP」というZINEづくりも楽しかった。それが3年も続いて、参加するメンバーも11人になって、vol.4を現在制作中だ。最初の二人展に来てくれた人が、今もTARPの展示やイベントに遊びに来てくれたりする。不思議だと感じるし、とてもありがたいものですね。
ただずっと、TARPの絵を描くのは苦しかった。最初は勢いで描けていたのだが、号を重ねるごとに何を描いたらいいのかが分からず、締め切りぎりぎりになってなんとか絞り出したイメージを、残り少ない時間でけっして満足とはいえないクオリティで出す、ということが続いた。
俺の文章って、本題にたどり着くまでが本当に長い!CAN MAKE TOKYO.
続きは明日書けたら書くことにして、今日はもう寝ます。
ヘッダの画像は TARP vol.1 に載せた、沼のほとりのチャイナドレスの女の絵です。