どぶろっく優勝おめでとう(ウラジオ日記10)
noteとかはてなブログとかのこういう記事って、現地の挨拶からはじめたりする。ドイツの話ならGuten Morgen! 中国の話なら你好!みたいに。でもロシア語の挨拶を知らない。8日くらいいたのだけれど、まったく印象にない。海外から日本に来て、8日過ごして「おはよう」を覚えるか。多分、覚えない。だって知らない人に「おはよう」って言わない。都会ならなおさら。それはそれでいい。誰も自分のことを知らないというのは心地のいいものだ。
ちょうど日本を出る前にキングオブコントが放映されていた。その所為で頭の中ではどぶろっくの歌が流れている。日本で大声で歌ったら引かれるだろうが、(通報されかねない)異国なら誰にも意味がわからないだろうと歌った。「大きなイチモツをください 大きなイチモツをください」って。たまたま横を通ったおじさん三人がガイドブックを持っていて、それは地球の歩き方だった。
香港に行ったとき、帰ってから頭の中で流れていた音楽をプレイリストにした。香港は電子と音楽の街だ。だからそのプレイリストを作るのは楽しかった。
この旅でプレイリストを作るなら、どぶろっくばかりになってしまう。
そこにある乗り物には全部乗りたい。バス、タクシー、電車、ケーブルカー、船。ウラジオストクには一つ路面電車が走っていて、市場がある辺りを走っている。市場にも行きたかったから、それに乗ろうと思った。
市場には猫がいてカメラを向けると、首を傾けて、こちらを見る。自分がかわいいということをよくわかっている。それに何だか品がある。品という言葉はあんまり好きじゃないんだけれど、使ってしまいたくなるくらい。
平日だからか市場はあまり活気がなくて、拍子抜けする。町にはスーパーがいっぱいあって、市場よりも安く缶詰が売っていたりする。その所為かもしれない。スーパーには必ずと言っていいほどロッカーが備え付けられている。コインもいらない。簡単な鍵のついたロッカー。ホステルになくても町にセーフティーボックスがある。多分買い物したものを一時的に入れるためのロッカーだから、あんまりそういう使い方はよくないのかもしれないけれど、開いているロッカーがいくつもあったから、バッグを入れて身軽になれる。しかもスーパーは24時間営業が結構ある。ありがたい。
市場でタバコを買った。フィリップモリス150円。それから懲りずにピロシキを買う。それは結構美味しかった。
市場の入り口にはマクドナルドみたいなお店がある。赤地に黄色いWのマーク。マクドナルドのMを反転させただけ。「i'm lovin' it」のところには同じフォントで「i'm lovin' meat」と書かれている。ふざけている。ハンバーガーは売っていなかった。
スーパーの近くにケバブ屋があって、おいしそうだったから入ってみる。テイクアウトでケバブとビール。待っている間、親父が話しかけてきた。
「コvsbfるbtyrg?」
コしか聞き取れない。もしかしてロシア語でコリアンか?と聞いているのかもしれない。ロシアには韓国人と中国人が多くて、日本人はほとんどいない。
ヤポネと言うと、
「オー!コンニチワ!アリガトウゴザイマス!」とうれしそうに言って、握手を求められた。
それからもいろいろロシア語で言われたけれど、何を言っているかわからないから、こっちも適当に日本語で返した。「大きなイチモツをください」とか。
毎日握手をしている。一日一度誰かと。ちなみにケバブはめちゃくちゃうまかった。日本とは違う。中東が近いからか。