ウラジオストク国際空港(ウラジオ日記5)

こんなに寝たのは久しぶりだ。17時間くらい。家の近くにあるカフェバーは朝までやっていて、シベリア鉄道を意識した内装の中、軍服を着た店主が酒を作ってくれる。プーチンとかエリツィンとかザギトワとかマサルとか、ふざけた名前の酒が棚に並んでいる。どれもがアルコール度数が高く、行って後悔したことしかない。

せっかく日記がやっとウラジオストクに着いたのに、まだ続きを書けないでいた。パソコンの画面なんて見れたもんじゃない。17時間前にいたのもロシアみたいなもんだと、よくわからない言い訳をする。

ウラジオストクに着いたのは深夜の2時過ぎくらい。タクシーで向かうこともできるが。着いたところでホテルにチェックインできる時間ではない。ネットを見るといろんな噂があった。夜に着いてもお店は何もやっておらず、両替もできません。とか。そんなことはなかった。深夜二時過ぎでも両替所、お土産屋、コンビニ、ATM、カフェ、すべて開いていた。閉まっているお店ももちろんあったけれど。ほとんど開いていた。みんなでけだるそうに夜を明かしている。

ATMでキャッシングする。JCBが使える機械もあった。結構驚いた。とりあえず開いていたお店に入ると、ペリメニともう一つ何か知らない料理とビールを頼んだ。ペリメニはロシア風水餃子だ。そしてもう一つもジャガイモを包んだ水餃子みたいなやつだった。失敗した。おなかがいっぱいになる。でもペリメニはとてもおいしい。それから朝を待ちながら眠る。なんだか眠ってばかりだ。

店員に起こされる。よく眠った。外を見ると真っ暗だった筈の空は白みはじめていた。
外に出てみる。冷えこんではいるが、思ったよりは寒くない。喫煙所を探すと、バスターミナルのそばでタバコを吸っている人を見かける。ベンチがかわいいバスターミナル。ゴミ箱には屋根がついていて、そこでタバコをもみ消すと、ゴミ箱に捨てている。結構いい加減にもみ消すのを見ると、火事にならないのかと心配になるが、誰もそんなことは気にしていない。

海外にいると普段よりもタバコを吸いたくなるのは何でだろう。心を落ち着けようと思うのだろうか。僕もタバコに火を点ける。タバコの先が赤く灯り、白い息と紫煙が混ざる。上を見るとまだ月が見える。白い月が白っぽい空に浮いている。朝日のグラデーションが空を彩りはじめている。とてもきれいだ。異国の空というのは日本の空とはちがう。それは普段より上を見上げているからというだけなのかもしれない。だってウラジオストクと日本なんてそんなに離れていないからだ。わくわくした心がきれいに見せているだけなのかもしれない。でもとにかく異国の朝はきれいだ。赤色が差すと、夜の紫はもう消えていた。

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カナタナタ
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