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プロ野球戦力分析(西武編)


 6月19日に開幕が迫った日本プロ野球。今日は昨年度パ・リーグ連覇を果たした埼玉西武ライオンズ(西武)について分析する。


•投手陣の入れ替わり


 K.マーティン、F.カスティーヨ、D.ヒースら外国人5人が退団。大石達也、小石博孝が引退、松本直晃が琉球に移籍するなど、総計10投手が退団。

 新加入投手は中継ぎ候補の右腕外国人R.ギャレット(米 /レンジャーズ)、先発候補の左腕外国人S.ノリン(独立 /ロングアイランド)、帰ってきたベテラン右腕松坂大輔(前中日)。ドラフトでは1位で先発候補右腕宮川哲(東芝)、2位で中継ぎ候補左腕浜屋将太(三菱日立パワーシステムズ)、3位でサイドハンド右腕松岡光希(BC /埼玉武蔵)、6位で左腕井上広輝(日大三高)、7位で右腕上間永遠(四国 /徳島)を指名し、獲得している。育成でも一人指名している。


•投手陣の再建は必須


 チーム防御率はリーグワーストの4.36。パ・リーグ最下位のオリックスがリーグ5位の4.06だがそれよりも悪い。特に先発防御率が4.64でこちらもリーグワーストと悲惨だ。救援防御率も3.88でリーグ5位と決して良くは無い。
 そもそも、西武は山賊打線と呼ばれる程の得点力ある打線で打ち勝つチームだが、それでも酷いものだ。

 先発は外国人右腕Z.ニール(32)が来日1年目から12勝(1敗)、防御率2.87と大活躍。17試合の先発で100.1回と規定投球回に届かず、シーズン途中からの活躍だったが、勝ち運でチームを救った。今季は開幕投手に内定済。
 しかし、2番手以降が悲惨で、初の二桁勝利を達成した右腕高橋光成(23)は21試合10勝(6敗)ながら123.2回投げて防御率4.51、右腕今井達也(22)は23試合7勝(9敗)、135.1回で防御率4.32、大卒ルーキーだった右腕松本航(24)は16試合7勝(4敗)、防御率4.54、右腕本田圭佑(27)は16試合6勝(6敗)、防御率4.63。サイドハンド右腕十亀剣(33)は19試合5勝(6敗)、防御率4.50、一昨年途中移籍で先発として復活した左腕榎田大樹(34)は13試合4勝(3敗)、防御率6.52に終わっている。今季はそこに社会人出ルーキー右腕宮川哲(25)が加わるが、果たして。また、今季支配下登録に復帰したアンダーハンド右腕與座海人(25)は開幕ローテ入りが決まっている。

 救援陣はクローザー右腕増田達至(32)が65試合4勝(1敗)30S、防御率1.81と大活躍。ただ、隔年投手の気があり、今季はどうか。セットアッパーのサイドハンド右腕平井克典(29)は81試合5勝(4敗)36H、防御率3.50。酷使がたたり、終盤は打たれる場面が目立った。
 他の救援陣は、左のサイドハンド中継ぎで55試合4勝(1敗)1S15H、防御率2.58の小川龍也(29)、先発、中継ぎで44試合に登板しながら防御率4.39だった左の佐野泰雄、26試合で2勝(1敗)1S6H、防御率3.38と飛躍の兆しを見せた高卒3年目右腕平良海馬(21)、昨季29試合に登板しながら防御率4.94の右腕森脇亮介(28)、今季加入の外国人右腕R.ギャレット(27)といった面々だ。


•野手陣の入れ替わり

 好打者、秋山翔吾がメジャーリーグ、シンシナティ•レッズに移籍。その他、育成含む4選手が退団。というより、二軍育成コーチだった星孝典は、チームの捕手不足から育成契約で現役復帰して、二軍育成コーチとしての再契約打診を断って退団した形である。再引退後、現在は楽天の二軍バッテリーコーチに就任している。西武のフロントは相変わらずよく分からない。
 今季からの新加入野手は、内外野守れる外国人のC.スパンジェンバーグ(米 /ブルワーズ)。オープン戦では打撃不振だったが、ここにきて練習試合で本塁打を量産。秋山の穴埋めを期待されている。ドラフトでは、4位で川野涼多内野手(九州学院高)、5位で拓殖世那捕手(Honda鈴鹿)、8位で岸潤一郎外野手(四国 /徳島)を指名し、獲得している。


•今季も山賊は襲来する


 秋山翔吾は抜けたが、まだまだ山賊打線は健在だ。チーム打率.265、756得点はダントツのリーグトップ、174本塁打はリーグ2位。134盗塁もリーグトップ。78犠打はリーグ5位タイだが、全く気にならない。唯一気になる点としては、81失策がリーグワーストといったところか。

 個人別に見ていくと、135試合出場で30本塁打123打点、打率.286のベテラン三塁手中村剛也(37)は昨季四度目の打点王。途中から4番に戻り、打線を稼いだ。一方、4番を外されていた山川穂高一塁手(29)は全試合出場で43本塁打120打点で2年連続本塁打王。打率.256が少し寂しい。ユーティリティな5ツールプレイヤー外崎修汰(28)は昨季は浅村栄斗(現楽天)が抜けた二塁手として、全試合出場で26本塁打、90打点、22盗塁。打率.274さえ改善できればトリプルスリー➕100打点も達成可能だ。正遊撃手で球界屈指の守備力を持つ源田壮亮(27)は135試合で打率.274ながら30盗塁。スイッチヒッターの金子侑司外野手は133試合で打率.251ながら41盗塁で2度目の盗塁王。正捕手森友哉(25)は135試合で23本塁打105打点、打率.329でMVPと首位打者。まさにスター揃いだ。ベテラン外野手が栗山巧(37)も通算2000安打まであと175本と迫ってきており、達成が期待される。打率.220ながら10本塁打16盗塁のロマン砲外野手、木村文紀(32)もいる。


•今季期待の若手選手


投手:平良海馬(21)

  昨年26試合に登板した、飛躍期待の中継ぎ右腕。最速158km/hの重い速球が武器で、荒削りながらパワフルな投球を見せている。変化球の精度が課題だが、今季は開幕から中継ぎの一角として期待。

野手:川越誠司(27)

 左投げ左打ちの元投手。入団時は投手で、外野手に転向した経歴を持つ。昨年は二軍で93試合8本塁打34打点8盗塁、打率.214。だが、今季は一軍に抜擢されており、俊足強打を活かして飛躍するかもしれない。糸井二世になれるか。


•3連覇への条件


 実は、一昨年、昨年と日本シリーズに進出できていない西武。投手陣の弱さと、打線が機能しなければ惨敗するという悪癖が短期決戦だと露呈しがち。守備も一、三塁手が課題だが、打つ方が良過ぎて変えられない。
 ならば、今季も打って打って打ちまくるしかないのだろう。それが、山賊打線の使命なのだから。


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