宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-9
「宅本健一の次男の子供がどうして関係あるんです? 宅本健一の孫ということですよね? 」
「そうだ。代襲相続だよ。民法第八百八十七条を読んでみろ」
民法
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
「なるほど、宅本健一の次男は廃除されて、相続人になれなくても、宅本健一の孫に当たる次男の子供は、代襲して相続人となるわけなんですね」
天木刑事が納得してうなずくと、赤城刑事が言葉を続けた。
「そうだ。だが、今回の場合、宅本健一の次男に子供がいることは確認されていないようだな。そうなると、宅本健一の直系卑属で相続人になれる者はいないということになる」
「第二順位である宅本健一の両親は、既に亡くなっており、第三順位の兄弟姉妹に当たるのが、弟の宅本建次。この人も亡くなっている。すると、代襲相続によって、その子供――宅本健一から見て、甥にあたる宅本建太郎が、唯一の相続人になると?」
民法
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、子及びその代襲者に相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
「そういうことだ。民法第八百八十九条2項だな。『第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号――被相続人の兄弟姉妹の場合について準用する。』ここで留意することは、準用しているのは、民法第八百八十七条2項だけ。民法第八百八十七条3項は準用していないということだ。意味は分かるか? 」
民法
(子及びその代襲者等の相続権)抜粋
第八百八十七条
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
「被相続人の兄弟姉妹の子は、代襲相続するけど、子の子――被相続人の兄弟姉妹の孫は、代襲相続しない。もしも、宅本建太郎が死亡していたとして、宅本建太郎の子供が代襲相続することはないということですね」
「そうだ。宅本健一の孫に当たる次男の子供のさらにまた子供――曾孫。つまり、直系卑属ならば、延々と代襲相続できるが、宅本建太郎の子供が延々と代襲相続することはない。これは、笑う相続人を防止するためだと言われている」
「宅本建太郎だって、棚から牡丹餅でしょう。相続人に関しては、彼が一番怪しいということになりますね」
「そうだな。お腹に胎児を宿した宅本春子も都合よく一緒に亡くなっている点からして、ますます怪しい。宅本建太郎自身が、あるいは、宅本建太郎から依頼された何者かが、胎児を含めて三人を事故に見せかけて、殺したと考えるのが筋だ」
「早速、宅本建太郎について調べてみます」
「そうしてくれ」
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