毎日一分で読める民法判例問題53
★今日の問題★
ヨットを共同で購入し、ヨットを利用することを目的とするクラブを結成した。その際、会員の脱退について、会員の権利を譲渡する方法によってのみすることができ、それ以外の方法によることは許さない旨を定めることもできる。正しいか?
胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒
10秒
胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。これは、組合の問題だっけ?」
胡桃「そうよ。組合の脱退方法については民法に次のように規定されているのよ」
民法
(組合員の脱退)
第六百七十八条 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
2 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。
建太郎「すると、設問の定めは、これよりも厳しくするものだということだよな」
胡桃「そうなるわね。じゃあ、その定めは有右なのかということね」
建太郎「確か、民法第六百七十八条は強行規定だから、設問のような定めは効力が生じないということじゃなかった」
胡桃「正解よ。判例も次のように述べているわ」
民法第六百七十八条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうちこの旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。
けだし、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである。(最判平成11年2月23日)
建太郎「うん。すると、設問は間違いなんだな」
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