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骨髄移植のドナー候補になった話

骨髄バンクを通して、骨髄移植のドナー候補になった。
そして、ドナーとなることなく、その話はなくなった。
結局、私は何の役にも立たなかったけど、日本骨髄バンクから初めて連絡が来てからどう話が進むのか、その過程を記録に残しておこうと思う。


だいぶ前、献血に行った時に、骨髄バンクに登録した。
骨髄移植のドナーになれるのは55歳まで。健康でないとできない事。
これは、今しかできない事の一つかもしれない。
年齢制限がある事が、なんとなく私の背中を押した。


骨髄バンクに登録した事などすっかり忘れていたある日、スマホにショートメッセージが届いた。


一瞬、ニセモノかと思った。
疑いながら、骨髄バンクのホームページを見た。
ドナー候補に選ばれると、SMSと郵送で適合通知がくると書いてあった。
本物だ。


数日後、コーディネーターさんから電話があった。
私が提出した問診票に問題はなく、家族の同意も得られているので、ドナー候補として話を進められるとのこと。
確認検査をする病院の希望を聞かれた。

職場に早めに話してほしいとのことだった。
適合通知が来てから、直属の上司にメールを書いて保存していた。
そのメール、数日の間に20回くらい書き直した。
どうしてもドナーになる許可を得て休みがほしいと思ったので、説得力のある内容と流れにしようと、何度も何度も書き直した。
日本骨髄バンクの「ドナー候補者の職場の皆さまへ」というPDFも添付し、力説した文章のメールを送った。

数日後、職場で面談をして、了承の得られた時期に、一週間ほど休めることになった。
職場の人事課に問い合わせたら、私の職場にはドナーの特別休暇制度があるらしい。
有給休暇を使わなくても、入院だけでなく検査の日も全て、特別休暇として休めることがわかった。


その翌週だっただろうか。自宅から近い血液内科のある病院に、確認検査をしに行った。
正面入口を入ったところで、オレンジのハンドブックを持ったコーディネーターさんが立っていた。
診察券は不要で、受付などは、全てコーディネーターさんがしてくれた。
交通費もいただいた。

まず、個室でコーディネーターさんから、今後の流れや入院についての説明を聞いた。
ハンドブックや写真つきのパンフレットをもとに、骨髄移植の説明を受けた。スケジュール、保険、後遺症、保留になる可能性などについて。
弁護士も立ち会う最終同意まではその病院で行い、入院は他県の病院になりそうだった。

ドナーは、患者さんとは別の病院に入院する。
私は、骨髄液を搬送する時は、サイレンを鳴らした車で、急いで持って行くのかと想像していた。
コーディネーターさんに聞いたら、宅急便で特別な運送方法があり、新幹線や飛行機で骨髄液を運搬することもあるそう。知らなかった。
骨髄液の運搬にかかる費用が高いので、ドナーが入院するのは、できれば患者さんの病院に近い方がいいらしい。
海外だと大変だけど、今回は国内の患者さんとのこと。
私は全国どこへでも行くと言ったら、退院日の体調や疼痛も考えて、遠くてもタクシーで帰れる距離の病院を勧められた。

骨髄移植か末梢血幹細胞移植か、どちらかが良ければ今から指定できるとのこと。
私は入院期間が短い方が良いので、末梢血幹細胞の提供ではなく、全身麻酔をして手術室で行う骨髄の提供を選択した。
骨髄液が引ける量は個人差があり、ハチの巣状の骨髄に100回くらい針を刺す人もいるらしい。
でも、針を刺す穴は、2つから多くて6つとのこと。
大きな切開の創が残るわけではないので、私は抵抗がなかった。

その後、医師の問診。
私は大きな病気はしたことがないけれど、加齢に伴ってなった変形性頚椎症について詳しく聞かれた。
手術中の姿勢が影響するか、確認しているようだった。
採血をして終了。


この時点では、ドナー候補者は5人までいる可能性がある。
私だけかもしれないし、他にも候補者がいるかもしれない。
何人いるのかは、コーディネーターさんも医師も知らないらしい。
候補が私のみだと、コーディネーターさんがなんとなく強引に勧めたくなるかもしれない。
また、候補者の中には、入院や手術の説明を聞いて嫌になる人もいるだろう。
ドナー候補が自分ひとりだとわかると、本当はドナーになりたくないのに、プレッシャーを感じて同意する人もいるかもしれない。
そういったことを避けるために、配慮されているようだった。
候補者の検査結果や仕事の都合なども考え、最終的には患者さんの主治医がドナーを決定するらしい。

確認検査の結果が届いた。
ドナー候補として、何も問題がなかった。

私に決まるかな。
誰かの命をつなぐ、大きな役割を果たせるような気がして、わくわくした。
患者さんが前処置を開始した後に私に何かあったら、移植ができなくなる。
事故や病気に気をつけなきゃ。
まだ決定していないのに、いろいろ想像していた。


それから一か月もしないうちに、患者さんの都合により、この話は保留になるとの通知が届いた。
移植に耐えられそうもない状態になったんだろうか。


そして、保留期日の日にコーディネーターさんから電話があり、ドナーは他の方に決まったと言われた。
その後、骨髄バンクから届いた手紙には、患者さんの都合によるコーディネート終了であり、理由は教えられないと書いてあった。

本当に、他の方がドナーとなり、移植が実現しているといいな。


ドナーの手術や入院のことは、骨髄バンクのホームページや、いただいたパンフレットがとてもわかりやすかった。
更にイメージがつきやすかったのが、noteの体験談。
そして、漫画の体験談を読んだ。
漫画なので、とってもわかりやすく、おもしろい。


もしドナー登録に興味を持たれた方がいらっしゃったら、日本骨髄バンクのホームページを見てみてください。


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