いつの間にか私の隙間に居座っていた漫画家
こんにちは。あちいな。1日に何回言ってるかわかんないですね。最近は暑いし忙しいし大変です。どうやってオリンピックと高校野球を同時に見ればいいんですか。どうやってオリンピックの同時刻にやってる種目を同時に見たらいいんですか。テレビが足りません。もしくは、私が足りません。
初めまして、はのとです。
好きな漫画家。漫画じゃなくて漫画家っていうのがまた味噌ですね。好きな漫画はたくさんあります。漫画好きなんです、特に最近は。私の健康で最低限度の生活に、唯一の文化的側面を与えてくれるのが、漫画。週に300円で供給されるジャンプ。
単純なので、そのためだけに1週間頑張れます。あほですね。単純でよかった。
好きな漫画はいっぱいあるけど、やっぱり好きな漫画家を上げるなら、私は「空知英秋」を挙げることになるでしょうね。尊敬の意を込めて、「ゴリラ」と呼ばせていただきたい。そんなことできる漫画家、他にいないね。
『銀魂』という作品のゴリラ原作者である空知英秋さん。彼は銀魂を、ジャンプで15年間描き続けました。15年間も、同じ作品を。77巻まで、駆け抜けていきました。長期連載って、どんな感じなんでしょうね。生きた心地しなそう。
私は銀魂が大好きです。とってもふざけて、とってもボケて、とっても一生懸命で、とってもかっこ悪くて、とってもかっこいい。どんな形容詞も、この作品を表すには足りない。どんなに形容詞を合わせても、どこか違う。そんな作品。
私が銀魂の単行本を読むとき、話と同じくらい、否、時にはそれ以上に楽しみにしていたものがありました。
それは、「おまけページ」です。よくありますよね。設定のこぼれ話を書いたり、落書きを乗せたり、小話を書いたり。彼の場合は、小話でした。でもね、小話、というにはあまりにも小さくて、素敵なもの。
私は彼を心から賛辞して、これを読んで下さっている皆さんに紹介したい。でもね、私がどんなに素敵な話を持ってきても、どんなに綺麗に褒め言葉を並べても、どんなに美しい経験談を並べても、きっと彼は斜に構えてそれをかわすでしょう。そういう人なんです。私の目に映る彼は。
自分を決して褒めないでしょう。自分を決して認めないでしょう。最後まで、自虐で笑いをとっていくのでしょう。そんな人。
例えば、想像しますね。どんなこと言われるかな。そうですね、私が「彼は自分の実力に、決して驕らない。周囲の他の作家に敬意を払い、自分はいつも下にいると感じながら我武者羅に綺麗に生きている。」と言うとしましょう。
あくまで私の想像ですよ。妄想ですよ。ゴリラはこう返します。「鼻くそほじった手で描いた作品が綺麗なわけねーだろ、と。僕にはそんな読者の声が聞こえます。」
うーん。私が再現しても、全然再現にならないですね。彼にしか出せない味。ユーモア。空気感。絶対に自分の実力を認めないし、でもそれを単なる自虐ではなく、笑いに変えてしまう。だから、私には彼の作品、絵、実力、人間性を、褒めることができないのです。本人が、それを求めていないのだから。
だから私はこう言います。「私は万事屋銀ちゃんが大好き。銀ちゃんが大好き。神楽が大好き。新八が大好き。定春が大好き。かぶき町が大好き。万事屋のバラガキみんなが大好き。」
これなら、ゴリラも真っすぐ受け取ってくれると思うんです。どうですかね、分かっていただけますかね。あくまで私の個人的感覚なので、なんとも言えないですね。
彼には受け取ってもらえないかも知れない言葉を、いくつか残したいと思います。私の持てる語彙力では力不足かもしれませんが。
彼の謙虚な姿勢は、ある種卑屈とも言えるでしょうが、その奥にストイックさが見えるのです。だってさ、自分の描いた漫画が77巻まで売れて、ほぼ全編アニメにもなって、アニメ映画が3本出来て、実写映画も2本出来て、色々な企業とコラボして、惜しまれながら最終話を迎えたんですよ。
そんなときに、画集出しませんか、ってお誘いが来たら、それはもう、即答じゃないですか?私だったら、なんておこがましいけれど、即答ですよ。嬉しいですもん。出したいですもん。自信はないかも知れないけど、出せるものは出したい。
でもね、彼は「俺の絵で画集はないでしょ」的なことを言ったらしいんです。ちょっとどこで見たか忘れたのでぼかしますね。確か「広侍苑」の帯だったかな。
そんなことある?まじ?え?正気?俺の絵でって、いや、下手なの?その絵は下手でいいの?色んな人傷つけることになるけど、その絵のレベルは下手でいいの?
彼は本気で自分の実力が低いと思って生きてきたのでしょう。そんなことが垣間見えるエピソードじゃないですか。そんな、心の底では下手ではないと思っていてくださいよ。ネタであれ。そう思って仕方がない。でも、実際に画集は出ずに代わりのものが出たんですから、ネタじゃなかったんですね。
そんな彼の生き様が好きです。人間らしくて汚いところも、人間らしくて綺麗なところも、両方の魅力を持っている彼が大好きです。
もう1つ、彼の言葉を紹介したいと思います。これも曖昧なので、ぼかしますね。
「漫画を描くことは苦しい。でも、好きなことを仕事にする僕たち贅沢者に課せられた義務だ。僕らはわがままにも好きなことを仕事にする道を選んだのだから、せめて好きなもののために苦しむくらいのことはしよう。」
漫画家を目指す君へ、という題で書かれた言葉っぽいやつです。記憶の限り再現しました。要約です。
漫画家は選ばれた人間にしかできない仕事。そんな風に私は思っていました。でも、そうじゃないんですね。誰しもが選べる道。でも、選んでしまったからには、苦しいぐらいでへこたれるな、と。そういう感じでしょうか。
真っすぐで、素直で、汚くて、綺麗で、人間臭くて。そんな彼が、彼の作品が、私は心から大好きです。それに、そんな素敵な出会いを引き当てられた自分も大好きです。
ゴリラから得たものは数え切れません。私に返せることがあるとすれば、その得たものを自分の人生に活かすこと。そして、幸せになること。銀魂を読むことは、楽しかった。完結した今でも楽しい。ずっと、楽しい。その楽しさと一緒に、私はこれからも生きていきたい。
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