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サビアンシンボル おひつじ座10度 ショートショート

【ジョーンズによる原文】
A man teaching new forms for old symbols.

【はのん訳】
男が古くからの象徴の新しい形を教えている。


象徴とは。
触れたり見えたりする具体的なものに、触れたり見たりできないような概念や考えを紐づけたもののことだ。
話す言語や文化的背景が違っても、通じるような象徴もある。
シンボルともいわれる。

ハトは平和を、薔薇の花は愛を、宝冠は王を…全世界的にそんな感じだろう。

これらの象徴は、全人類の集合意識的な共有物と言っても差し支えないものであり、これからもその意味を発揮し続けるだろう。

では、ここからは新しい象徴の話だ。

ピクトグラムという言葉を諸君は知っているだろうか?
言葉を知らなくても実際のものを見たことはあるはずだ。

有名なところでは…そうだ。非常口を示す案内記号。駅に行くと、バスやタクシー乗り場もピクトグラムで案内されている。

これらもまた、文化的バックグラウンドが共通しなくても意味を容易に理解できるようになっている。

画期的なのは、集積的に時間をかけて、概念が物理的な何かにいつの間にか紐づけられていった象徴とは違って、ピクトグラムは、意図ありきで人為的につくりだされたものだということ。
その意匠によって、何らかの知識を与えたり行動を促したりする働きを期待され、人が作り出したということだ。


象徴を換骨奪胎したもの。
それをピクトグラムだとわたしは考えている。


では、これで「象徴学」講義のオリエンテーションを終わる。
受講希望の諸君は、忘れずに申込書を提出するように。
提出場所は、非常口のピクトグラムの真下にあるから忘れないように。

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