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量的・質的金融緩和まとめ
こんにちは。飯能高校探究部部長のギンです。
今回は、非常に時間がないため以前、QQE(量的・質的金融緩和)についてまとめていたのでそれをアップします。
2013年4月以降の金融政策
(1)量的・質的金融緩和
2013年1月に政府と結んだ共同声明を踏まえて、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、できるだけ早期に実現ために量・質ともに次元の違う金融緩和を行うとして2013年4月量的・質的金融緩和を導入した。
具体的には、量的な金融緩和を推進する観点でマネタリーベースコントロール質的な金融緩和を推進する観点からは長期国債買入れの拡大と年限長期化、ETFおよびJ-REITの買入れの拡大その他にも銀行券ルールの一時停止なども行った。
・2%の物価安定の目標
物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、できるだけ早期に実現するという約束をし、期待インフレ率(予想物価上昇率)の上昇を図った。
・マネタリーベースコントロール
量的な金融緩和を推進する観点から金融市場調節の操作目標を無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し2年で2倍に拡大。年間約60〜70兆円に相当するペースで買入れを行うこととした。
・長期国債買入れの拡大と年限長期化
イールドカーブ全体を押し下げる観点から長期国債の保有残高が年間約 50兆円に相当するペースで増加するよう買入れ、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債とし平均残存期間を3年から7年にした。
・ETFおよびJ-REITの買入れの拡大
ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、資産価格のリスクプレミアムに働きかけボラティリティを抑制することを図った。
・銀行券ルールの一時適用停止
大規模に資産の買い入れを行うために、日本銀行当座預金残高が発行銀行券残高を上回っては行けないというルールを廃止。
このように日本銀行は2013年4月に量・質ともに次元の違う金融緩和を行った。
2014年10月には様々なリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、量的質的金融緩和の拡大を行った。
・マネタリーベース増加額の拡大
従来の年間約60〜70兆円から80兆円に拡大した。
・長期国債買い入れの拡大と年限長期化
長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとともに平均残存期間を7〜10年に延長した。また2015年12月には7〜12年に延長した。
・ETFおよびJ-REITの買入れの拡大
ETFおよびJ-REITの保有残高を年3倍のそれぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを拡大した。
(2)マイナス金利付き量的・質的金融緩和
2016年1月に2014年頃から続いている原油価格の下落に加えて、中国をはじめとする新興国・資源国経済の先行きに対する不透明感が高まり、株価が下落するなど世界的に金融市場の動きが不安定となっており、それによって家計や企業のインフレ期待がなくなるリスクを回避するためにマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入を決定し2月16日に適用した。
量と質で金融緩和をしていたがそこに金利という要素を追加して量・質・金利の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めた。
・マイナス金利の導入
量的・質的金融緩和導入からマイナス金利導入まで金融市場調節方針に明記はしていなかったが政策金利(無担保コールレート)は約ゼロ%だった。
この約ゼロ%の無担保コールレート(オーバーナイト物)をマイナスの金利にするに当たっていくら資金供給オペレーションを行っても名目金利はゼロ%以下には出来ないといういわゆるゼロ制約があるので日本銀行当座預金への付利を行う補完当座預金制度によってマイナス金利を実現した。
具体的には、日本銀行当座預金をそれぞれ+ 0.1%の金利がつく基礎残高、ゼロ金利のマクロ加算残高、−0.1%のマイナス金利がつく政策金利残高に分割し三層構造にした。
日本銀行当座預金の政策金利残高に−0.1%の金利を適用しマクロ加算残高にゼロの金利を適用することで、政策金利残高とマクロ加算残高の−0.1%〜0%の間でのマイナス金利で裁定取引を短期金融市場においてを行うインセンティブを生じさせマイナス金利を実現させた。
ただし、その際、日銀当座預金の規模が大きく、そのすべてにマイナス金利をかけると、金融機関の負担が大きくなりすぎ、かえって金融仲介機能に悪影響を与えるリスクがあるため日本銀行当座預金に階層構造を採用し、政策金利残高にマイナス金利をかけるという方法をとって、市場金利に十分影響を与えると同時に、副作用はできるだけ小さくするような設計とした。
これによって無担保コールレート(オーバーナイト物)をはじめとする短期金利がマイナス金利になった。
・マネタリーベースコントロール
年間約80兆円に相当するペースで買入れを行う。
・長期国債買い入れの拡大と年限長期化
長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとともに平均残存期間を7〜12年とした。
・ETFおよびJ-REITの買入れ
ETFおよびJ-REITの保有残高をそれぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこととした。(2016年3月にETFを年間約3.3兆円に拡大し2016年7月に6兆円にまで拡大した)
日本銀行当座預金のうち政策金利残高への適用利率を短期政策金利として使い、それをマイナス0.1%にするマイナス金利を導入しました。
(3)長短金利操作付き量的・質的金融緩和
2016年9年に量的・質的金融緩和導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証を行いその結果をもとに日本銀行が短期金利から長期金利までの長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と物価がオーバーシュートするまで金融緩和を行う強力なコミットメントである「オーバーシュート型コミットメント」の2つの柱からなる長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した。
・イールドカーブ・コントロール
16年1月に導入したマイナス金利に加えて長期金利も操作するのがイールドカーブ・コントロールです。
イールドカーブのフラット化による金融機関の収益低下懸念や実質金利低下の効果を追求するため導入した。
具体的には、イールドカーブの起点となる短期金利(無担保コールレート)は日本銀行当座預金のうち政策金利残高に−0.1%のマイナス金利を適用することでマイナス金利を実現し長期金利は、新発10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう大規模な国債買入オペや日本銀行が決まった利回りで上限を設けず無制限に国債買入れを行い強力に長期金利を抑制する指値オペで誘導する。通常、中央銀行は短期金利しか操作せず短期しかできないと考えられているため、長期金利まで操作目標とするイールド・カーブコントロールはかなり特殊な政策と言える。
この長短金利操作付き量的・質的金融緩和導入以降、金融市場調節方針の操作目標は、日本銀行当座預金のうち政策金利残高への付利と長期金利操作に一本化されたが長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うことを維持した他、平均残存期間の7〜12年の目標は廃止となった。
・オーバーシュート型コミットメント
生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束しフォワード・ルッキングな期待形成を強化することで中央銀行の物価安定目標による「フォワード・ルッキングな期待形成」と、 実際のインフレ率の影響を受ける「適合的な期待形成」からなる期待インフレ率の上昇を図った。
・ETFおよびJ-REITの買入れ
ETFおよびJ-REITの保有残高をそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこととした。
2018年7月には、政策金利のフォワードガイダンスを導入し日本銀行は、2019年10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している旨を公表し日本銀行の物価安定の目標の実現に対するコミットメントを強めるとともに政策金利残高の見直しを行い政策金利残高を長短金利操作の実現に支障がない範囲内で減少させた。その他にもETFの銘柄別の買入れ額の見直しを行い、ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIX(東証株価指数)に連動するETFの買入れ額を拡大した。
2020年3月には新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、世界経済の不透明感が高まり、内外金融資本市場では不安定な動きが続きこうした情勢を踏まえ、日本銀行は、企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、 金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点から金融緩和の強化をした。
具体的には、一層潤沢な資金供給の実施、企業金融支援のための措置、ETF・J-REITの積極的な買入れを行った。
・一層潤沢な資金供給の実施
積極的な国債買入れや企業金融支援のための措置、ETF・J-REITの積極的な買入れも活用しつつ米ドル資金供給についても海外の主要6中銀と協調して流動性を供給した。
・企業金融支援のための措置
民間企業債務を担保に、最長1年の資金を金利ゼロ%で供給する新たなオペレーションである新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペを2020 年9月末まで実施。
CP・社債等の追加買入枠を合計2兆円設け、CP等は約3.2兆円、社債等は約4.2兆円の残高を上限に買入れを2020年9月末まで実施することを決定した。
・ETF・J-REITの積極的な買入れ
ETFおよびJ-REITの保有残高をそれぞれ年間約12兆円、年間約1800億円に相当するペースを上限に買入れを行うよう拡大した。
2020年4月に再び金融緩和の強化を実施しCP・社債等買入れの増額、新型コロナ対応金融支援特別オペの拡充、国債のさらなる積極的な買入れを行った。
・CP・社債等買入れの増額
CP・社債等の追加買入枠を大幅に拡大し、合計約20兆円の残高を上限に買入れを実施しあわせて、CP・社債等の発行体毎の買入限度を大幅に緩和するほか、買入対象とする社債等の残存期間を5年まで延長した。
・新型コロナ対応金融支援特別オペの拡充
3月に導入・開始した新型 コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペについて、金融機関が、企業を中心に幅広く民間部門に対する金融仲介機能を一層発揮することを、しっかりと支援するため、対象担保範囲の家計債務を含めた 民間債務全般への拡大し8〜23兆円にした。またオペの利用残高に相当する当座預金への+ 0.1%の付利を行った。
・国債のさらなる積極的な買入れ
債券市場の流動性が低下しているもとで、政府の緊急経済対策により国債発行が増加することの影響も踏まえ、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、当面、長期国債、短期国債ともに、さらに積極的な買入れを行った。
まとめ
今回は、時間がないため以前まとめていたQQE以降の金融政策についてあげました。
振り返って見ると、経済、物価、金融情勢に合わせて追加的な措置を講じてきた結果、複雑で分かりにくくなっていったように感じました。
これからも経済、物価、金融情勢について話していきますのでよろしくお願いします。