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蟻鱒鳶ル

皆さんこんばんは。飯能高校 探究部顧問のMr.Mです。

これをお読みの皆さんは、基地を作ったことがありますか?

実は私は小学生のとき一番好きだったことは、基地づくりでした。

実家近くの山の中に基地を作って、その中に佇む。敵がいつ来ても迎え撃つ気持ちで基地を作っていました。

終ぞ、敵は現れませんでしたが、敵が来るのを仮想して基地づくりをしていました。

さて、時は経ち、自分の敵はストレスとなり現れました。そのストレスに打ち勝つために(実際には建築物に興味を持ったのがきっかけです)はじめた「家を壊す」という行為は、小学生の時の基地づくりの延長線上にあります。

現在家を壊すプロセスも終わりが見えてきて、壊した後に構築するプロセスが見え始めました。

そこで悩んでいるのがベタ基礎です。床下の基礎にコンクリを打つことです。

「コンクリ」という名詞が出ると同時に、「あ、蟻鱒鳶ル」と条件反射のように言葉が脳裏に浮かび上がってきました。

蟻鱒鳶ル。ありますとんびる、です。

蟻鱒鳶ル

ちょっと前まで私はバンドをやっていました。その元バンドメイトの友人である岡啓輔さんが港区は三田にコンクリートでビルを自力で建てているという話をいつだったか聞きました。

そのビルの名は、蟻鱒鳶ル。

数年前に、三田まで実際に見に行ってきました。ものすごくカッコいい。

その蟻鱒鳶ルについて岡さんは本も出版されています。

バベる!自力でビルを建てる男(筑摩書房)です。

文中には私の気になるコンクリートに関する記述があります。

 西洋からコンクリートがもちこまれた明治の時代、日本では、とても頑丈なコンクリートが使われていた(だから当時の建造物がいまでも多く残っている)。ところが、時代とともにコンクリートの質が変わってきた。簡単にいうと、水を多く混ぜるようになってきた。
 コンクリートに含まれる水分量が増えると、コンクリートの強度は低下し、劣化も早まる。

p.9

コンクリートに水を多く混ぜる=強度が低下する。この逆を行なっているのが岡さん。つまりコンクリートに混ぜる水を少なくする=強度が高まる、ことを実践されています。

その結果、専門家の方に蟻鱒鳶ルは200年は持つと言われているそうです(p.10)。

ということで、私もベタ基礎を自らの手で作る場合は、水の量を少なくする、を実行してみたいと考えています。

家について考える

さて、コンクリートのみならず、岡さんの本の中には私も共感することがたくさん書かれています。

建築は消耗品なのか?のページにはこうあります。

 家を一軒建てようと思ったら、普通は何千万というお金がかかる。それが高いのか安いのか、人によっても感じ方はさまざまだろう。
 僕がどう考えてもおかしいと思うのは、そこまでお金をかけて建てた家が、木造住宅なら、30年かそこらで「寿命」(法定耐用年数)を迎えてしまう日本の建築事情だ。30代か40代で家を建てるとして、何千万円もかけたものが、その人の一生を終えるか終えないかのうちに価値がなくなってしまう。

p.198

私も同じようなことをずっと考えてきました。今も考えています。

そんなこんなであらためて、蟻鱒鳶ルのことを検索していたらnote記事を発見。素敵なインタビュー記事です。

平均寿命が伸びている中、果たして建築物に対する考えの転換が起こりうるのか、つまり短いスパンの消耗品ではない、長く持つ建築物を建てることが人々の意識の中に芽生えるのか、私はちょっと興味を持っています。

今回は基地作りの話からなかなかに脱線しましたが、うん、結局基地作りが大切だということです(そこか、笑)。

総合的な探究の時間でも、基地作りやってみたいんだよなぁ。


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