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夫のお気に入りの子
2024年12月のある日曜日。
私は朝から苛立っていた。
なぜかと言うと
夫がお気に入りの女の子に会いに行くからだ。
しかも、娘と同い年の女の子に!!
知っていながら、なぜ「行かないで」と引き留めない?
私が涙を浮かべて「行かないで」と縋ったところで夫は彼女の元へ行く。
縋る行為に意味などない。
不倫相手でも、キャバクラの女の子でも、風俗の女の子でもない。
ディーラーの女の子だ。
夫は車の点検に行く度に彼女を
「とてもしっかりした子だよ。娘と同い年とは思えない」
と褒めているのは知っていた。
そして、夫のお気に入りだということも。
普段の日常会話で彼女の話が出て来ないだけまだいい。
だけど、帰宅して彼女の話をするのは正直心穏やかではない。
だから、その日も朝から苛々していた。
夫の嬉しさを隠しきれない「行って来るね」に
いってらっしゃい、ではなく「ふうん」と返事をした。
私は、たぶん、いや絶対に、嫉妬している・・・
遅くに起きてきた娘に「パパ、車の点検に行ったんだけどさ
担当の女の子をすごく気に入っているんだよね。
前に着いて行ったことがあるけれど、傍で見ていても直ぐ分かる。
しかも、〇〇(娘の名前)と同じ歳なんだよ」
「えー、なにそれ?気持ち悪い。
でもさ、私はパパと同じ40代の人に好意を持たれても
いくらお金を持っていたとしても、相手にしないよ。
パパはお小遣い制でしょ?だから、大丈夫だって。
それに、パパは不細工ではないけれど、そんなにカッコ良くもないよ。
安心しなよ。でも、気持ち悪い」
私の気持ちを代弁するような娘の言葉にほっとした。
そして、ほっとしたのに、もうひとつ理由があることに気付く。
ようちゃんだ・・・
47歳で結婚歴がない
見た目がすごくカッコよくもない
収入が安定しない自営業
結婚を見据えて付き合うには心許ない
だから、私が若さで太刀打ちできない
20代の女の子と付き合えるはずがないと、納得したいんだ。
私は最低だ。
自分が安心したいために、ようちゃんを下に見るなんて。
あぁぁぁ・・・・
それよりも、それよりも!!
自分の不倫を棚に上げて
夫の浮気相手でもなんでもない
ただ、お気に入りだろうという女の子に嫉妬するなんて!!!
しかも、娘を味方に付けようとしている。
私の方が何倍も何百倍も最低だよ。。。
一時間程して、帰宅した夫に
「車、どこも悪くなっていなかったでしょ?
だって、まだ買って2年目だもんね」と尋ねた。
「うん、特に何にも無かったよ」
夫の嬉しそうな表情に気付かない振りをしてあげた。
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