隙と色気

『色気がある』とはどういうことなの？

『色気』とは人を惹きつける性的魅力とか愛嬌のほかに
風情や面白みといった意味を持つ。

肌の露出が多くセクシーな女性の外見に対して
使われることが多かった言葉『色気』だけど
現在では男女問わず、知的で清潔感があるなど
「大人の品の良さ」を表す言葉として、用いることが多い。
人を魅了する雰囲気・佇まい・美しさを感じる人を
「色気がある人」と言うと思う。

それから、ひとつひとつの動作に
ほんの少しの間があるとより色気を感じる。

ロシアのバレリーナ、ニーナ・カプツォーワをご存じですか？

彼女の動きの間には、時間にして0.1秒くらいの絶妙な間があるの。
この間が相手に、どう？私はコケティッシュな黒鳥よ？と
考える隙さえも与える余裕を醸し出している。
私はこの間がある人に色気を感じる。

私がまだ20代の頃、同じ会社に43歳の独身女性がいた。
40代は落ち着いた大人の女性というイメージがあったけれど
その女性は全く違った。
相槌を打つ暇がないくらいにとにかくよく喋る。
矢継ぎ早に、立て板に水のごとく、、そんな言葉がぴったり。

会話は、互いに話したり聞くこと、共通の話題について話すこと。
言葉のキャッチボールでもある。
片方だけが相手の存在をできるだけ無視して
一方的に喋り続けるのは会話ではない。

あるとき、男性社員が女性のお喋りに捕まった。
そして、ひとしきり喋った女性は「じゃ、行ってきまーす」と外出した。
女性の姿が見えなくなり、男性社員は「ったく、よく喋る女だな。
色気もクソもねえな。だから彼氏もいねーんだよ」と言った。
私も同じことを考えていたから、それを聞いて
思わず苦笑いをして、だよね、と同意を求める目配せした。

慌てん坊、おっちょこちょい、が可愛いと許されるのはせめて10代まで。
40代のおばさんがやっていたら、嘲笑の対象だ。

大人の余裕を感じさせるほんの少しの間。
弾丸トークや早口でまくしたてるような会話よりも
いつもよりもおっとりした口調で言葉を選びながら会話をする。
それだけで、イイ隙の見せ方ができるのだから。

恋も人生も焦らず余裕を持って、ゆっくりでいいから進めていこう。