【読書】美術×半沢直樹の中にも人間ドラマ~アルルカンと道化師
久々に半沢直樹を読んだ。「アルルカンと道化師」である。※ネタバレなしなのであらすじのみです。
ほかの池井戸作品同様、私利私欲にまみれた銀行組織の思惑に巻き込まれる半沢直樹だが、いつも通り堂々立ち向かっていく彼。これまでの作品を読んでいる分、「必ず何とかしてくれる」と安心感を持ってみてしまい、もはやスリルが少なく少々物足りない。(笑)
それでも、やっぱり半沢直樹は面白いと思ったし、どんでん返しはやはり気持ちよかった。
今回は、半沢が融資課長を務める大阪西支店が舞台だ。美術系の老舗出版社が2期連続赤字が見込まれる中、かなり条件の良いM&A案件が持ち込まれる。その会社は買収に応じない姿勢を見せているにもかかわらず、全社的な方針で本部がそれを強引に推し進めようとし、彼らと半沢が戦う、というのが物語の大筋である。
だが、それだけではない。この美術系老舗出版社の親戚同士の因縁や、画家を目指して奮闘した青年などの人間ドラマも巻き起こる。「正義」を守る姿勢、そして「人の想い」を大切にした物語である。
読んだあと、心があったかくなった。
池井戸潤は、銀行や町工場を舞台にした心温まる人間ドラマを見事に描いてくれる人だよな、と思い出した。以前東野圭吾本について↓のようなレビューを書いたが、理系の東野圭吾・文系の池井戸潤としてそれぞれ面白いよなあ、と思った。
是非、おすすめです。