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【読書】小さな世界の偏った価値観の中で必死な中学生〜オーダーメイド殺人クラブ

本屋で、タイトルに惹かれて手に取った、辻村深月の『オーダーメイド殺人クラブ』。

辻村氏の小説は大好きで、過去にも複数読書感想文を投稿しているのでぜひ覗いてみてください。

人間の奥底の感情を繊細に描かれる辻村氏、殺人事件が起きる作品は読んだことないが、本作は殺人事件を扱うミステリーなのか?と気になった。
(以降、ネタバレなしです。)

あらすじ

クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は――。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。

背表紙裏より

極小な中学生の世界

「リア充」「昆虫系」って分類し、「私たちは一緒」「彼らとは違う」って、ああ、中学生の世界だ…と思った。
陽キャ・隠キャ、1軍、ジミーズなんて、いろんな名称つけて分類してたなあ。
簡単に分類できてしまうほどに、中学生の世界は狭く、価値観が偏っていたのだ。

本作では、さすが辻村氏、些細なことでヒエラルキーが激変し、それらにうまく立ち回り、ずるい女子たちの姿がこれでもかというほど描かれている。

それぞれの事情で、狭い世界を必死に生きる中学生が、24歳の自分にはもう可愛らしく見えてしまった。

結末が気になりすぎる

本作の楽しみは、上記あらすじの通り「自分を殺して」と依頼する少女と、「いいの?」と応じる少年が最後どう行き着くのか、を見守ることだ。

途中、少々幼いな、中学生向きかも、と思い中弛みした箇所もあった。

たが、クライマックスにかけてはページを捲る手がかなり速くなっていた。

最後まで読んでよかったと思った。

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