オマーン勤務時回顧録01
2004年から3年間中東オマーンに役人として勤務した経験を忘れないうちに記録に残しておこうと思い、このコラムを立ち上げました。
1 インシャ―・アッラー
中東でのご勤務経験を有しておられる方なら、必ず耳にするこの言葉。色々と解説してくださる方々がおられるのだが、最初に耳にした時に私にこの言葉の意味を説明してくれたのは外務省のアラビストだった気がします。
「神のみぞ知る」「神のご加護次第」
と言うような解説を覚えています。
例えば
「では、明日午前10時に会おうね」とか「明後日に家に遊びに来てね」
とかこちらが投げかけると必ずこの言葉が返ってくる。
「わかった。じゃあ何時にね」「必ず行くからね」という返答を期待している聞き手の当方とすると、「は?」となりますよね?
時には、口上書を発出してから何日も経つのにこちらがイライラして「いつになるのか?」と尋ねるときにもこの言葉が返ってくるので逆上したくなるときもあったなあ。
しかし、この意味についてもう少し深掘りしてみるとイスラム教徒と神との関係について少しだけ近づいたような気になりました。
つまり
「自分としては必ず行きたいよ、でも神のご加護があればの話でね」
「人知を超えたところの領域については、人間である私だけの判断では何とも返答しようがない」
との意味に取れるのではないでしょうか。つまり
自分が行こうとしても交通事故、病気、家族の都合など人間の力ではどうしようもない力が作用したときには仕方がないよね
の意味に取るようにしたら、小馬鹿にされたような気は失せました。
むしろ、人間界での約束なんぞは超常現象や予測不能な事態の前では何の意味もないことに気づかされた気がしました。
以降は、彼らが発するこの言葉を聴くにつけイスラム教の深さを感じている次第であります。
拙稿ではありましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
次からはもう少しマシなコンテンツをご提供したいと思います。