ウクライナ情勢(独裁者プーチンの苦悩)
2022年2月24日のロシアによるウクライナ進攻。
既にほぼ一か月を経過しているが、首都キエフの陥落も未だ完遂できておらずロシアのプーチン大統領の苛立ちが手に取るように表面化してきている。
戦略核兵器の使用も示唆するなど、いかなる選択肢も排除しないという強硬姿勢を崩していない。
誰がこのロシアの進攻、いやプーチンを止めることができるのかについて考察してみました。
1 独裁者の孤独と苦悩
現在地球上に存在する国家で独裁的為政者によって統治されている国々と言えば
中国、ロシア、イラン、シリア、北朝鮮
などがあげられる。
これらの国家を統治する独裁者達は、自らの政敵を貶め相対的にトップの地位をキープしている場合が大多数だが、その結果自分の周りには「イエスマン」のみが侍り、諫言する部下もないことから重大な決断は全て自分で分析した結果をもって行わなければならない。
この度のロシアによるウクライナ進攻は、正に諸般の情勢を収集・分析した結果を基にプーチンが自ら決断した愚行であるが、その情報収集・分析結果に誤算や見当違いがあったとしてもこれを諫める者がいなかったことがそもそもの誤りであろう。
2021年8月15日のカブール陥落とそれに伴う8月31日の軍撤退、米国がアフガニスタン統治から軸足を台湾有事問題とインド太平洋地域への安定へと移したことをプーチンは読み間違えたのではなかろうか?
米国は、アフガニスタンからの撤退後もNATOを基軸とする欧州各国のグリップとロシアへの警戒力を引続き有していたが、ロシア(プーチン)はこれを逆に分析してウクライナ進攻、千載一遇のチャンスと見たに違いない。
この読み違いと「旧ソ連時代の威光よ再び」との独善的歴史観がプーチンを進攻への道に突き進ませたものとみられる。
事程左様に、独裁者の見込み違いが国家を思わぬ方向に導いてしまい、中には滅亡の危機に瀕してしまった例は歴史上枚挙にいとまがない。
独裁者によるディシジョン・メイキングは電光石火の如くではあるが、速さでは機先を制してもその後情勢が思わぬ方向に転び、当初の目論見とは真逆の方向に転じてしまうことは今回のウクライナ情勢が如実に示している。
一部の国や地域を除く各国からの経済制裁、支持者であった中国の離反にもにた冷たい姿勢、ロシア国内世論の反戦ムードの盛り上がりなどなど。
2 誰が、何処の国が、プーチンを止めるのか?
3月21日現在
インド、中国、トルコ、イスラエル、フランス
などが調停を示唆する動向を見せ始めているが、本当にこれらの国々がウクライナ情勢の停戦・解決をなし得るのであろうか?
残念ながら、どの国の誰もがこの事態を収拾しえずプーチン本人のみが現状打開できるただ一人の人物ではないだろうか?
事態打開にはロシア・ウクライナ双方の言い分を上手くとりまとめ、「落としどころ」を模索しなければならない。
プーチン本人が、何処に妥協点を持っていくかによってこのウクライナ情勢が終焉への道を歩み始めるのではないだろうか?