湘南の本|『コチャバンバ行き』永井龍男
湘南が舞台となった本を読むのが好きです
今回は小説です
本の紹介
『コチャバンバ行き』 永井龍男
講談社文芸文庫 1991年
参考)単行本出版
『コチャバンバ行き』昭47年10月
『皿皿皿と皿』昭39年1月
感想など
ジワジワ来るわ~、ほんと味わい深い
湘南に住む人々の暮らしが淡々と描かれているだけ
それが妙に心に残る
季節を感じさせる表現の数々
その一方、無駄な言葉を使わず、読者に想像させる場面も多い
例えていうなら、小津安二郎の映画を見終えたときのような
そんな読後感のある小説です
収録されている二作品とも昭和の戦後、高度成長期の湘南が舞台となっている
「コチャバンバ行き」は鵠沼から鎌倉あたりの江ノ電沿線
「皿皿皿と皿」は桜道という表現が出てくるのでおそらく茅ヶ崎だと思う
どちらも湘南の土地が、次々と開発され小さな土地に分割・分譲されていく様子が描かれている
こうやって、入り組んだ狭い道路にビッシリと住宅が建ち並ぶ湘南独特の街並みがつくられたのか・・
この本を知ったのは、前回紹介した『湘南 海光る窓』という城山三郎さんのエッセイの中で紹介されていたからだ
城山さんによると、気候の良い湘南で長く暮らすと、闘争心が薄れ根性もなくなり人は良くなるが、その一方で、調子が良くプライドだけは高くなるという
永井さんの作品の舞台となった時代からは半世紀以上が経過している
土地の雰囲気というのはそれくらい時間が経っても変わらないものなんだな、と思った
リンク
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