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湘南の本|『いわゆる「サザン」について』小貫信明


湘南に関連した本を読むのが好きです

備忘録も兼ねて簡単にご紹介します



本の紹介


『いわゆる「サザン」について』 小貫信明
水鈴社 2024年

サザンオールスターズのやめそびれた歴史と、その真実。
昨年2023年にデビュー45周年を迎え、今年2024年には新作オリジナル・アルバムの制作を発表するなど今もなお精力的な活動を続け、その名曲の数々で常に日本のミュージックシーンを牽引し続けている唯一無二のバンド、サザンオールスターズ。

そんなサザンの誕生から国民的アーティストになるまで、そして無期限活動休止を経て現在に至るまでの軌跡を、音楽評論家 小貫信昭氏が余すところなく克明に綴りました。

40年以上にわたり、ことあるごとに取材をし、唯一その言葉を聞き続けた小貫氏だからこそ書けた、「サザンオールスターズについて」の決定版。サザンの歴史を振り返りながら彼らの楽曲や音楽人としての魅力、そしてこれからを紐解く、音楽ファン必読の一冊です。

https://www.suirinsha.co.jp/




感想など


茅ヶ崎の書店にものすごい数の本書が平積みされているのを見て圧倒されて買いました

装丁の写真(フジイセイヤさんの作品)にも惹かれた


内容は、サザンオールスターズの結成前後から現在(2024年)までを、楽曲を軸に時系列に綴ったもの

年代と楽曲、その裏でどんな苦労があったか、などが物語としてまとめられている

ファンクラブに入るほど熱心ではないがサザンの曲は大好き

というレベルの私には、色々と知らないことが書かれていて面白かった



湘南にかかわるエピソードもいくつか掲載されていた


1978年のデビュー・シングル「勝手にシンドバッド」について

[江の島がみえてきた]ことで、歌の主人公は我が町のエリアを至近に感じている。当時、茅ヶ崎から大学へ車で通学していた桑田の、復路の想いそのものではないか。

1章

国道134号線の七里ガ浜あたりだろうか

桑田さんは茅ヶ崎から青山学院大学(渋谷)まで車で通学していたんですね

茅ヶ崎から渋谷まで、今なら電車で行く方が楽だと思っちゃうけど、昭和の時代は、みんな車に乗りたがった(私もそうだった)

それに桑田さんには、一人で声を出せる空間というのも大切だったのかも知れませんね



茅ヶ崎ライブについて

1999年の年越しライブで、桑田さんが「茅ヶ崎でコンサートをやるのが夢だ」という趣旨の発言をした

 それを受け、地元の市民グループが、「茅ヶ崎にサザンを呼ぼう!市民の声 実行委員会」を結成。活動を開始する。70人ほどの人達が集まり、JR茅ヶ崎駅前など数か所で、署名運動を始めた。
 多くの市民が賛同し、署名はみるみる集まってゆく。その数は、茅ヶ崎市の人口の4分の1にあたる約5万人となる。

7章

こんな動きがあって、翌2000年に初めての茅ヶ崎ライブが実現した

会場となった茅ヶ崎球場の周囲は静かな住宅街なので、このような活動で住民の理解と自治体の協力が必要だったんですね

サザンだから実現したとしか思えない



他にも興味深いエピソードがたくさん出てくる

湘南とは関係ないけど、この本で一番印象に残ったのはこの部分

『世に万葉の花が咲くなり』のレコーディング中、一番晴れやかな気持ちになれたのが、 「慕情」を作っていたときだったという。その後のステージでも大切に歌われていくバラ ードだが、美しさと朴訥さを兼ね備えたメロディが特徴であり、主人公の切なる想いを、 虚飾なく伝えていく。

 しかし、なぜ晴れやかだったのだろう。曲の構成や和音のテンションが浮かんだとき、 震えが来るほどの達成感が襲ってきたそうで、いわゆる表現者が言う、“降りてきた”状態だったことも一因だ。音楽の神様が、確かにそのとき、桑田に微笑んだ。

5章 113頁

 ところで、音楽の神様などというのは、本当に存在するのだろうか。「ただ待っているだけで、”降りてくる”ことなどない」。桑田ははっきりそう言った。そもそも作品づくりというのは、いつも上手くいくわけじゃない。ただ、作りかけて何とかなりそうだと直感したら、「諦めないこと」が肝心なのだという。「たとえば出だしの4小節が出来て、すご くいいな、という場合、これは絶対、気に入るものになると信じて、諦めないこと」。諦めず、なんとかしようと自分を追い込む。すると、時には「音楽の神様のおかげとしか言い様がない状況にも出くわす」そうだ。しかしその神様にしても、自分が常に謙虚で居てこそ、出会えるという。

5章 114頁

音楽に限らず、全てのクリエイターに勇気を与える言葉ですね

読んでるこちらがゾクゾクしてしまうエピソードでした



暑かった今年の夏、涼を得ようと入った書店でたまたま出会った本だけど、読んでよかった!

桑田さんとは全然レベルが違うけど、私も写真頑張ろうっと(笑)




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