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前半キャラクター紹介no.5:美作翔也[著:あざみ]

イラスト:江良エス子

皆様こんばんは、犯罪者隔離世界へようこそ。

本日は美作翔也について語りたいと思います。
本編4話のネタバレを含みますので、もしまだゲームをプレイされていない方はブラウザバックか、上記ご了承の上、お進みください。

彼について語るときが来ましたかという感じです。
実は、犯罪者隔離世界のシナリオを思いつく前からこのキャラクターの草案はあって、この度この作品に「結婚詐欺師」として出すと決めて、彼の背景を固めていきました。私の中で、ハンカクキャラクターの内で一番付き合いが長い人物になりますね。

ミズキ君とはまた性質が違いますが、美作もいわゆる「天才」にカテゴライズされるキャラクターだと思います。ミズキ君と違う点は、天才が故に周りに人が集まってくるタイプの人間だということ。加えて、彼の周りには彼を利用したいと思うような人は少なく、彼の力になりたいと思って動く人たちに囲まれています。その理由は明白で、「頭がいいから」なんですが、仮に美作翔也を騙そうとする人物が現れ、彼がその言葉を信じてしまったとしても、事の顛末では必ず美作翔也の利益につながっている。騙されたこと自体も、成功への布石、盤石として扱われてしまいそうな、そんな怖さがあります。究極的に冷静な判断を元に物事を進めることができるところは、社長とある意味、似ているのかも。

ところで、前にもカジーの回で少し触れたのですが、私の物語の書き方は「絶対に無理な状況を作り出し、それを何とかして打開する」です。これがシンプルで一番面白い物語の作り方(暴論)だと思ってます。

その点で四話の討論は、”全力で苦戦”しました。

まず討論って何??何を話すの、1人の女の子がお話するだけで1万人の8割から認められるって、ハードル高すぎ!!そんな話あったら私が読みたいわ!!!!(錯乱)でした。
作者のお前がそれを言ったらおしまいでは?という感じですが、もうどうしようと半泣きの状態で執筆を始めたのが本音です。幸いにも、前半は美作がリードしてくれて、それに対して秘書ちゃんが躓きながらも、一歩ずつ自分の考えを答えていくという動きをしてくれたのでそれを素直に書き留めていきました。でもこのままじゃ秘書ちゃんが勝つ未来がまったく見えないんだが……?美作の手のひらの上で遊ばれてるだけじゃん……と頭を抱えながら書き進めていたのですが、そのあと美作が、秘書ちゃんを少し認める素振りを見せたんですよね。あ、これはチャンスだと思いました。

美作は秘書ちゃんの勇気を称え、エリア4で楽しく暮らす一員として迎え入れると言いました。これはお前のためだ、と。この言葉は、嘘ではないですが、真意ではない。古和釜さんの言葉を借りて言うなら「彼は民意を代行しているわけではない。自分の発言こそが民意だとみんなに思わせているだけ」です。

わかりやすく言うと、美作は「エリア4にとって秘書ちゃんの存在が必要になるかもしれない」と考えたから、この言葉をかけました。それはもちろん、秘書ちゃんにとっても、他国への影響力が強い美作の国に守ってもらえるわけですし、この国の人はこの国を絶対的に支持する理由があります。辛かったことなんて忘れて、朝まで踊りあかしてしまうような、「前向き」な国で暮らせる、と。だから、エリア4にいることは、秘書ちゃんにとって利益があるのは本当のことでしょう。

この完璧な壁は、秘書ちゃんなら壊してくれると、すぐに確信しました。

「自信が、ないんですか?挑戦することを無駄だって決めつけて、あなたは、変化を怖がっているだけじゃないですか」

これに対する答えは、美作は明言していませんでしたので、補足します。
美作本人は変化を怖がるようなことは一切ないです。が、「変化しないことが正しいと思わせていた国民への疑問を投げかけられて、まずいなと感じた」でしょうか。
美作は、「元の世界への未練を断ち切って、現状を楽しむこと」がエリア4の在り方だと示しています。それに対して、秘書ちゃんは美作のその在り方も正しいとしつつ、「元の世界へ帰りたいと諦めない気持ち」が共存できるのではないかと、言いました。いや、これは、本当に、美作からしたら面倒極まりない思想です。自分の意見が否定されれば、10も100も反論が返せた。物事には裏表があるので、短所はいくらでも作りだせる。けれども、秘書ちゃんは美作の考えを認めたうえで、さらに、自分に署名をしてくれて創造主に会えたら「犯罪者隔離世界がなんでできたのかを聞いてくる」という、「こんな現状になってしまった"本質"を知り、理不尽なものなら変えたい」なんて大きなメリットまで提示したのです。

その後の展開も含め、4話のシナリオは個人的にいい感じにまとめられたと思っています。声優のたかおさんの演技も秀逸でしたね。たかおさんの美作のボイスは、本当にイメージ通りで、同時に期待以上でした。
特に、秘書ちゃんと出会い、建設中のビルの上に登りエリア4の街並みを見下ろすシーンが印象的です。
「-—だからこれが俺の国の、エリア4の在り方だ」
というセリフがあったかと思うのですが、私はこのシナリオを書いた時、美作はこのセリフを大胆に、声を張って秘書ちゃんに語り掛けるシーンだとイメージしていました。しかし、たかおさんはこの台詞を、静かなトーンで読み上げてくれていました。これについて私が意図を尋ねたところ、「まだこの時の美作は秘書ちゃんに対して信用していないから、親しい雰囲気で声をかけるとは思わなかった」と。これを聞いて、わ、私より美作のこと理解している……!?と感激したことを今でも鮮明に覚えています。

私が生み出したキャラクターですが、声優さんに一緒にキャラクターを育ててもらったという感覚を味わったのは初めてで、これが共同制作の素晴らしさだと思いました。たかおさん本当にありがとうございます、感謝しております。

美作については中編で、思わぬ形で出てきます。
彼の今後の活躍も楽しみにしていただけたら嬉しいです。

☆エス子さんからカラーの美作もいただいたので、こちらに貼らせていただきます!⇊

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
またお会いしましょう:)

犯罪者隔離世界:主催
あざみ

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