スローモーションでグラデーション。
この記事は「あなたの田村ゆかりはどこから? Advent Calendar 2022」5日めの記事です。
きのう(12月4日)は、だめにんげんさんによる「出会った頃はこんな未来、想像できなくて」でした。ゆかりさんのひたむきなお人柄はほんとうに多くの人をひきつけてやまないとわたしも感じていましたが、一歩踏みこんでそこにクローズアップなさってわたしがことばにできないぽやんとした感想を文字にしていただけたような心地よさがありました。
ごあいさつが遅れて失礼しました。わたしはHankと申します。アドベントカレンダーには近年つづけて参加させていただいてますが、パラパラと思い出をツイートすることはあってもわたしの「田村ゆかりはどこから?」をまとめたことはあまりありませんでした。よい機会をくださいましてありがとうございます。
機会をいただいておきながら申しわけないのですが、わたしはゆかりさんと「恋に落ちた瞬間」に心あたりがありません。ゆっくりと、だんだんと、ときどき水たまりを飛びこす程度にちょっとだけぽんってジャンプしたりして、気がついたらめちゃめちゃ好きになっていました。実生活でも一目ぼれの経験はないし、第一印象がよいからといって長くおつきあいできるわけでもないから、わたしは基本的に蛍光灯タイプなのかもしれませんね。(死語……ッ!)
出会った瞬間その一点をクローズアップすることができないので、ちょっとおおきくステップアップしたときのことをいくつか書きたいと思います。
あと、すでにご投稿なさっているぷるおさんとくろこねこさんはわたしとめろぷり同期のようでしたので、だいたい書くこともおふたりと似た感じになると思います。おなじものを見ていても感想も表現もちょっとずつちがうのがおもしろいなあ…って感じながら内心あわてて書き直していました。みなさまにもわたしとおなじようにあわてて書き直しちがいを感じていただけるようにがんばります。
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[1 初参加までの長い道のり]
わたしは、ゆかり王国にくる前はVOCALOIDのあたりにいました。毎日ニコニコ動画を見て初音ミクたちの新曲をチェックしていたのですが、たまに見かける「よく訓練された」「客もプロ」「喉からCD音源」とかいうタグ、なにこれ? 気軽にのぞいてみたらなんだか楽しそう。すごく盛りあがってる。こういうのボカロライブにもほしいっ! そんな出会いがありました。
それよりも前から「田村ゆかり」という名前自体は知ってはいましたが、声優界にくわしくもなくアニメもあまり見なかったわたしはさほど関心も持っていなかったのです。でも楽しそうなライブ動画を見てまず歌に、つづいて出演アニメにも興味をいだきはじめました。
ちょうどいいタイミングでTwitterの中で出会ったあるかたが王国民で、いろいろと教えてくださいました。いま出てる円盤だったらこれが新譜も定番もバランスよく収録されてコールの教材にもいいですよとか、その曲は振りコピですよ、とか。ほんとうにくわしく。王国民ってみなさんほんとに優秀なセールスマンだなあって思うことがときどきありますが、このかたもまたゆかり王国営業部のエースだったのだと思います。最近は会場でお目にかかることもなくなりましたがいかがお過ごしですか? わたしは笑顔でいます。元気です。そろそろ歌声を聴きたいころじゃありませんか? お帰りをお待ちしていますね。
[2 ライブ初参加!]
そのかたのお力添えではじめてゆかりさんのライブに参加したのが*Cute’n Cute’n Heart*なのですが、 実はそこにたどりつくまでに2年近くかかっています。準備運動が長すぎましたね…
その日に発売されたねんどろいど田村ゆかりがほしくて朝6時すぎにさいたまスーパーアリーナに着いていながら、混みあうクレジットカード列にならんだばかりに目の前で完売するといういきなりの「洗礼」…いまも忘れません。あれ以来物販はかならず現金払いです。
しかしそのときでさえも、ゆかりさんのかわいらしさも歌声も、ピンクのペンライトの海も、すてきだとは思ったけれどファンクラブ即入会ってところまではいかなかったのです。雷に打たれるような感覚はなくただゆっくりと「いいね次もいきたいね」といった感じで…
そのころのわたしはボカロライブをもっと盛りあげたいからライブ先進国のゆかり王国で学ぼう、っていう「留学生」だと自分のことを思っていたからなのかもしれませんね。その後まもなく阿倍仲麻呂になるんですけどそのときは未来のことなど何もわからずに…
[3 あの夜見てしまったもの]
そんなわたしに「次のライブもかならず行きたい!!」って感じる瞬間がそのあとすぐにやってきます。それは*Cute’n Cute’n Heart*の次に開催された、同じ年の9月の*Caramel Ribbon*でのこと。台風がちかづいて宮沢賢治も負けそうな雨と風の中をまだ動いてる電車を乗りついで横浜アリーナに向かい、レインコートを着込んで口を真一文字に結んだ諸先輩がたの後ろにくっついて物販列にならんだわたしの頭にぶつかってきたのは折れた小枝。
荒行をこらえる心はもうファンクラブのみなさんと肩をならべていたのではないかと思いますが、一般チケットでしたからお席は最後列。でもほぼセンターにいて、そんな会場全体を見わたせるひときわ高く見はらしよいところからステージを楽しませていただいたその夜の終わりかけにわたしが見てしまったのは、眼下一望の土下座でした。頭をこれでもかと下げて必死にお願いする、ハッピやTシャツにつつまれた丸い背中が、見わたすかぎり横浜アリーナ一面にびっしりとならんでいました。息をのむ絶景。とんでもない瞬間に居合わせてしまった… わたしこんなガチの人たちを見おろしてていいんか… 心からそう思いました。
最近入国なさったかたには何を言っているのかわからないと思いますが大丈夫、経験したわたしにもわかりません。わからないなりに軽く説明すると、ステージで「帰りたくない〜」ってイヤイヤするゆかりさんと、大好きな子を今夜帰したくない王国民がいっしょになってライブのエライ人に満場の土下座でダブルアンコールを直訴して見事勝ち取るという†事件†があったのです。いま思えばあのころもう一蓮托生の共犯関係だったのですね。
[4 お刺身よりつまが好き]
「この一体感!これよ!!」っていえばその瞬間の気持ちを表現できるわかりやすいフレーズになるのでしょうけれど、そんなありきたりなことばすら思いつくのはずっとあとのこと。そのときはただ語彙力をふきとばす御威力の光景に「ここにいるみなさんとまたライブに参加したい!」っていう気持ちで、それはゆかりさんよりもまず王国民に惚れたのでは?といわれたら否定できない…っていうか、そもそもが動画見て「楽しそう!」からスタートなので最初から「お刺身より先につまを気に入った」のかもしれないなぁ…って思っています。いま思わなくてもかばいきれない本末転倒感…… でもお刺身がおいしいお店はたいてい下敷きの大根やわかめやしその葉っぱも鮮度歯ごたえ風味がちがうものです。なんならお皿にもタンポポにも気をつかっています。みんな大好きだよっ💖
この日、帰ってすぐにWEBサイトからファンクラブ入会したので9月16日がわたしのゆかり王国記念日です。
[5 おまけ]
もうひとつ、これはついでのおまけなのですが、想いがとどいたような瞬間がありましたのでこの際ですから申しあげます。それはこの*Caramel Ribbon*でお知らせされたツアー、*Fruits Fruits Cherry*の武道館追加公演のチケットです。
どうしてもチケットがとれなかったわたし。いわゆる見切れ席販売が公演1週間ほど前にあって、それも発売開始とともに秒で完売して。それがめちゃくちゃくやしかったのは、きっともうそのときにはタンポポどころかビニールの葉っぱ飾りの分際でお刺身LOVEになっていたのでしょうね。
千秋楽は無理なのか行けないのかぁ……って肩を落としてもその先の指はあきらめきれなくて、完売したはずのページをあと1回、もう1回だけリロード…そんな言いわけを頭はくりかえし、指先は頭からの指令に輪をかけてチケット販売ページに「×」が出るたび反射的にリロード。いつのまにか30分近くたったあるとき急に「×」が「△」になって、入国したばかりの友だちのぶんと2枚取れたのです。
そのとき思わずもれたため息とともに感じたことは、いまもわたしの王国民としての座右の銘みたくなっています。
愛とは、あきらめないことだ。 — Hank Thornfeld
[6 むすび]
そうやって台風だ雪だ完売だと毎度の苦労にきびしく鍛えられ、それ以上のよろこびにやさしく育てられていまに至る「だれにも負けないこの気持ち」ですが、ときどきおおきめのジャンプはあってもひとつひとつのできごとはここにわざわざ書くまでもないくらいほんとうにささやか。だけどピンクのグラデーションはいつのまにかすっかり濃くなって、気づけばわたしの王国民歴も来年10周年をむかえます。生来あきっぽいわたしがこんなに長くファンを続けてゆけるとは想像していませんでしたが、それはきっとわたしたちをけっして退屈させないゆかりさんとスタッフのみなさんのおかげだと思っています。
あと刺身のつま! ときには百家争鳴の学級会もあるけれど、おなじお皿のとなりどうしになったときはリズムをひとつにあわせたく存じますのでよろしくお願いしますね☺️
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あしたのお当番はパネル職人さん。何をかくそうさっき書いた*Fruits Fruits Cherry*追加公演見切れ席の友だちとはこの人のことなんですが、藍より青く桃よりピンクな頼もしき仲間。でもわたしは沼に行く道を教えただけですひきずりこんだんじゃないんです信じてください🥹🥹
この季節、毎日いろんなかたのゆかり愛を読めるのが楽しみです。あわただしい年の瀬とは思いますがお身体お大事に。