オブリ研 : "The Girl from Ipanema" (3)
さて、次は地元のトロンボーン友達Mさん。
実はMさんのこのオブリの例だけ、時系列でいうと古くて、ちょうど一年前くらいにやりとりをしています。
Mさん作例
そうですね、今でこそ、めちゃシンプルな譜面をMさんは作っていただいていますが(第4回、第5回参照)、これはまだまだ迷いがある。割と空白の少ない譜面です。
ただ、トロンボーンってオブリというよりバッキングにも向いている楽器なので、これはこれで、音の輪郭を柔らかに吹くなら全然邪魔にならない。
Aパート
悪くないですね。
ボサらしい半音の音使いと裏拍のシンコペーションを活かしています。
4小節目のC#はG7+11のコードトーンだし、Passing NoteとしてもOKですが、メロディに半音でぶつかるので、一瞬Noisyです。好みが分かれるところですが、特に変更せず。
8小節目Aの音。ここのコードはGb7+11で、+9の音です。
ま、Aの音だとFに解決するC7っぽい雰囲気。Aでもいいんですが、代案としてはGbの音に変更しておきましょう。
Bパート
2小節目。4ウラはこれでいいのですが、Passing ToneでC#に(好み)。
4小節目。D→Dbと降り→Cに行くとみせかけて、D。
どうせなら、2小節目とフレーズの共通点をもたせて変更しました。そうすることによりFと別の音という対比の点で5-6小節とも共通になります。
その他は特に変えていません。
7-8小節目はAメロでは少ないデッドポイントを有効に活かしていると思います。
Cパート
詰め詰めな譜面!
とは思いましたが、オブリとしてメロディと一緒に鳴らしてみると、意外なほど邪魔にならない。トロンボーンらしさを熟知したサウンドと思います。
メロディの裏打ちといいますか。あくまでカウンターメロディではなく、メロディーのバックサウンドの吹き伸ばしというイメージ。
なだらかな裏拍のシンコペーションで動きをつけているので、リズムもありつつ、ハーモニー主体に聴こえる。
このコンセプトを生かして、さらに音をへらしてやすりがけをして、さらにぼんやりさせてみました。「メロディの影武者」がイメージです。
4小節目は一音減らし、5小節目のD#→D(F#m7でいえば13→-13ですが、A△7とすれば、+11→11)に、6小節目F#→E(これはコードトーンの変換で、次のフレーズとのインターバルが大きいから)
(これは理論上でいえば、5小節目はD#の方が正しいような気もしますね。あえて悩んで変な方にいってしまった。)
7小節目はD7-13っぽいイメージで変更しています(D→Db→Cよりも、素直にD→C→Bbとしました)
8小節目はこの音使いに問題はないのですがF#をFに変換。この辺は、聴いた感覚でそうさせてもらいましたが、理論的にはF#の方がすんなりいくのか。
3段目は1−2小節目のフレーズを3-4小節目SD→SDM的にして使用。
4段目。3小節目頭Gに上がる前の2小節目4拍はPassing でF#に変更。
4小節目の最後の音はメロがF#でG。ぶつかるにしろ、少し離してEに。
Dパート
ここは、Aパートに近い感じ。クールダウン。お疲れさまでした。
修正案
まとめ:
基本的に、歌いやすい、いいオブリです。
Aメロは簡潔。3回あるうちのA/Dパ-とはほぼ同じで、Bパートだけややアクセルを踏んでる感じ。
一方、みんながいやがるしんどいBメロ(Cパート)はがっつり入れてきました。メロディーに対するハモリというよりは背景のサウンド、に徹してます。
メロディーに対してデッドポイントで同じ強度で主張する「コールアンドレスポンス型」でもなく、かといって、全くのロングトーンで「壁」に徹するわけでもなく、付かず離れずの寄り添い方。「有能な秘書」感あります。
ただ、これは、IpanemaのBメロはメロディフェイクして演奏することがほとんどないから成立しているわけでして、少しでもリズムがずれたり、デッドなところで、主旋律がピロピロと吹いた瞬間、破綻する感じはある。
その意味で、(いい意味で)吹奏楽とかの譜面のありように近いですね。
ありがとうございました。
おまけ:音源
bpm 140.
iReal Proと iPad Notionで作った音源です。
テーマとオブリの音はフルートで。
修正前
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