オブリ研第5回 : "Bye Bye Blackbird"(3)
次はFさんの作例にいってみましょう。
Fさん作
お、よさそうな感じがする。メロディーにつかず離れずのガチ対位法という雰囲気。West Coastっぽい感じがありますね。
Gerry MulliganとBob brookmeyerのコードレスコンボとかそういうやつ。
AからB
Aパート。メロディーに対して3度下ハモるようにやや離れてより添うライン。全くの3度下ではなくフラフラと動きつつ、5小節目では3度上に。うまいですね。
7小節目で初めてカウンターメロディぽい動きが入っています(Bパートも同じ思想で7-8小節目でカウンターが入っていますね)
B 1-3小節目はやはりG→F#→Fというクリシェのラインでが小粋ですね。
個人的にはB1小節目ははG Ab→Bbという動きよりはAb A→Bbとするかも。そしてコードトーン頭拍でAbを半拍前にもってきます。
7-8小節目のフレーズ。全体に下行するフレーズだけど、一拍ごとにみると表裏拍では上がる形(ギザギザな印象)をとっています。バップらしいラインだと思いますが、8小節目3-4拍目では普通に下行形になっています。ここは、最後までこの形を保ちましょう。またCパート頭の音もメロかぶりを避けて配置してしまいましょう。
ちなみにB8小節目のフレーズではアプローチノート的に、(Eb) E (C#) D (B) C G G#と、表拍の音を裏拍の半音下においてもいいかとは思います。「コードトーン音は表拍じゃないの?」と言われるかもしれませんが、この場合はフレーズの音形としてもギザギザして裏拍が重心になっているフレーズなので「あり」とさせてください。
CからD
Cパート4小節目 の後半。F#-F-C-Aではなく、F#-Eb-C-Aと僕なら吹いちゃいます(好み)。どうしてもF#とFの混在の感じを出したい(D7 +9のサウンドでしょうか)なら、F-C-A-F#と 挟み込むフレーズならありかもしれません(本作では5小節目のBbにいきづらいので採用せず)
Cの7小節目は黒本のコード割を無視してあっさりフレージング。DパートのTonic Fに戻るGm7 C7という雰囲気で押し切っています。それはそれでいいですが、作例研究なので修正案ではAbm7-Db7の感じでフレーズを変えました。8小節目の最後の音はアプローチノートでD→Dbに変更(単に好み)。
Dパート。ここでC→C#→Dのクリシェが印象的です。
黒本のコード進行からはこのラインは出てこないですが、メロディーに沿うラインで非常にきれいです。こういうとこがWest Coastっぽさの印象につながるのかもしれないですね。コードレスでやればかなりハマる反面セッションで隙間埋めまくるタイプのコード楽器と一緒にやると音が濁ってしまうかもしれません。
基本的にコード楽器の方々はセッションにあらわれるトロンボーンに対し、音楽的に殆ど期待していないことが多いので、トロンボーンがクリエイティブな何かをするとかなり驚かれることが多いです(自験例)。
「奴隷のくせに流暢なラテン語を話した!」みたいに。
失礼しちゃうわねー。
修正案
対位法っぽい、メロディーをいかしつつ、対旋律として通用するフレージングが印象的でした。
その後紡ぎ出すソロの前哨戦という彼女なりのフレージングも垣間見えてなかなか趣き深いオブリだったと思います。ありがとうございました。
よろしければサポートお願いいたします!サポート頂いたものについては公開して、使途はみんなで決めたいと思います。