
練習しすぎるバンドの弊害
ライブに向けて、すごく練習が多いんです…
ジャズのバンドって、こんなに練習が必要なんですか?
そりゃあ、練習必要だろうよ!…とは思いますが、練習を何回も何回も繰り返すバンドには、問題が含まれていることもあります。
初学の段階での練習
初学の段階では、練習は大事。これはまあ、ほぼ断言できる。
特に、グルーブ・リズムをあわせる部分ことは独習独学では得られない。
「気を合わせる」ことリズムをあわせることは、一緒に音を合わせることが必要。
日本人にとっては、スウィング時代のスウィング感は独特です。
特に吹奏楽出身の人が吹奏楽時代に習う「スウィング」は全然ニュアンスが違う。「吹奏楽的スウィング」をの矯正するには、かなり時間がかかる(学バンあるあるだと思いますが)。
また、ピアノを独りでずっと練習してる人とか。
バンドに参加した途端、一定のテンポをキープし、他の人と合わせると、合わない。(ぼっち・ざ・ロックもそうでした)
演奏技量の割にアンサンブルの経験がないそういう人は、アンサンブルをしないと馴染めないわけです。(ただ、演奏能力が元々高い人は数回で慣れてゆきます。安心してください)
練習しすぎることの弊害
ただ、「そんなに沢山練習する必要ある?」というくらい練習するバンドって中にはあるわけです。
マネジメントに問題がある場合
たとえば、個人の技量に大きな差がある場合。
いくら合奏だけしていても、なかなか満足できるレベルに到達しません。
こういうときに、単にリハーサルを繰り返すだけでは、いつまでたってもサウンドは向上しません。
残念ながら個人の技量は合奏では向上しません。
その場合、劣っている個人の技量を上げる、不調和の原因を要素分解し、全体の練習ではなくセクション練習を追加するなど、個別の状態に応じて「治療法」を考える必要があります。
漫然とリハーサルを繰り返すと、できているメンバーに時間的な負担を与え、モチベーションが下がります(結果的に上手い人の退団につながる)
しかし、学バンならいざしらず、社会人として加わるバンドでは、なかなか出来てない人に「出来てないから練習してくださいね…」と言えないんだよな……。
趣味の集まりならなおさら。
もう一度いいます。個人の技量は合奏では向上しません。
合奏で自分の課題を見つけ、改善すべく個人練習をすれば技量は向上する。
大事な「ジャズな部分」を予定調和で済ませるバンドは要注意
ジャズであろうと他のジャンルであろうと、楽曲構成を検討することはバンド練における重要事項です。
(コピーバンドで、構成なども元ネタと全く同じに再現する場合は除く)
バンドはジャムセッションではありません。
いわゆるジャムセッションで「適当にイントロ、テーマ、アドリブ。バースはその場の雰囲気で。アウトテーマ入って適当にエンディング」のような定型的な構成だけではなく、ある程度バンドとして楽曲構成を作り込んで緩急をつけることは、サウンドを飽きさせず緊張感を保つ点で有効です。
(曲により濃淡はありましょうが)。
ただ、そのあたりの作り込みを、どこまで追求するか。
プロのレコ発ライブをみても、オリジナル曲などは構成をガチガチに決定している事例も多いので、決定することが悪いわけではないのです。
おそらく「決定しておかないと演奏が止まってしまう」レベルの技量の人たちが、繰り返し練習することで不安要素を埋める、というスタイルが、ジャズのもつ当意即妙感を減殺すると思う。

左はプロミュージシャンのあり方です。
個々人の技量が十分にあり、バンドアンサンブルは最低限の了解事項。
それで十分エキサイティングなバンドサウンドになります。
一方、右のパターン。個々人の技量よりも、バンドで練習を繰り返すことで、バンドアンサンブルの完成度を上げるパターンですね。
実はジャズ以外のジャンルはこのパターンは普通に見られますね。
この場合、時間をかける割には青い棒線=個人の技量は伸びない。
黄色の部分は「バンドのための練習」であって、個人のための練習ではない。
ジャズは個人力に立脚した音楽です。
できればバンドでの練習で全てを解決せずに、個々人の練習やジャムセッションへの参加を行うなどでメンバーが個々人のスキルを伸ばして、トータルのサウンドのレベルを上げましょう。
時間のマネジメント
社会人の可処分時間は有限です。
バンド練習で多大な時間を浪費して個人練習を侵食しないようにしましょう。
ジャズ始めたてで、こういう「仲良しバンド」から複数誘われて掛け持ちした挙句に個人練習の時間を割けずアップアップになっている…みたいな人、結構います。
シーンに売り出し中の新人…みたいな立ち位置でどんどん声がかかり、キャパオーバーになって、インプットとアウトプットのバランスが崩れ、演奏することが楽しめなくなっている人、これもよくあるパターンです。
まとめ
練習の目的を常に考えておきましょう。
その練習は「バンドのため?」か「自分のため?」か。
合奏では個人の技量は向上しません(向上のきっかけになることはありますが、合奏以外の個人練習の時間は必要です)
バンド練習で自分の個人練習がおろそかになるパターンはよくあります。
またバンド練習とその前後の打ち上げ?で他人の時間を奪う人も、これまた沢山います。もちろんバンドの結束を増すことはよい演奏のためには大事ですが、あくまでジャズは個人力あっての音楽であることをお忘れなく。
いいなと思ったら応援しよう!
