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 歌物基本形(4): 8段目

歌物基本形とは (1)
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「歌物基本形」なる用語を勝手に提唱し、勝手に論じてきました。
さて、最終段の8段目についてです。

「基本形」

最終段はこの「歌物基本形」に限らず、多くは2−5−1で終止します。
原則として解決点は最後の4小節の3小節目にあることが多いですが、Another Youのように、解決点が係留して4小節目にくることもあります。

AABAのようなAメロ8小節の場合も同様に、解決点が7小節目の場合も8小節目の場合もあります。この場合は解決点が8小節目の曲の比率は多少増える印象があります。
(バラードなどの場合はテンポが倍と考えるべきだからでしょうか。1小節に2つずつコードが入っているような場合、Aメロの1ブロックが8小節だけど16小節のように捉える方が望ましい場合がありますので)。

もちろん、この部位もバリエーションがかなりあります。
前回と同じく、黒本(Jazz Standard Bible)を参考にさせていただきます。
また、すべての曲は、比較しやすくするために Key in Cに転調しています。

この章に限っては「歌物基本形」以外の長調の曲も考察に含めてゆきます。
また、コーラスの頭に戻る「ターンバック」のコード進行については今回は省略します。これはこれで結構奥深く、面白いので、またの機会に。

2−5−1のバリエーション

A1. 基本形

基本形はこの Dm7-G7-Cです。Cに関しては C△7であったり、C6であったり、あるいはCとしか表記しなかったり。
そこはメロディーの音で使い分けていますね。
この基本系のパターンの曲はとても多いので、いちいち列挙しません。

基本形をひねった形がいろいろあります。

A2.Just Friends

|D7  |Dm7  G7 | C  |   |

セカンダリー・ドミナントで建て増ししたコード・チェンジです。
Just Friends、メロディーは基本形でもハマるのですがミュージカルの原型を尊重したのではないかと推察。ソロのときにはやはりセカンダリー・ドミナントを意識したフレージングになります。しかし「基本形」どおり普通に Dm7-G7-Cと吹いても、そこまで違和感は感じないのも不思議なところ。
このスタイルの弱点は4段目と似ているので、どうしてもロストしやすくなるところ。
同じ進行の曲:
I Love You、Sophisticated Lady、There is no Greater Love
Yardbird Suite、Desafinado、Just in Time、Tadd's Delight

A3. In a Mellow Tone

|D7 | G7 | C  |   |

シンプルにセカンダリー・ドミナントで表記されています。
ただ、前項のA2. Just Friendsとソロの吹き方は変わらないです。Dm7とG7は等価として処理していいから。
同じ進行の曲:
 Doxy 、It Don't Mean a Thing、You'd be so nice to come home to、Laura
Memories of You、Moonlight in Vermont、Smile、
I'm Gettin' Sentimental over you(G7-13)

A4. The Christmas Song

|Am7 D7| Dm7 G7 |C|   |

一見、後述の3-6-2-5っぽく見えるけど、
これは前項A3.の|D7 |G7|C|と本質的にかわりません。


A5. The Girl From Ipanema

|Dm7 | Db7  |C |

いわゆる代理コードのパターンです。
Stablematesも同じ構造ですね。
+11のテンションが記載されている場合もありますが、本則どおりであまり気にする必要はありません。

A6. My Ideal

|Ab7 |G7 |C6

セカンダリー・ドミナントD7を代理コードにしています。

A7. Child is Born

|G7sus4  |G7     | C

Dm7の代わりにG7sus4です。コードの響きはSus4特有の感じになりますが、ソロはぶっちゃけDm7でフレージングしてOK。
I only have eyes for youも、少し違うけどDm=G7sus4として処理可。

A8. Black Coffee

|Dm7 |G7sus4|C7+9 Db7+9|

ブルースフィーリングの強調のためか、トニックがI7+9という音だったりします。がG7sus4もやや気になります。厳密にいうとG7sus4ではTritoneが形成されないから、Cへ解決しにくいのだけれど。


A9. Shiny Stockings

|Dm7/G  | G7  | C6

Dm7/Gは、上述したG7Sus4に似たサウンドになるんですが、アドリブフレージング的にはDm7で構わないです。
むしろバップにおけるDm7ーG7はほぼ等価で取り扱うので、所与のコードがDm7/Gであると言えなくもない。ただ、5thのサステインが入ると、バックのサウンドは独特の雰囲気にはなります。

A10. Stella by Starlight

|Dm7-5 | G7-9  |C  |  |

メロディーの構成音からこのテンションが導出されています。
結果的にはCmのマイナー2−5で、解決点でメジャーに抜ける形。
アドリブも、この形で取ることになります。ニュアンスとしては「What is things called love」と似た感じになりますでしょうか。
後述するように、展開次第によっては、基本形であるメジャーの2−5でフレージングする場合もありうるかとは思います。

A11. All of Me

|Dm7-5 |G7  | C |   |

Abの音がメロディに効いているのを忖度しDm7は-5となります。
アドリブの場合はマイナー2−5でフレージングするか、基本形通りか、割と悩むタイプ(僕は普通にDm7でフレージングしちゃう)。
September in the Rain

A12. Secret Love

|Dm7  |G7-9  |C |

テーマメロディにはG7-9のテンションは含まれませんが、ここで敢えて-9である理由はわかりません。ちなみにDmの方は-5でないメロディが含まれているのでDm7-5にはなっていないのです。
こういうマイナーツーファイブのテンション表記の場合、テンションが敢えて書かれていないコードの方に謎の答えがあることも多い。
The Nearness of You、So Many Starsも同じ。

A13. Woody'n You

|Dm7-5 |G7+9  | C△7

マイナーツーファイブに、+9のBbも入れて、ブルージーな雰囲気を演出していると考えましょう。ソロの時も、このツーファイブのテンションを気にしてフレージングした方がサマになると思う。

A14.  I Hear a Rhapsody

|Dm7  Dm7-5| G7-9  | C

わざわざ2拍で Dm7とDm7-5を切り替えているかというと、メロディーの絡みですね。
ちなみに別のコードも記載されています。
|Dm7 Fm7|Abm7 G7 |C
 これはちょっと咀嚼しにくいなー。Fm7はSDMなんでしょうね。
 Amb7はG altered ChordがAbm6と同じことから考えると、
 オルタード的なアプローチでいいのかもしれない。

A15. April in Paris

|D7  |Dm7-5 G7  |C  |

"April in Paris"って、ビッグバンドジャズとしてはやや入門編っぽいポジションだけど、コードは割とダークな響きを感じる不思議な曲です。オープンコーラスでソロをとる機会は少ないので、ここでどうアドリブするかは不明。

A16. The Shadow of your Smile

|D7  |Dm7 G7-9| C

Just Friendsと同じセカンダリードミナントからのG7-9。
メロディーにはその必然性はありませんが、響きとしてこれを指定している。こういう場合はアドリブの場合もこのテンションコードに基づいたフレージングをとる場合が多そう。

A17. Groovin' High

|Dm7 | Fm7 Bb7 | C

これはやや特殊な形で、ドミナントの代わりにサブドミナントマイナー(SDM)で進行させています。3段目の項に、SD→SDMの派生形で2−5がでてきたのがありましたが、その逆といえましょう。いずれにしろ、かなりレアではあります。

A18. The Man I Love

|Fm6 |G7 |C  |

2-5-1は、SD→D→Tなのですが、これはSDM→D→Tのパターン。


A19. My Romance

C△7/G|Dm7/G  G7  |C

通常の2−5−1は1小節ずつで SD→D→Tという形ですが、2小節目の一小節目ですばやく2−5−1で戻る形です。
ただ、一小節目のトニックもGペダルで、やや不安定感を持つトニックで、3小節目の終止のCと区別をつけているようですね。
どちらかといえば、後述する|Em7 Am7|Dm7 G7|に近いのかも。

A20. Night and Day

Dm7  Db△7  C

Night and Dayはコール・ポーターの名曲で、ド頭には、
|Ab△7 | G7 |C という、また特徴的なコードがあります。
これは結びの2−5ですが、Alternate Chordとしてこれが記載されている。
ポイントは、Db7ではなくDb△7です。
Dominant Motionの原則(F-Bのトライトーン→解決)からいうと、Db△7は意味をなさないはずですが、これはこれとして美しくサウンドするのだから、ジャズは面白いですね。アドリブの際には普通に Db7にするか、G7で演奏するほうが無難かとは思いますが。

A21. Dindi

|F△7|Bb7+11|C△7|  |

Bb7+11を|Fm7 Bb7+11|と補遺すれば SD→SDMの形になります。
2-5の代わりにSD-SDMのケーデンスを使う場合も、なきにしもあらず。

A22. Flamingo

|Ab7 |Dm7 G7|C△7|  |

Ab7はセカンダリー・ドミナントであるD7の代理コードと考えれば、
Just Friendsタイプの派生系と考えればいいと思います。
しかし、コードの繋ぎ的には Ab7→Dm7が今一つ繋がらないので、
Ab7→G7→Cじゃあかんの?と思ったりもする。Dmがしっくりこない。

A23. Cry Me a River

|D7   |Ab7 G7sus4|C  | C

やねこいなあ。セカンダリー・ドミナントではあるのだが、D7とAb7は等価なので、(D7=Ab 7)→G7→Cしかし、Gsus4なので機能和声的にはSD?
ドミナント・モーションとしては、やや微妙な展開感。二階建ての一階がSDだと、建築基準法違反じゃないのか?と思ったりする。
通底するDm7-G7-Cが前提となった表記だとは思います。まあこういうバリエーションもあるということで。

A24. Day Dream

|Cm Cm/Bb|Ab7 G7|C△7|  |

これもややわざありのコード進行か。Cm→CΔ7の進行感の中で、Ab7-G7という、セカンダリー・ドミナント変形版の2-5をはさんでいます。

どうアドリブするか?

様々なバリエーションを示してきました。
では、アドリブの時にどうフレージングするか?という話です。
「基本形」でいいのか、それとも書かれたコードに忠実にフレージングするか。

例えば、ボーカルバックで1コーラスでソロをとるのであれば、
この書かれたコードに配慮して忠実にフレージングすることが好ましい場合も多いですね。(職人好みの振る舞いです)。
ただ、基本形の「Dm7-G7-C」で吹いても間違っているわけではない。

しかし、インストもので、数コーラスソロを繰り返すのであれば、テンションやコード進行を細かく指定した「窮屈」なケーデンスのままより、基本形に「ほどいて」さらにDm7-Db7-とか、D7-G7-とかのリハモを施したり、様々なニュアンスのフレーズへ展開させることもOKであるし、むしろそうするべきではないかと思います。

コードの原型と、その発展型を常に念頭に置くこと。
アドリブの場合は、原初の状態にコードを戻して、そこから更に新たにコードを複雑化させてフレージングをすることは、可能である、というかむしろアドリブの深化に必要であると言えます。
(このあたりはまた別項で説明します)

3−6−2−5タイプ

いわゆる、3-6-2-5という形で進行するパターンも多いですね。
初学の代表曲としては 酒バラです。

B1.Days of Wine and Roses

|Em7 Am7 |Dm7 G7 | C  | 

いわゆる3−6−2−5パターンの代表格ですが、この形は、
Em7 フリジアン、Am7 エオリアンと考え、ダイアトニックコードと考えることもできます。その場合は、ショートの2−5として処理もできます。
|C    |Dm7 G7 |C  |
(前項15.My Romanceと同じ形ですね)
もちろん、Am7を勝手にA7として Dの2−5、Cの2−5と連結させてフレーズすることも可能。Em7-5 A7としてDmの2−5とすることも可能です。
(以前にバップのマインドマップでのべた 3−6−2−5のパターンですね)同じ進行の曲:
Foggy Day、 It Might as Well be Spring、Smoke Gets in your eyes、Spring is Here、

B2.Donna Lee

|Em7 A7 |Dm7 G7  |C 

3−6−2−5のパターンとしてはこれがもっとも多い表記です。
この場合は前項でAm7だとTonicとして処理できる可能性が消えていることに注意ください。
同じ進行の曲:
Georgia on my mind、Have you met Miss Jones?
I could write a book、Just one of those things、Like Someone in Love,
Love is here to stay、Old Devil Moon、On Green Dolphin Street、
Ornithology、White Christmas、But Beautiful、Del sasser、
For Once in my Life、Four Brothers、I'm beginnings to see the light
Mean to me、Skylark、Somebody loves me、They Can't take that away from me

3−6−2−5をどう吹くか?

3-6-2-5パターンは前項 B1. B2.のどちらかで書かれることが多いと思います。実際これをフロント楽器としてアドリブでどう吹くかというのは、「現場」レベルで処理する話で、成書にあんまり書いていないのも実情です。

さまざまな3−6−2−5の処理の仕方のパターン。
上の方が調性感が保たれている吹き方。
下にいくほどドミナント・モーションの進行感が強くなる。

3−6−2−5という進行を、どのように切り替えて(転調して)フレーズするかという本質的な問題に帰結します。

上から2個め。前項”酒バラ”のパターン。
Cのダイアトニックで乗り切ることはできます(Available note Scaleでは、Eフリジアン、Aエオリアン、Dドリアン、Gミクソリディアン)。その分、ドミナントの解決感は希薄です。
3個め。調性でいえば、Dm→Cと切り替えているパターンです。
これがコードの移り変わりに対して、切り替えがラクなおかつ転調感が演出しやすい形です。「バップのマインドマップ」でもこれを強調しましたが、私はこの進行のフレージングをじっくり練習することをオススメします。
ただ、Em7をDのハーモニックマイナーで吹く場合EmはEm7-5と書くべきですが、ただコード・フィギュアでEm7-5と表記するとサウンドがロクリアンに限定されるので、表記としてはEm7と書かれています。が、便法として、3-6-2-5のEm7はDmの2−5として吹く。そこでハーモニックマイナーを使うならEm7-5に、メロディックマイナーならEm7になることを覚えておいてください(注)
4個目は Em7 A7のパターン。素直にフレージングするなら in D→in Cとフレージングします。ただ、これだと2小節目に入るところでD→Dmと解決点で明らかに転調するしその分切り替え感が強い。Dはin Cにおいてダイアトニックではないので、吹き方としては注意深く処理する必要はでてきます。
いっそのこと5個目のように、調性感とドミナント・モーションにおける進行感のトレードオフで、すべてドミナント・モーションでいくパターンもあります。この場合二拍ごとに転調を繰り返しますけれど、進行感はもっとも強い。ちなみに E7-9, A7-9とすれば、調性の切り替えはそこまで吹きにくくはないです。(ex. I Got it Bad)

(注)この辺はマーク・レヴィン先生の本でもマイナー2−5−1をすべて満たすスケールはないよね、という一章が割かれています。マイナーは、案外案外、論理整合性がなくて難しいんだよな。
Song is You

|Em7 A7-9 |Dm7 G7|C |

A7に-9のテンションが付与されています。むしろEm7 A7を Dmで吹きますよ、という意味では親切かも。
Em7には-5がないので、Em7 A7-9をメロディックマイナーで吹くと、キレイに表記通りにアドリブができます。しかしハーモニックマイナーで吹いても、怒られはしないかも(細かい人は怒るかもしれない…(自信なし))。
God Bless the Child、More than you Know
Say it(A7+11)、Tenderly(A7-13)

I didn't know what time it was
Donnla Lee と同じパターンだがDmのかわりにG7sus4。アドリブのときは普通に吹けるパターン。このあたりは、そもそも3−6−2−5をどういうふうに切り替えて吹くバリエーションの中に含まれるものかとは思う。
Embraceable you
|Em7 A7 |Dm7-5 G7-9|C |
Dm7-5 G7-9と2-5でマイナー指定。これはメロディー準拠ですが、この場合
調性の飛び具合の都合上|Em7 A7|もDmで吹くのが望ましいでしょうね。

B3. Four 

|Em7  Ebm7 |Dm7 G7 | C  |

半音移行のケーデンスを、Em→Ebm→Dmと処理。メロディーに沿ったコードつけですね。
Out of Nowhereも同じ進行です。

B4. How High the moon

|Em7   Eb7 |Dm7   G7 | C |   |

これはシンプルに代理コードで処理しています。この場合はさんざん上述したEm7 A7を Dメジャーで吹く?Dマイナー(ハーモニックマイナー・メロディックマイナー?)で吹く?という悩みからはむしろ開放されているかも。
代理コードですが、半音で繋がるのでスムースに聞こえる。
同じ進行の曲:
I Remember You、I Thought About You、I'm Old Fashioned、Joy Spring、
My Ship

B5. Robin's Nest

|Em7 Ebdim7 |Dm7 G7|C 

Passing Diminishで繋ぐパターン。(もう一曲ありましたが失念)

B6. Easy Living

|C A7 |Dm7 G7 |C  |

3-6-2-5ではなく1-6-2-5のTurn aroundタイプ。まあ3-6-2-5のご先祖様、という形でしょうか。
I can't get Started, L-O-V-E、Danny Boy、For once in my lifeも同じ形です。

B7. When I fall in Love

|C△7 A7|Ab7 G7|C6||

これは、 D7のかわりに Abの代理コードになっているだけです。
Ain't Misbehavinも同じ。キレイなコードケーデンスですね。


ここからは少し変わり種です。

B8. Lover Man

|Ebm7 Ab7 | Dm7 G7  | C

2−5の上に半音上の2−5重ね。
これは、どっちかというと、3−6−2−5というよりは2−5−1の派生型と考えたほうがアドリブはしやすい。

B9. Satin Doll

|Am7   D7|Abm7   Db7|C

これも、D7 Db7 Cに5に対応する2をつけた形です。これも2−5−1としてアドリブしましょう。
この B8. B9.は 一見 3-6-2-5タイプの仲間とみえて、おそらく2−5−1のセカンダリー・ドミナントの仲間で、3−6−2−5と吹き方は本質的に違うものと考えたほうがよさそうです。

係留タイプ

「歌物基本形」では多くの場合31小節目に解決点があることが多いのですが、解決点が後ろにずれている曲がいくつかあります。
係留させる=解決点の先送りをしているので、2-5ではなく3-6-2-5パターンを駆使している感じはします。3-6-2-5にもうちょっとなんか挟んで解決点をずらしているというか。

C1. There will never be Another you

|C6 F7+11|Em7  A7|Dm7 G7|C   |

3-6-2-5を介して1に戻るタイプですが、1小節目の3拍目にF7+11がやや印象的です。これはピボットコードの一種と考えるべきでしょうか。
F7+11→Em7と半音でつながるので、進行しているように見えるので、フレージングはなめらかに繋ぎやすいとは思います。

C2. How Deep is the Ocean

|C/G A7| Am7 D7| Dm7 G7| C

この曲、全体にコード進行に関してはシンプルではないんですが、最終段もいささかやねこい感じ。しかし、2−5の2をとっぱらうと、
|C A7|D7  |G7  |C と、6-2-5とドミナントドミナントで建て増ししているコード。3階建て。難しくはないかも。
(理解はしやすいけど、実際には吹きにくいけどね)

係留タイプは探せばもう少しありますが、字数も超過しているので割愛。

やや特殊なタイプ

D1. Up Jumped Spring

|Dm7 |G7 |B△7  |B△7 C△7 |

これは割と珍しいけど、半音下で繋留して最後Cに解決。まあ聴いたまんまだとは思います。
他の曲でもこの吹き方やリズムの入れ方をすると、途端に「Up Jumped Spring」っぽくなるのが面白いですね。

D2. Seven steps to Heaven

|Bb6 B6 | C

トニックに解決する場合、多くは、下行系のパターンが多いのですが、Seven Stepsでは、Ⅶb7から半音上げて着地します。機能和声的には、SDMのRelated Chordですかね… Bm7-5はDominantですから、大きくみると2-5-1に準じた形と、言えなくもなさそうです。が、進行感は2-5に比べるとかなり弱い。

D3. Come Sunday

|Dm7 |G7|Bb△7 B7-9|C

これは解決点であるCを下からずりあげて、係留させている形なんでしょうかね。この例をみると、大きな進行感というよりは「トニック先延ばし」という意味合いが強そうですね。


D4. Autumn in New York

|Dm7 Em7 |Fm6 G7 |Cm |
(1段目では Cメジャーに解決)

この辺りは古典的なコード進行な感じはしますね。Dm7 Em7 Fmとメロディーにそってマイナーコードでレミファと上がっています。
単純化してアドリブをするなら、FmがSDMっぽい感じもあるし、マイナー
|Dm7 |Dm7-5 G7|Cmくらいにしてフレージングしたらいいのかなー。
もしくは|Dm7 Fm7|Bb7 G7|Cmみたいに SDMを間にいれるか。

D5. Very Early

Dm7 Em7|F   G7|C△7

これもDm7 Em7 Fと進行していますね。大きくみるとSD→D→Tの
2-5-1の形から外れていません。
Blame it on my youthも、実は同じ形です。

まとめ:

なんと1万字を超えてしまいました。
リズムセクションとしてどうテーマのバッキングをするか、という点では、このあたりのコードバリエーションはめっちゃ面白いところなんですけれども、フロント楽器として、これをどういう風にアドリブで吹いていくか、という部分については、こういうバリエーションの成り立ちを理解しつつ、単純に戻したり、建て増したりしてゆく、ということをアドリブの中でやっていくわけです。
これについては、別項を割く必要がありそうですね…。

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半熟ドクター
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