【2024年版】株で利益が出ている人向けの損出しの基本


【序章:そもそも「損出し」って何?】
年末が近づくと、投資家の間でよく耳にするのが「損出し」という言葉です。損出しとは、その年中に抱えている“評価損”をあえて実現(売却)することで、同年の利益と損益通算し、最終的な課税額を減らそうというテクニックです。たとえば、2024年に株式投資で50万円の利益が確定していた場合、通常は約10万円ほどの税金(20%強)がかかります。しかし、同年に含み損を20万円確定させることができれば、課税対象額は30万円に減り、税額も約6万円ほどに下がるため、差額分が手元に多く残ることになります。


【第1章:損出しを行うメリットと注意点】
損出しの最大のメリットは、同一年度内の利益と損失を「損益通算」することで税金を抑えられる点です。ただし、次のような注意点もあります。

  1. タイミング管理が必要:損出しは必ず年内決済(受渡し)を完了させなければ、その年の損益と通算できません。

  2. 取引コスト:売却時に取引手数料が発生します。損出しによる税額軽減効果よりも手数料の方が高くなってしまうと、逆に損することもあります。

  3. 再投資タイミング:損出し目的で売った銘柄をすぐ買い戻すと、税務上クロス取引とみなされる可能性が指摘されることがあります。一般的には数日空けて買い戻すなど、慎重な対応が推奨されます。


【第2章:年内受渡しの重要性と「約定日」と「受渡日」】
損出しを計画するうえで重要なのは、「約定日(取引成立日)」と「受渡日(実際に株券と代金が受け渡される日)」が異なる点です。日本株の場合、多くは「T+2」と呼ばれる仕組みで、約定日から2営業日後が受渡日になります。

たとえば、12月26日(木)に売却約定した国内株式は、2営業日後である12月30日(月)が受渡日となり、この取引は2024年分として損益に反映されます。一方、12月27日(金)以降に約定した場合、受渡日は2025年にずれ込み、その年の損益とは通算できません。


【第3章:2024年度版・楽天証券とSBI証券の場合の最終取引日】
以下は2024年の損出しに関して、楽天証券とSBI証券で「年内扱い」とするための最終取引日情報です。ここでは国内株と米国株について、それぞれの具体的な日程を示します。提供する日程は以下の通りです。

  • 国内株(楽天証券・SBI証券)

    • 2024年の最終取引日:2024年12月26日(木)

    • この日に約定すれば受渡日は2024年12月30日(月)となり、2024年分の損益に反映できます。

  • 米国株(楽天証券・SBI証券)

    • 2024年の最終取引日時:2024年12月25日(水) 03:00(日本時間)

    • この時間までに約定すれば、受渡日は2024年12月27日(金)となり、2024年中の損益としてカウント可能です。

こうした具体的な日程を把握しておくことで、ギリギリになってから「年内処理が間に合わなかった!」という事態を防ぐことができます。特に米国株は時差の影響で取引締め切り時刻が早朝になる点にも注意が必要です。


【第4章:具体例でイメージしてみよう】
では、具体的なシミュレーションで考えてみます。

  • 例1(国内株)
    あなたは2024年に国内株で合計40万円の利益が確定しています。このままでは、約8万円超の税金が課されます。一方、塩漬け状態だった別の国内株で20万円の含み損があるとしましょう。2024年12月26日(木)までにこの損失銘柄を売却約定できれば、12月30日(月)受渡しとなり、2024年の損益通算が可能です。結果、課税対象額は20万円(40万円−20万円)に減り、支払う税金も約4万円超に抑えられます。こうして浮いたお金を他の投資や生活費に回せるわけです。

  • 例2(米国株)
    同じく2024年、米国株の取引で30万円の利益が出ているケースを想定します。ここで含み損15万円の米国株がある場合、2024年12月25日(水)03:00までに売却約定しておけば12月27日(金)に受渡し完了となります。その結果、2024年分は30万円−15万円=15万円が課税対象になり、税負担を大幅に軽減できます。もしこの期限を逃した場合、損失は2024年分と通算できず、本来より多くの税金を支払う羽目になるかもしれません。


【第5章:損出しを行う前の最終チェックポイント】

  1. 公式情報やカレンダーの確認:取引最終日や受渡日は、その年の休日や証券会社の営業スケジュールで微妙に変化します。ここでは2024年分として提示していますが、念のため年末に近づいたら改めて公式サイトで確認することをおすすめします。

  2. 手数料やリスクとのバランス:損出しで税金が下がっても、売買手数料がかさむとトータルで損をするケースもあります。含み損を出す銘柄がわずかな額の場合は、コスト対効果をよく考えましょう。

  3. 長期的な投資戦略を優先:損出しは短期的な税効率改善手段です。しかし、無理に損出ししようとして、将来大きく値上がりする可能性のある銘柄を手放してしまうかもしれません。長期的な投資戦略を踏まえたうえで、損出しを計画しましょう。


【終章:まとめ】
2024年の損出しを行う際には、国内株の場合は2024年12月26日(木)までの約定、米国株では2024年12月25日(水)03:00までの約定が年内受渡しを成立させる目安です。これらの期限を守ることで、年内の利益と損失を確実に通算し、税金を軽減することができます。

いいなと思ったら応援しよう!