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夢が叶う日。

今まで、心から願ったことは、ほとんど叶ったためしがない。

自分の大きな何かを犠牲にしてもいいから、どうかどうかお願い…と祈ったことも、ダメだった。

いっぽう、「夢」は、知らぬ間に「叶う準備段階に入っている」こともあるらしい。

私が10年前に描いた、自分を投影した「はにほさん」の1コマ(元データが手元に残っていないので紙をスキャン)が、こちら。

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はにほさん(私)の将来の夢は…「いつかお正月に縁起物のいっぱいついた福笹を買って、じゃらじゃらさせながら家に帰ること」だった。

この絵を描く前、鎌倉のとても狭い部屋に住んでいて、近くのお寺で正月に福笹を授かっている人を眩しく見つめては、「あんな大きなものを飾れる家に住んで、商売繁盛を願って福笹を買えるだけの(心の)余裕が欲しいなぁ」と強く思っていた。

福笹を買った(授かる)人を囲んで、「商売繁盛で笹持ってこい」(酉の市では商売繁盛を祈る掛け声や三本締め)とかけ声する光景も、「あんなの恥ずかしいなぁヤダなぁ」とか言いつつ、実は憧れだった。

そんな私が今年の正月、初えびすでついに福笹を授かった。行こうかどうしようか迷っていて、だんだん面倒になって「まぁ、来年でいいか」と思って仕事をしていたら、ご近所のお店の方が通りすがりに「一緒にいきませんか」と声をかけて下さって。突然のことでびっくりしたけれど、迷っていたところだったので背中を押されて、一緒にえびす神社へ向かい、ついにその時は来た。

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ご覧のとおり縁起物はじゃらじゃらついてはいないし(標準仕様の福笹)、笹そのものも、とても小さい(一番小さいのを選んだから)。

そして、その神社では商売繁盛を願う掛け声は特になかった。

今はまだ、本業で何か達成した感はなく、ましてやお店の方は儲けとは無縁で、何より始めてまだ一ヶ月と少しなので、大きな笹がたわむほどの縁起物をつけるなんて、とても無理だなぁと思う。

けれども10年越しに、やっと念願だった福笹を手にすることが(気持ちとして)できた。いつか、そう遠くない日に「じゃらじゃらさせながら」持ち帰れるように、何を頑張ればいいのか分からないけど、少なくとも「商い」や「自分のすべき仕事」に前向きに、まっとうに取り組まねば…

福笹以外に思い当たる夢は、生きているうちに『ガラスの仮面』の最終回を読むことと、もう一つは「邪馬台国論争に終止符が打たれるのを見届けること」。それらに関しては他力本願なので、どうなるかわからないけれど…

あとは、たくさんの流れ星をこの目で見ること。なんとか流星群、の到来のたびに寒空の下で待ったけれど、今まではっきりと「降るような流れ星」を見たことがないので。

切実な願い事はいつも叶わないことの方が多いが、「ワクワクする無責任な夢」は、自分に「死ぬまで生きるための力」をくれるので、もっと前のめりに増やしてゆきたい。昨年退団された宝塚のスターさんのファンだった頃は「良席!!SS席!」という夢があったけど、今はあまり思いつかないなぁ。

昔は「森永チョコボールのおもちゃの缶詰の中を見たい!!」と思っていたけれど、私はチョコボールがそれほど好きではなくラムネ菓子派だったので、金銀のエンゼルを集めることがほとんどできなかった。ただ、この正月に甥が「お店にこれ置いたら」と、おもちゃの缶詰(過去缶、未来缶)を渡してくれて、あっけなく中を見ることができた。そして店に置く以上は値段を確認…とヤフオクを見に行ったら、同じものがお手頃価格で入手できることも知った。缶の中を久しぶりに見た甥が「あ、銀のエンゼルが5枚ある。これはもらっておくわ」と回収していたのを見て、人は夢の結末より、夢の一歩手前にこそ喜びを見出すんだなと思った。

私にとっても縁起物でたわわになった福笹を手にする「いつか」より、小さな「マイファースト福笹」を飾る今の方が記憶には残るのかもしれないな。

今後は漠然とした夢や他力本願の夢ではなく、自分で何かイベント(旅行や作品展など)を計画して目標を作り、未来になんだかんだ「楽しい予約」を入れ続けていきたい。

そんな私の今の「計画」の一つがこちら。

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うまく撮れなかったけれど、座布団の上の小さな羽織猫にご注目。これは大阪・住吉大社(楠珺社)の「初辰の猫」で、毎月初辰の日(奇数月は左手招き、偶数月には右手招き)に授かると四年で48体揃い「始終発達(48辰)する」とされ、小ネコを集め続けて中ネコに、さらに大ネコに、と全部で24年かけて満願になるというお参りのシステムの、「マイファースト・初辰(小)猫」です。

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大阪・阿倍野の路地裏にある喫茶店で飾られているのを見て初めて知って、いつか住吉大社に行きたいと思いながら慌ただしく日が過ぎ、そのお店のママさんが亡くなってしまったことで、自分の中で特別な猫の置物になっていた。

お葬式には出ることができたものの、常連さんたちがその後、喪服でお店に立ち寄って(縁の薄い親族の方が管理するという話だったので資産価値のないものに限り)思い出の手紙やノート類を保管しようと持ち帰ったと聞いて、「ああ、お店にあったあの3体のネコをもらいたかった…」という思いもあって、それで昨年の12月から「初辰まいり」をはじめることに…

1月の最初の辰の日は14日、2月は7日。

これから毎月ネコを授かりに出かける道すがら、猫好きだったママさんを思い出したり、病気の友の回復を願ったり、ただ「ランチは何を食べようかな」くらいの気分で出かけたり「古書やリサイクルショップもちょっくら見ていくか」などと目的がぼやけたり、たぶんその内「もう今月はいいや」となし崩しになりそうだけれど、今の気持ちを大事に、できるだけ初辰の日に出かけたいです。

ちなみに、実際には一度にまとめていくつか買えるので小ネコ48体は四年かけずとも短期間で集まるのだけれど、それだとヤフオクでおもちゃの缶詰を買うのとまったく同じで「意味はない」ので、せめて中ネコまでは自力で…と思っているけど、すでに心がくじけそうな2020年1月の私、でした。

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新年なので、お店は春を待つ「三色団子」カラーののれんにしました(お正月飾りが完全に隠れてしまった)。