公園
好きだ、と思った。
通勤するときにいつも、
帰り道には見つめていた。
見つめていたから、やっぱり好きなのだと思う。
でも、好きなものを探して生きよう、と思うまで気づかなかった。
公園が好きだ。
そういえば、家の近くの
あんまり通らない方のそっちにある公園も
いつも見つめていた。
誰がいてもいなくても
昔の家の近くで待ち合わせするときも、
あの公園の近く、と言った。
公園の近くで生まれ育った。
外で遊ぶには、公園しかなかった。
小学生くらいまでは、ずっと公園だった。
花見をしたり、
犬がいたり、
ひまわりを植えたり、
走ったりした。
あんなにたくさんの時間を過ごしたのに、
覚えていることは本当にわずかで
大きな遊具に、友達と何人かで登って
川があったの
川の向こうにいる、友達をね、すごく呼んだの。
大声で
その日川には水がなくて、
しばらく呼んだら、
友達がこちらを覗いてやってきた。
ということがあった気がしたけれど、
いま思えば、あの距離で
「友達がこちらを覗いた」という絵は見えなかったかもしれない、という気もする。
あの思い出を確かめることはできないけど、
公園というのは、なんとなくそういう思い出の場所だった。
そういえば、怪我をして身動きが取れなくなったときも
公園でぼうっとしていた。
人を見ていた。
そういえば、このあいだの休みもそうして過ごした。
その町に住む人、子供とおとな
その未来と、
わたしの過去と未来をぼんやりと思う。
旅人みたいな気持ちになるのかもしれない。
この公園にわたしの思い出はなくて、
それをうすぼんやりした気持ちで、
なにかのはざまから、わたしは見つめている。
そして、最後にはわたしの現実に帰って行く
たぶん、わたしにとって公園は
ずっとなにか、霞かがっている
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