タイムマシンに乗っても、化石は恐竜に戻らない
Macには、Time Machine(タイムマシン)と呼ばれるバックアップ機能がある。
いまのMacの状態を、そのまま保管する。
大切なデータを消してしまったときはもちろん、
Macが立ち上がらない、動作しないなどの有事の際も
「まるでタイムマシンに乗ったように過去の状態に戻せる」という、バックアップ機能だ。
わたしのデスクトップPC、iMacはたぶんそろそろ10歳で
何度かOSのアップデートを続けて、いまでも動いているけど
近年はアップデートもサボっているから、いつ死んでもおかしくない。
最近は、容量がいっぱいになったと通知が出たので、外付けHDDを購入した。
Amazonをサクッと見たところ、「4TBのものを買うと、1TBあたりの価格がいちばん安そう」って感じだったので、4TBのものを購入。
今日届いて、いろいろ設定をしているときに気づいたんだけど、
わたしのMacの容量って、500GBだった……
こんな大きなパソコンが、
こんな小さな外付けHDDに対し、容量8分の1しかないだなんて……
時代変わったよね。
USBだって、どんどん安くなったし
そもそも、クラウドサービスが発達して、USBもそんなに使わなくなったしね……
わたし、ワープロにフロッピー使ってた時代だって覚えてるわよ!!!!!
時代、進化したね……
今回買った外付けは、タイムマシンのために購入したんじゃなくて
そもそも、使っていないデータを外付けに移動するためだった。
過去やっていたふたつのバンド、「はらぺこ」「ピカロステイト」いう名前のフォルダと
アニメギヴンのバンド楽器類の監修をしていたので、「ギヴン」という名前のフォルダがあるんだけど
この、動画が大量に入っている3つのフォルダさえいなくなれば、一旦は大丈夫という算段だった。
確認したところ、Macが総容量500GBに対し、
この3つのフォルダの合計が120GBを越えていたので、もう想像以上の充分さだった……
そして、買った外付けHDDは4TB(=4000GB)
余裕がありすぎるので、久々にタイムマシンでバックアップを取ることにした。
たぶん、このiMacでタイムマシンでデータ保存するのは初めて。
ほんと、いままで死なずによく頑張ってくれたわ……
そして、このiMacは
最終的に動かなくなってしまったMacBookから、Time Machine経由でデータを受け取っている。
iTunesも、ブラウザのブックマークも、デスクトップも、本当に全部MacBookと同じ状態から、このiMacは始まっているのだ。
もはや昔の出来事すぎて年齢でしか換算できないんだけど、
確か、MacBookを入手したのが18歳か19歳のとき
そのあと、iMacを購入したのが23歳か24歳くらいのとき。
そしてわたし、今年33歳になるの……
10年以上分の歴史を、500GBで受け止めて
老体に鞭打つように、最近は動画作成なども頑張ってくれているこのiMacには、感謝しかない……
そんなもんか、とも思う。
わたしの10年間って、500GBか。
いまは、4TBを1万円で買える時代ですよ。
なんか、そういう風に換算するのおかしいって、意味ないって、わかってるけど。
わたしが20代やってきたことは、バンド活動やライブ活動で
自主制作でCDを6枚リリースしたわけだけど、
容量を食うレコーディングやミックス、ジャケット作成等の作業については人に依頼をしているので、わたしは完成形のデータしか持っていないので、そんなに大した容量にはならない。
そんなもんか。
でも、連れてきてしまった。
10年、いや、それ以上分。
パソコン上じゃなくてね、
ふつうの暮らしに於いては、引っ越しをするときに物を捨てる。
次の家に入らないものは持っていけない。
だから、引っ越しのときには家中をひっくり返す。
わたしは5回引っ越したので、いまの家にあるものはだいたい把握している。
でも、パソコンの中身はね
いくらでも入っちゃうから。
動画や音源の編集を本格的にやっている人は、そんなこと言ってられないのでしょうけど…
そもそもが500GBで10年、生きれる女だから…
だから、パソコンの中には
本当に引っ越しするならば、全部捨てているようなデータがそのまま
いまも、化石みたいに残ってる。
先日、パソコンの容量がいっぱいになったと言われた時点で、少し捨てた。
そのときは大事なものだった、みたいなのがたくさんあった。
たくさんあって、振り返らずに捨てた。
どうせこれからも、振り返る勇気なんて持てない、と思った代物たちだ。
データ削除の作業をしたのは、おとといくらいの出来事なのに
わたしはもう、何を捨てたか全然思い出せない。
薄情な気がするけど、それでいいんだと思う。
それでもまだ、たくさんの化石を残したまま
タイムマシンにすべてを詰め込んでしまった。
がんばれ、未来のわたし……
同じように、最近ずっとやばいな〜と思っているのが、iPhone。
わたしはiPhone3GSのときからずっとiPhoneを使っていて、iTunesでバックアップを取り続けている。
そして、新しいiPhoneに変えるたび、バックアップを引き継ぎ続けている。
ということで、現在のiPhoneにも、iPhone3GSのときに撮った写真がそのまま残っていたりするので、なかなかのホラーだ。
これだって、10年以上前になる。
ほんとに化石……
近年、片付けこそできるようになったけど
やっぱり、整理って苦手だな。
iMacとiPhoneに残っている化石のようなデータは、
家の引っ越しのときに、捨てているようなものばっかりだ。
昔はよく、過去を懐かしんだり、帰りたいと願ったりしていたけど
近年、そんなことはなくなった。
きっと、寂しくなくなったんだと思う。
それは、同居人がいるから、ではなく
同居人の協力もあって、個として独立できたから、のような気がする。
「ボーカルがいなければ無力の鍵盤屋」じゃなくて
「はらぺこの松永」でも「ピカロステイトの松永」でもないから
もちろん、バンドをやめてよかった、ていう話には直結しないんだけど
やっぱり、バンドやってるときは、バンドとか肩書に依存してたから。
そしてそれは、必要なことだったと思う。
でも、もうわたしには要らないから。
このMacのタイムマシンに乗ったところで、化石になったものは、きっと恐竜には戻らない。
いや、戻るかもしれないけれど
化石は化石のまま、早いうちに捨ててしまおう、と思っている。