bic派

ライターは、bic派である。
同じひと多いよね？？

リップクリームとライターは、カバンと部屋いたるところに設置している。
冬のいいところは、ポケットがあるところで
冬の悪いところもポケットがあるところだ。
ポケットに入れたものを、帰宅時に取り出してよくなくす。

その日わたしは、カバンの中にライターがひとつもなかった。
年に何度かある。
予備のライターも使って、きっと部屋に置いたのだ。

絶対に煙草を吸う、と決めたときにライターがない絶望。

今日は絶対コーヒーに牛乳を入れる、と決めたのに牛乳がない
お気に入りのジーパンを履くつもりが乾いてない、とか
みんな心当たりがある、あの感覚だ。

もちろんライターなので買う。
今日はタバコ屋が開いている。
よかった、
営業時間がよくわからず、閉まっているときもある。

タバコ屋には、おばあさんがいることが多いけど、今日はおじいさんだった。
広くない店の奥でうとうとしていて、
わたしは悪いなあ、なんて気持ちで声を掛けた。

ライターはbic、
それもわたしの手に合うミニサイズの方で、
色も豊富で浮かれた。
金額が表記されていなかったけど、100円で税込みと言われて、なんだか良い気分だった。

ありがとうございます

眠そうなおじいさんに伝えた
彼はパッと顔を明るくして言った

こちらこそ、ありがとう

ただそれだけだった。
お聞き入りのライターが売っていて、
知らないおじいさんがほほえんでくれた。

ただ、それだけだったのに
胸が確かにあたたかくなって、今日は良い日だった今日のタバコはうまい、と思って火をつけた。

わたしはこのライターを大切にする