きっと、海を越えて
メールが届いて、驚いた。
それから深く、頷いた。
AmazonPayの支払いで、利用先はクリックポストだった。
そうだ、友達へ荷物を送ったんだった。
郵便、を愛しているのかもしれない。
むかしからそうだった、と思う。
切手が好きだし、むかしはヤマトのメール便をよく使った。(メール便専用の黄色い定規みたいなのも持っていた。安くて便利だった)
いまでもたくさんのサイズの封筒を常備しているし、レターパックのストックも欠かさない。
ここ数年の発見は「クリックポスト」で、
ラベルを印刷して指定内の大きさの封筒や箱に入れると、198円で届く。
追跡番号も出るし、ポスト投函されるから受け取りの手間もない。
初めて出会ったときには感動したし、自分でも使うようになった。
支払いはAmazonに保存されているクレジットカード情報「AmazonPay」を使ったから、新しく登録する必要もない。
メールが届いたのは、ラベルを貼って荷物を投函した、数日後の出来事だった。
*
「購入したとき」に支払いが完了する切手やレターパックと違って、
クリックポストは、投函したあとに支払いが発生するらしい。
木曜の深夜に出した荷物は、
土曜日の午後になって「支払いが完了しました」とメールが届いた。
だから深く、頷いた。
荷物の宛先は北海道で、わたしはこのとき勝手に「海を越えたのだ」と思った。
実際は空輸なのかもしれないし、近所の郵便局に届いただけかもしれないし、それはわからなくて
わからないままでいいのだけれど
投函された小さな箱は、誰かの手に渡って、北海道の友達のところへ向かっているのだ。
確かに、そうなのだ。
198円で
ずいぶん遠くまで
わたしの代わりにあの箱が、彼女の部屋まで行ってくれる。
見たことのない、名前しか知らない郵便受けに、向かってくれる。
そう思ったら、なんだか妙に勇ましくなってしまう。
「いってらっしゃい。彼女によろしくね」と、見えない海に向かって、わたしは静かに声を送った。