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メドレーをつなぐ

「おねがいがあるの」とLINEがきて、少し驚いた。10月の終わり。
「スターバックスのジョイフルメドレーティーの茶葉、発売されたら買って送ってくれない?」
 去年、送ってもらってとってもおいしかったから。
 北海道には雪が降り始めて、スターバックスまで行くのも大変だからって。
 頼んでくれて、とても嬉しかった。

 11月1日、わたしは車の助手席に座っていた。
 今日はジョイフルメドレーティーの発売日。どこかでスタバに寄れたらいいんだけれど、と思って家を出た。
「そういえばこのへん、ドライブスルーのスタバがあるんだよ」と言われたら、「よってください」というのは、当然のこと。
「何か飲みたいものある? あなたの分も頼んでいい?」と尋ねたら、「おすすめをおねがいします」と言うので任された。
「ジョイフルメドレーティーラテのトールをふたつ、どちらもゼンブミルクで。あと、ティーバッグの箱をひとつください」
 ひとつを、いつもスタバではカフェミストを頼むという運転手に渡したら、「おいしいねえ」と言って笑ってくれた。「そうでしょう?」と、なぜかわたしが自慢げだった。今年もまたひとり、ジョイフルメドレーな沼に、友人を連れてゆく。

 11月5日、「これを」と言って渡してくれたのがスタバの紙袋で、中身はジョイフルメドレーティーの茶葉だった!! 歓喜!!
 去年も彼から同じものをもらって、美味しくて、嬉しくて、遊びに来てくれたらお出しして、お手紙にひとつずつ忍ばせて、嬉しさをシェアしたんだった。そのひとつが、北海道に行っていた。というワケ。

 11月6日、元気のない友達にLINEする。「スタバで何か買っていくよ」と言ったら、「ジョイフルメドレーティーラテが飲みたい」と返ってきた。よっしゃ任せろ!と思って、ベンティサイズを買った。あと、茶葉も買った。
 うちの分は彼がプレゼントしてくれたわけだから、次はわたしが誰かにプレゼントするのがよいだろう、と確信していた。
「これほんとうにおいしいよねえ」と友達は言った。
「今年の茶葉、もう買った?」と確認したら、まだだったのでよかった。
 よかった。これでわたしの優しさと一緒に冬を越して欲しい。呪いだよ。どうか、暖かさに守られて、投げやりなことはしないで過ごしてくれますように。


 冬、わたしはメドレーをつなぐ。
 誰かからもらった優しさと暖かさを、
 去年のわたしが手に入れた幸福を、次の誰かへ。
 ティーバッグに詰めて、手軽に送る。
 今年もまた暖かな記憶が増えて、このお茶は去年よりもうんと美味しく思える。




▼この物語の主役

 頼ってくれたのが嬉しくて黙っていたのだけれど……
 スターバックスのオンラインストアは、5000円以上で送料無料、5000円以下の送料も330円だってこと……レターパックよりも安いし、電車でスタバに行く交通費より安いだなんて!


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松永ねる
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