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深夜のフィナンシェ

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書いてみた短編小説と、小説っぽいもののまとめマガジンです。
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2024年10月の記事一覧

【掌編】コーヒーを飲める頃に

 引越し祝いは傘だった。  初めてのひとり暮らしで、すべてに浮かれていた。「引越し祝いを持っていくよ」という言葉にも、必要以上に浮かれてしまったかもしれない。わざわざ家の住所を聞いて、予定を合わせて、届けてくれるというのだから。  渡された包みは想像よりも小さかったけれど、充分に大きいと思えた。そして「なんだろう」と思えたのは一瞬で、すぐに傘だとわかった。 「傘?」 「そ、折りたたみ。持ってないでしょ?」 「持ってないけど……」 「いま、引越し祝いとしてはどーなの?って思っ