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じわりじわりと時計の針が進むように、君は気づくとそこにいる。 最初は、ほんの小さな気配。 気のせいかもしれない、と思う。 夜だから、変な時間に起きちゃったから、眠いのか、そうじゃないのかもわからない。身体が迷子になっているだけだよ。と言い聞かせる。 眠れずに、または眠らずにいると隣にやってくる。 膨らんだ違和感を追い払うことはもうできなくて、小指の先をぎゅっと握られている。 せっかくそんなに近くにいてくれるなら、抱きしめて「だいじょうぶだよ」と言ってくれればいいのに。