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散歩の帰りに、ボスの白缶を買った。 白缶、と呼んで、わたしはボスのカフェオレを特別に愛している。 むかしよく、これを奢ってくれたひとがいた。 そのひとのとなりが妙に居心地よくて、ただただやさしい記憶だった。 あまやかされたい、 または許されたい、と祈るとき または生きよう、と願うとき わたしは、この白缶を買う。 この日の散歩は、深夜だった。 それも、30分以上かけて、じっくりと歩いた。 めずらしく、ガムも噛んでいた。 エマージェンシー。 脳内マップで、サントリーの自販機
「あなたの文章は、本当に良い」 ときどき、そんなふうに言っていただけることがある。それも、真顔で。 本当に、そう思ってくれているンだろうなあ。 ありがたい、と思うのに、そういうときだけ意識がひゅうっと抜ける。 いや、まさか、わたしが、 気づいたら、「いやいや、そんなことは…」と言いながら、自分のダメな部分をバーゲンセールのように語り出してしまう。 褒められるのは、昔からあんまり得意じゃない。 洋服とか、ハンカチとか、ネイルだったら「ね? かわいいっしょ?」なんて言えるのに
わたしは、一緒に住んでいる男を”恋人”と呼ぶことを嫌っている。 宇多田ヒカルだって、そう言っていた。